両者の主張
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これに対し星野は、 戸主権を人事編の後方に置く旧民法の方が、親族法の先頭に置く明治民法より個人主義的 戸主権の行使を拒否された時の制裁として離籍権が明文化されたため、明治民法の戸主権の方が実効性は強力旧民法では自動的に新家創立するのに対し、戸主の選択で追放される明治民法の方が制裁の性格が強い 婚姻の効果として、旧民法は夫婦双方の同居義務を前提とするのに対し(人65条)、妻のみに同居義務を明示する(ように読める)規定(明治民法788条)は旧民法には無いため、明治民法の反動性の表れである 戸主の同意を得ないで養子縁組をしたとき、旧民法は明治民法の離籍権に相当する制裁規定が無く、戸主の同意権は有名無実 婚姻時に女戸主の地位が失われやすい明治民法(736条)の方が妻の地位が低い 旧民法が東洋系の夫婦別姓を改め、夫婦一体のキリスト教系の同氏原則を採用した画期的規定(人243条2項)が保守派の反発を招いたことは疑いない などと主張したが、 中村は加勢した手塚とともに、 旧民法の戸主権が人事法の末尾近くに配置されるのは、進歩的な第一草案の構成がそのまま利用されたに過ぎず、内容が進歩的とは言えない「戸主とは一家の長」(人243条1項)と明文で定める旧民法の方が、戸主の地位を強く表現している 離籍権の追加は戸主権の観念的強化ではあるが、実質大差無い旧民法では戸主の同意を欠く婚姻・縁組に戸籍吏の差止権・義務があり、怠ると処罰されるため(人74・75・136条)、旧民法の戸主権の方が実効性は強力 明治民法では離籍権を行使しないこともできるため、問答無用で家から追放される旧民法の方が制裁の性格が強い 同居義務については、明治民法と同旨の旧民法草案の規定が当然だから不要という理由で元老院で削除されたのを看過している 旧民法で養子縁組をなしうるのは戸主本人とその同意を得た推定家督相続人に限られ(人109条)、瑕疵ある縁組に無効訴権が生じるので(人128~130条)、明治民法と異なり戸主の同意の無い養子縁組は不可能 婚姻時に女戸主の権利の実質が失われる旧民法(人258条)の方が妻の地位が低い 夫婦同氏は当時の慣習尊重に過ぎず、明治民法でも同じなのを無視しており(746条、現750条)、延期派が非難した事実も無い と反論している。 なお、明治民法789条は夫婦相互の同居義務の確認規定。夫婦同氏規定は中国法系の行政実務と当時の日本の慣習が食い違っていたのを後者に統一したもの(梅)。女戸主は維新後の慣習の追認と伊藤博文は認識していたが、後世の学者は江戸時代の女戸主や、鎌倉時代の後家の絶対的家長権を指摘する。特別の意思表示が無ければ入夫が戸主に交代するのは、女戸主を一切認めない説(高木豊三)と女戸主の継続を原則とする説(梅)の妥協の産物である(法典調査会第127回)。 中村の自己批判によれば、親族法の比較検討に偏り、財産法や諸法典との関係が十分研究されていないのが同説の弱点。 また断行派の大井憲太郎・鳥尾小弥太は、延期派の安部井磐根・尾崎行雄・高橋健三・神鞭知常らとともに内地雑居時期尚早論の立場から対外硬派を形成、徳富蘇峰も「対外自主」を掲げ政府の条約改正に反対。延期派の江木や鳩山も外務省で大隈の条約改正に尽力したと推測されている。
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両者の主張
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東山の死を巡っては、遺族・反対派側と警察側で以下のように意見が対立した。
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