メゾチント
メゾチント
【英】:MEZZOTINT
版画技法。銅版画は、凹版を製版する技法によって直刻法と酸腐蝕法に大別できるが、これは前者の内の一つ。まず版面にニードル等の針状または刀状のもので、縦・横・対角線の各方向に線あるいは点刻線を平行して密接に刻む。ここで版面は、一面ドライポイントのまくれを併う線で覆われる。それを、先のとがったこて状のスクレーパーで削り取りへら状のバニッシャーでつぶし、磨くことによって図像を表わしていく。凹部にインキをつめ、プレス機で紙に刷り上げると、最も磨かれた部分は白く、まくれを完全に残した部分は黒く、その間に磨き加減によって無限の明暗の階調が表われる。これがこの技法の特徴であり、メゾは「半ば」、チントは「色調」の意である。17世紀中頃、オランダのジーゲンによって発明され、イギリスやフランスで豊かな階調を表現できることから主に絵画の複製技法として流行した。20世紀に入ると、ブランや長谷川潔などが創造的なメゾチント版画の制作を行なった。
メゾチント
メゾチント(直接法)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 01:19 UTC 版)
「メゾチント」も参照 エングレービングとドライポイントが線の表現のための技法であるのに対して、メゾチントは面の表現力を深める技法である。「中間の色合い」を出せるというのが、その名の由来である。ヨーロッパでまだ写真技術のない頃、肖像版画や細密版画で用いれられ人気があったが、写真の発達とともに省みられなくなり、「忘れられた技法」といわれることもある。浜口陽三がこの技法を復興したことで知られる。 その製版工程は、これまでの技法と逆である。エングレービングとドライポイントでは、平面の版に溝を刻むことで図柄を作ってゆくが、メゾチントでは、まず版全体にひじょうに細かな点や線を無数に刻んで、ざらつかせ (これを「目立て」という)、その後にこの「目」を削って平面をつくってゆく。インクが残るのは当然、削られなかった部分である。 目立てだけを施した段階で印刷にかけると、全面が真っ黒の版画ができる。ただし、真っ黒とはいえ、それは細かな点や線の集積なので、均一な黒ではなく微妙な陰影が出る。目立ての粗密を調整すれば面のニュアンスも変わってくるし、また目をならす段階でも、どの程度もとの目を残すかで刷り色の濃淡を調整できる。エングレービングやドライポイント作品に部分的にこの技法を用いれば、スムーズな階調の影をつけることもできる。 きわめて労力がかかるので (大作だと目立てだけで数ヶ月かかる)、普及に限界のある技法ではあるが、日本には浜口陽三や長谷川潔など、メゾチントを得意とする作家が多い。
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