世界の実験音楽
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 09:09 UTC 版)
1960年代以降、実験音楽、前衛音楽のシーンは特に活動が活発化した。現代音楽では作曲の技法に重点が置かれているのに対し、実験音楽は音楽的な行為の枠を問うのが特徴である。 実験音楽の代表的な音楽家としては、ジョン・ケージや、ソニック・アーツ・ユニオンを構成したロバート・アシュリー、アルヴィン・ルシエ、ゴードン・ムンマ、デヴィッド・バーマン、デイヴィッド・チューダーらがいる。また、デレク・ベイリー、ギャヴィン・ブライアーズ、フィリップ・グラス、テリー・ライリー、スティーヴ・ライヒ、クリスチャン・ウォルフ、モートン・フェルドマンらも実験音楽家として知られている。スティーヴ・ライヒの音楽は、特に「ミニマル・ミュージック」と呼ばれている。 多くの実験音楽家は他の分野の芸術家との交流も深く、それぞれの芸術活動に大きい影響を与えた。マルセル・デュシャンやマース・カニンガムなどは特に、交流のある実験音楽家なしに成立しなかった作品も存在する。偶然性の音楽はマルセル・デュシャンの姉妹イボンヌとマグデレーヌによって作曲され、1920年のダダ・イベントで演奏されている。また、実験音楽にはクラシック音楽サイドからのアプローチだけでなく、ロックやジャズなどの音楽ジャンルからの試みもさかんにおこなわれてきた。フリー・ジャズのオーネット・コールマン、前衛ロックのフランク・ザッパを筆頭に、ルー・リードのヴェルヴェット・アンダーグラウンド、キャプテン・ビーフハートやレジデンツなどがエクスペリメンタル・ロックとしてあげられる。またイギリスでは、ビートルズのジョン・レノンは、オノ・ヨーコと実験音楽アルバム『トゥー・ヴァージンズ』を発表した。プログレッシブ・ロック系のブライアン・イーノ、ロバート・フリップ、フレッド・フリス参加のヘンリー・カウ、ジャズ・ロックからソフト・マシーンなどが参入した。旧西ドイツでは、フルクサスの流れを汲むカンやファウスト、現代音楽家を擁するスラップ・ハッピー、なども実験音楽に接近した。またスラップ・ハッピーとヘンリー・カウは協力してアルバムを制作している。プログレッシブ・ロックが衰退した1970年代後半には、パンク、ニュー・ウェイヴ系のデヴィッド・バーンとトーキング・ヘッズ、キャバレー・ヴォルテールやディス・ヒート、PIL、ジェームス・チャンスやDNA、ローリー・アンダーソン(1980年代に登場)らが登場した。 アメリカ、ヨーロッパのローカルな実験音楽家としては、フランコ・バッティアート、アメリカ出身でイギリスを中心に活動したデヴィッド・ヴォーハウスのプロジェクト・ユニット「ホワイト・ノイズ」らが活動している。
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