両翼裏面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 02:25 UTC 版)
「東方三博士の礼拝の三連祭壇画 (ボス)」の記事における「両翼裏面」の解説
ボスは珍しいことに、両翼のパネルの裏側にキリストの7つの受難の場面を含む聖グレゴリウスのミサ(英語版)をグリザイユで描いている。この図像は三連祭壇画の扉を閉じると1枚の絵画として姿を現す。聖グレゴリウスはキリストの前の祭壇にひざまずいているが、そこに描かれたキリストは石棺から上半身を現した悲しみの人(英語版)としての姿であり、飛翔する9人の天使がアーチ状に取り巻いている。祭壇の外縁部にはイエスの生涯の各場面が階層的に配置されている。左下から順にゲッセマネの祈り、キリストの捕縛、ピラトの前のキリスト(ピラトの妻は天蓋の後ろから覗き見ている)、キリストの鞭打ち(英語版)、いばらの戴冠(英語版)、十字架の道が描かれ、そして最上部の磔刑で最高潮に達し、罪の贖いの完了を表現している。善良な盗人はすでにキリストの右側の十字架上にあり、天から差し込む一筋の光とともに天使が彼の近くにいる。一方、悪い盗人はキリストの左側に十字架が立てられるのを待っている。イスカリオテのユダは山の右側の木で首を吊っている。2人の男がユダを発見して指さし、悪魔がユダの魂を運び去さろうとしている。 またミサで聖グレゴリウスを助ける教皇と司祭、そして贖いの報いを受け取る寄進者といった奇跡が起こる前景の人物たちから、両側の背景の人物を仕切るカーテンがあることも一般的ではない。ボスは制作の最終段階でこれらのカーテンを追加し、すでに完成した図像の上にそれらをペイントした。学者たちは制作後しばらくして彩色された2人の寄進者を追加したと考えていたが、技術的な研究はボスが制作と同時に寄進者を描いたことを証明している。若い男はピーテルの息子ヤン・シェイフヴェ(Jan Scheyfve)であり、老人はおそらくアントウェルペンの裕福な市民権階級のメンバーで、1495年以前に亡くなったピーテルの父クラウス・シェイフヴェ(Claus Scheyfve)である。
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