世界の嫌中度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 04:31 UTC 版)
BBCワールドサービスやピュー・リサーチ・センターやユーロバロメーター(英語版)が定期的に実施している世界各国を対象とした対他国感情に関する調査によれば、調査対象国における対中・対中国人感情は否定的な回答を示しており、中国は、世界に対して悪影響を与えていると評価されている。なかでも人権意識が強い欧米諸国は、チベット問題やウイグル問題や香港問題の影響から、中国に対する悪感情が形成されており、中国を否定的にとらえる回答が多い傾向にある。さらに、2020年にパンデミックとなった新型コロナウイルス感染症が主要因となり、中華人民共和国国家安全部のシンクタンクである現代国際関係研究院(英語版)は、嫌中感情が天安門事件以来の高まりとなっていると結論づけており、アメリカ、カナダ、オーストラリア、欧州連合などの欧米諸国に限らず、係争地域で死者の出る衝突が起きたインド、韓国、日本、南シナ海問題を抱える東南アジア諸国連合関係国などのアジア諸国を含む国際社会での嫌中感情は過去最悪となっている。 2020年にシンガポールのシンクタンクであるISEASユソフ・イサーク研究所(英語版)がASEAN諸国の政府高官、学者、専門家など1300人を対象に実施した調査によると、ASEAN諸国では中国の政治・経済的影響力への警戒感が広がっており、中国に不信感があるという割合は、2019年の52%弱から2020年には60%強に上昇し、また40%近くが「中国は現状の秩序を打ち壊そうとする勢力で、東南アジアを自らの影響圏に入れようとしている」との認識を示した。ISEASユソフ・イサーク研究所(英語版)は、「中国の著しい、そしてなお増大し続けている影響力に対する地域の懸念は、中国による強大なパワーの使い方に不透明感があるからだ」として、中国の台頭が平和的ではないとの懸念を高めていると指摘しており、特に中国に対する不信感は、南シナ海問題で中国と争っているベトナムとフィリピンで際立っている。 2021年5月、習近平総書記(国家主席)は「自信を示すだけでなく謙虚で、信頼され、愛され、尊敬される中国のイメージづくりに努力しなければいけない」と語り、外国から「愛される中国のイメージづくり」を指示し、中国共産党が組織的に取り組み、予算を増やし、「知中的、親中的な国際世論の拡大」を実現するよう対外情報発信の強化を図るよう訴えた。これは近年の中国外交は批判に対して攻撃的に反論する戦狼外交を展開してきたが、戦狼外交は中国内では支持を得ているが、国際社会では嫌中感情を悪化せており、高圧的な対外発信で中国の好感度が下がっていることへの反省があるとみられる。 2021年の2月から5月にかけてピュー・リサーチ・センターが先進17カ国・地域を対象に実施した調査によれば、中国に対する否定的な見方が記録的な高水準にどまっていることがわかり、15カ国・地域で過半数の人々が中国を好ましくないと見ており、カナダ、ドイツ、韓国、アメリカでは中国に対する否定的な見方がこれまでで最も高くなり、中国を好ましいとする回答の方が多かったのはシンガポールとギリシャだけだった。また、習近平国家主席について、17カ国・地域中1カ国を除き過半数が全くもしくはほとんど信用していないと回答し、ドイツ、フランス、スウェーデンでは半数以上が「全く」信用していないと回答した。
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