二酸化炭素の回収・資源化・分離
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/20 18:09 UTC 版)
「二酸化炭素」の記事における「二酸化炭素の回収・資源化・分離」の解説
上記のような地球温暖化を抑制するため、二酸化炭素の新たな排出を減らす努力だけでなく、工場・火力発電所などの排気に含まれる二酸化炭素の回収(前述のCCS)のほか、大気からの二酸化炭素回収(DAC=Direct Air Capture、ダイレクト・エア・キャプチャー)により、大気から切り離す技術が開発されている。二酸化炭素の新たな排出抑制だけでは地球温暖化の緩和には不十分で、植林による光合成促進やCCS、DACといった「負の排出」(ネガティブ・エミッション)が必要という危機感が技術開発の背景にある。DACはアメリカ合衆国やカナダ、スイスなど15カ所の施設があり(2021年時点)、日本も『グリーン成長戦略』で2050年の実用化を掲げた。スイスのクライムワークスのように排出権取引を利用して既に商業化した企業も登場している。DACには以下の方式がある。 溶液を使う化学吸収・吸着法 固体に吸着させる物理吸着法 膜分離法 空気を冷やしてドライアイス化させる深冷法 こうして得られた二酸化炭素は地中に貯留したり、プラスチックや医薬品などの原料として利用したりする。アミンや水酸化カリウムに吸収させる手法のほか、九州大学では大気中の窒素を通しにくく、二酸化炭素を通しやすい膜を開発した。 東京工業大学などは、電気化学触媒としてレニウム錯体を使うことで、二酸化炭素の濃度が低くても効率よく回収できる手法の開発を2018年に発表している。東京工業大学ではこれに先立ち、岩澤伸治らが、二酸化炭素を炭化水素と反応させる有機合成反応を開発した。触媒としてロジウムを用い、炭素と水素の結合を弱めて反応させる。大気圧で反応が進むが、特定の化合物やアルミニウムが必要になるなどの実用化に向けた課題もある。 CCUS/カーボンリサイクルCO2回収利用カーボンリサイクル 化学品 含酸素化合物(ポリカーボネート、ウレタンなど)バイオマス由来化学品 汎用物質(オレフィン、BTXなど) 燃料 微細藻類バイオ燃料(ジェット燃料・ディーゼル)CO2由来燃料またはバイオ燃料(微細藻類由来 を除く)(メタノール、エタノール、ディーゼルなど)ガス燃料(メタン) 鉱物 コンクリート製品・コンクリート構造物 炭酸塩 など その他 ネガティブ・エミッション(BECCS、ブルーカーボンなど) CO2の直接利用 溶接用途(シールドガス) 食品用途(米麦燻製、冷凍食品製造、ドライアイス) 飲料用途(ワイン醸造、炭酸飲料)農業(施設園芸や植物工場における CO2 施肥)溶剤用途(抽出溶媒としての超臨界 CO2)赤泥処理用途(ボーキサイト残渣の中和)など 石油増進回収法 EOR(Enhanced Oil Recovery) 貯留
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