公共投資の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 16:44 UTC 版)
こうした比較の評価にはいくつかの注意が必要である。まず、公的固定資本形成が増加しても民間消費が増加しても同じように名目GDPは増加する。民間消費支出の増加は家計の自主的な選択によって起こるものであるから、必ず家計の効用を高めるという意味で無駄ということはない。公的固定資本形成を全て名目GDPに含めていることは、景気対策などで行われる公共投資が全て意味のあるもので、無駄な支出はないと考えていることになる。しかし現実には無駄だと指摘される公共事業は少なくない。このため公的固定資本形成の増加分と消費の増加分を同等に扱ってよいかどうかは、議論のあるところである。 第二の点は、公共事業の増加のために建設国債を発行しても、所得税の減税のために赤字国債を発行しても、いずれにせよ将来増税によって国債を償還する必要性が発生することになる可能性が高い。景気対策によって恩恵を受ける対象と、増税の負担をする対象とは一般には一致しないという意味で、受益と負担の不公平が必ず発生するが、公共事業の方が受益者が限定されているだけこうした不公平が大きくなる恐れが大きいという点である。
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