中和抗体の医学的使用とは? わかりやすく解説

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中和抗体の医学的使用

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 09:20 UTC 版)

中和抗体」の記事における「中和抗体の医学的使用」の解説

中和抗体受動免疫用いられ健康な免疫系持っていなくても患者使用することができる。20世紀初頭は、感染した患者抗血清注射していた。抗血清は、感染病原体対すポリクローナル抗体を含む、以前感染して回復した患者血清である。これにより、抗体ウイルス感染症毒素対す効果的な治療法として利用できることを示している。血漿中の抗体精製標準化もされておらず、血漿ドナーによって拒絶される可能性があるため、抗血清は非常に粗雑な治療法である。また、回復した患者からの提供に依存しているため、簡単にスケールアップすることはできない。しかし、血清療法比較迅速に入手できるため、今日でも発生時の最初防衛線として使用されている。血清療法は、2009年豚インフルエンザ世界的流行や、西アフリカエボラ出血熱流行時に患者死亡率減少させることが示された。また、COVID-19見込みのある治療法として試験が行われている。健康な人から得られ抗体混合物使用する免疫グロブリン療法は、感染症と戦うために免疫不全または免疫抑制された患者投与される。 より特異的堅牢な治療には、精製されポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体mAb)を使用できるポリクローナル抗体は、同じ病原体標的とするが、異なエピトープ結合する抗体集まりである。ポリクローナル抗体は、抗原曝露されヒトドナーまたは動物から得られる動物ドナー注入され抗原は、なるべく中和抗体産生するように設計されるポリクローナル抗体は、サイトメガロウイルスCMV)、B型肝炎ウイルスHBV)、狂犬病ウイルス麻疹ウイルス呼吸器合胞体ウイルスRSV)の治療薬として使用されてきた。ジフテリア抗毒素には、ジフテリア毒素対すポリクローナル抗体含まれている。複数エピトープ結合した抗体治療することで、ウイルス変異しエピトープいずれか構造変化させた場合でも治療効果発揮する。しかし、ポリクローナル抗体用いた治療は、生産都合上バッチとのばらつき(英語版)と抗体価英語版)が低いという問題がある。一方モノクローナル抗体は、すべて同じエピトープに高い特異性結合する。これらの抗体は、mAb大量生産可能にするハイブリドーマ技術生産することができる。感染症対すmAbは、ウイルスmAb標的となるエピトープ変異させるか、複数流通している場合には機能停止するモノクローナル抗体使用する薬剤の例としては、エボラ対すZMappRSV対すパリビズマブなどがある。他の感染症対す多くmAb臨床試験中である。 中和抗体は、ワクチン接種による能動免疫においても役割果たしている。自然免疫応答における中和抗体結合部位構造理解することで、結合抗体ではなく中和抗体産生するよう免疫系刺激するように、ワクチン合理的に設計することができる。ワクチン接種によって弱体化したウイルス導入すると、B細胞による中和抗体産生可能になる2回目暴露後は、ウイルス特異的な抗体産生するメモリーB細胞存在することで、中和抗体反応はより迅速になる。効果的なワクチンは、ウイルスの変異体の大部分中和することができる抗体産生誘導するが、抗体回避もたらすウイルスの突然変異には、それに応じてワクチン更新する必要性がある。一部ウイルスは他のウイルスよりも早く進化するため、それに応じてワクチン更新する必要がある。よく知られている例として、インフルエンザウイルスワクチンがある。これは、ウイルスの最近循環株考慮して毎年更新しなければならない中和抗体は、多発性硬化症の治療にも役立つことがある。このタイプ抗体は、レトロウイルス感染症と戦う能力があるが、場合によっては、多発性硬化症治療するために体内投与され医薬品攻撃する組換えタンパク質製剤、特に動物由来医薬品は、一般的に中和抗体によって標的となる。例として、レビフ(Rebif)、ベタセロン(Betaseron)、アボネックス(Avonex)などが挙げられる

※この「中和抗体の医学的使用」の解説は、「中和抗体」の解説の一部です。
「中和抗体の医学的使用」を含む「中和抗体」の記事については、「中和抗体」の概要を参照ください。

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