世界各国のお召し列車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 16:25 UTC 版)
「en:Royal train」も参照 日本以外の各国でも、王室が存在する国には、日本のような「お召し列車」が運転されることがある、イギリスでは「ロイヤルトレイン」 (Royal Train) と呼ばれる列車が運転されることがある。 イギリス以外にも、オランダやノルウェーのように、王室が存在する国においては、王室専用客車(御料車)が用意されているが、その扱いは控車まで含め専用客車が用意され、目的によって色々組み合わせ1編成とするもの(イギリス、ノルウェー)から、基本的に1両で構成され、通常の客車を前後に控車として連結し運用されるもの(オランダ)など様々である。タイ王国では王室専用駅も設置されている。 ロシア、オーストリア、中国など、帝政を廃止した国々においても、かつて帝室や王室が存在した当時にはお召し列車に相当する列車が運行されていた。中でも清朝の西太后が北京から奉天(現在の瀋陽)へ向かう際に乗車したお召し列車は、16両編成というその規模や、150人の料理人を乗せ狭い客車内にかまどを左右25基、計50基も据えさせたこと、合計100皿にもおよぶ彼女の食事の度に長時間停車して他の列車を止めさせたことなど、エピソードにこと欠かない。 こうしたお召し列車に使用された御料車や貴賓車は、今でもその国や、かつてその国の植民地だった国の鉄道博物館に残っていることがある。もっとも西太后のお召し列車に使用された御料車は、彼女の死後張作霖の手に渡り、彼の専用列車に使用されていたが、張作霖爆殺事件の際に彼ごと関東軍に爆破されたので現存しない(一部が上海でレストランに転用されているとの説もある)。 また2010年時点、オーストリアでは、オーストリア・ハンガリー二重帝国時代に運行されていた皇帝フランツ・ヨーゼフのお召し列車の内装などを参考にした皇帝列車 (MAJESTIC IMPERATOR TRAIN) という名の一般の観光客向け企画列車が走っている。 なお、君主制から共和制に移行した国であっても、独裁者が国政を牛耳るような政治体制になった場合はしばしば似たような性格の鉄道車両が元首の命により整備され運行される。ヒトラーの「「アメリカ号」のほか、中華民国の蔣介石も総統専用列車を有していた(日本の台湾統治時代から残された皇室用貴賓車の転用)。ソビエト連邦のスターリン、中華人民共和国の毛沢東も国内の移動に専用客車を利用していた。 朝鮮民主主義人民共和国の最高指導者(金日成、金正日、金正恩)も特別列車(朝鮮民主主義人民共和国最高指導者専用列車)を所有し、旅客機での移動を嫌うために、その列車で数度、中華人民共和国やソ連(後にロシア連邦)を訪問していた。 韓国においても、「トレイン1」と呼ばれる大統領専用のKTXが設定されている。当初は存在が非公開だったが、2011年2月11日に光明駅付近で脱線事故が発生。その事故を起こした列車が、偶然にも大統領専用車両を組み込んだ編成ということで存在が広く知られた。なお、一般列車として運行する場合は大統領専用車両は締め切り扱いとなっている。2017年12月19日、文在寅大統領が京江線に試乗した際、初めて車内が一般に公開された。また、セマウル号仕様の大統領専用編成(景福号)も存在する。 アメリカ合衆国では第32代大統領フランクリン・ルーズベルトが国内移動に専用列車が必要と判断し、フェルディナンド・マゼラン号(Ferdinand Magellan (railcar))が1942年より導入された。ルーズベルトの死後次代大統領に就任したハリー・S・トルーマンは1948年の大統領選で専用列車で各地を遊説し、場所によっては駅間で列車を停めて列車の上から遊説するなどした結果、圧倒的に優位に立っていたトマス・E・デューイ候補を破って再選を果たした。それにあやかって旅客鉄道輸送が殆ど廃れた現代でも大統領が列車で遊説する例が見られる。マゼラン号は現在フロリダ州の ゴールドコースト鉄道博物館(Gold Coast Railroad Museum)に保存されている。
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