位相線型空間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/09 02:06 UTC 版)
実数または複素数体上のノルム空間は、二つの元の間の距離をそれらの差のノルムとして定めると距離空間と見なせる。こうして得られる距離空間のうち完備なものはバナッハ空間と呼ばれ、関数解析学における主要な枠組みの一つとなっている。 ノルムによって位相が定まっているとは限らない位相線型空間のうち、平行移動不変な距離について完備空間となっているものはフレシェ空間と呼ばれる。バナッハ空間のほかに、微分多様体上の滑らかな関数のなす空間や、急減少数列のなす空間などがフレシェ空間の例になっている。
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位相線型空間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 00:46 UTC 版)
詳細は「位相線型空間」を参照 収束性の問題は、ベクトル空間 V に両立する位相(近さを記述することを可能にする構造)を入れることによって扱われる。。 ここでいう「両立」とは、加法とスカラー乗法がともに連続写像となるという意味で、大雑把に言えば、x, y ∈ V と a ∈ F が限られた範囲の中にあれば、x + y と ax も限られた範囲に留まるということである。スカラーについてこの議論がきちんと意味を持つようにするためには、この文脈において体 F にも位相が定められていなければならない。よく用いられるのが実数体や複素数体である。 このような位相線型空間ではベクトル項級数を考えることができて、V の元からなる列 (fi)i ∈ N の無限和 ∑ i = 0 ∞ f i {\displaystyle \sum _{i=0}^{\infty }f_{i}} とは、対応する有限部分和の極限を表すものである。例えば fi が、ある(実または複素)函数空間に属する函数であるとすると、この場合の級数は函数項級数と呼ばれる。函数項級数の収束の様態(英語版)は、函数空間に課された位相に依存する。そのような様態の中でも各点収束と一様収束の二つは特に際立った例である。 ある種の無限級数の極限の存在を保証する方法の一つは、考える空間を任意のコーシー列が収束するようなものに限って考えることである。そのようなベクトル空間は完備であるという。大まかに言えば、ベクトル空間が完備というのは必要な極限をすべて含むということである。例えば単位区間 [0,1] 上の多項式函数全体の成すベクトル空間に一様収束位相を入れたものは完備でない。これは [0,1] 上の任意の連続函数が、多項式函数列で一様に近似することができるというヴァイアシュトラスの近似定理による。対照的に、区間 [0,1] 上の連続函数全体の成す空間に同じ位相を入れたものは完備になる。ノルムからは、ベクトル列 vn が v に収束する必要十分条件を lim n → ∞ | v n − v | = 0 {\displaystyle \lim _{n\to \infty }|\mathbf {v} _{n}-\mathbf {v} |=0} で定めることによって、空間に位相が入る。バナッハ空間およびヒルベルト空間は、それぞれノルムおよび内積から定まる位相に関して完備な位相空間である。函数解析学で重要になるそれらの研究は、有限次元位相線型空間上のノルムはどれも同じ収束性の概念を定めるから、無限次元ベクトル空間に焦点があてられる。図は R2 上の 1 ノルムと ∞ ノルムとの同値性を示すものである。単位「球体」は互いに他に囲まれているから、列が 1 ノルムに関して 0 に収束することと、その列が ∞ ノルムに関して収束することとが同値になる。しかし無限次元空間の場合には、一般には互いに同値でないような位相が存在しおり、そのことが位相線型空間の研究を、付加構造を持たない純代数的なベクトル空間の理論よりも豊かなものとしているのである。 概念的な観点では、位相線型空間に関する全ての概念は位相とうまく合うものでなければならない。例えば、位相線型空間の間の線型写像(あるいは線型汎函数)V → W は連続であるものと仮定される。特に、(位相的)双対空間 V∗ は連続汎函数 V → R (or C) からなるものとする。基礎を成すハーン・バナッハの定理は、適当な位相線型空間を連続汎函数によって部分空間に分けることに関係するものである。
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