ファシリティマネジメントとは
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/14 23:35 UTC 版)
「ファシリティマネジメント」の記事における「ファシリティマネジメントとは」の解説
情報化とグローバル化、そして低成長化などを背景として、日本の企業経営は、大きな転換点を迎えているといっても過言ではない。とくに、経済・経営システム自体を大きく転換し、改革する必要に迫られている。含み資産よりも実益を重視する経営への転換や、土地神話化を改め、国際レベルの価値観を持つ不動産システムへと改革すること。さらには、遅れている情報ネットワーク環境の整備など、企業改革を含めた社会的なシステムの改革が求められている。 一方、日本の経営では、これまで概して「ファシリティ」を不変・不朽の財産と考えがちであり、その有効活用については、曖昧にされてきたきらいがある。とくに、ファシリティを活用する戦略やファシリティ自体の評価はあまりなされておらず、経営活動と結びつけて考慮されていない。 こうした現状を打破し、新たな日本的経営システムを構築するためには、「第5の経営資源」といわれるファシリティの戦略的な活用が不可欠となっている。ファシリティマネジメント(FM)は、企業・団体など組織体における第5の経営資源=ファシリティを経営的視点から総合的・戦略的に企画・管理・活用する経営管理活動である。 施設全体を対象とした『総合的視野』や、将来変化にも対応し得る『長期的視野』に立つこと、すなわち『経営的視点』であることがFMの大きな特長。 FMは、FM専門家が自ら種々の業務を遂行する性格のものではなく、各方面の多くの専門家、技術者の力を十分に活用するもので、FM業務の重点は「評価と企画・計画」であり、多くの専門担当者に よる実施に対しての管理が中心になる。 伝統的な施設管理(管財、営繕)との違い維持、保全のみでなく「より良いあり方」を追求する。「より良いあり方」には、既存のものだけではなく、新しく利用し活用するファシリティも対象となる。 FMの活動の方法として、情報技術をはじめFM固有および支援の技術・手法を活用する。 FMは、下記の3つの面から現実的に対応できる総合的な経営管理活動である。経営にとって全ファシリティの全体的な最適のあり方を追求する経営戦略的な面 各個の設備の最適な状態への改善など管理的な面 日常の清掃、保全、修繕等への計画的・科学的な方法の採用など日常業務的な面 以上の3つの活動は、事業体の置かれた状況に対応して実務的に身近なところから取り掛かかることができる活動である。 FMは上記の事業体における現状の実務にあわせた活動とともに、「FM標準業務サイクル」を設定し、FMの体系的な導入と推進を統一的に図る活動を進めていく。すなわち、経営戦略に基づいたFMの戦略、中長期実行計画、プロジェクト管理、運営維持、評価という業務のサイクルをまわしてFMを展開することと、このサイクルを展開させるための仕掛けおよび仕組みづくりとしての統括マネジメントの業務を推進することである。 FMは、オフィスはもとより工場、店舗、物流施設その他あらゆる業務用施設とその環境を対象としている。なお、今後この活動を一般住宅に対しても適用していくことも考えられている。 FMの活用分野は、企業はもとより病院、学校、官公庁その他すべての事業体。 FMの活用によって期待される効果は、大きく分けて次のようなものがある。不要な施設、不足な施設、不適当な施設の使われ方の施設が明らかになり、経営にとって最適なファシリティのあり方が示される。 ファシリティの改革によって、経営の効率が最高度に向上。 同時に、施設関連費用(施設投資・施設資産・ファシリティコスト)を最小に抑えることができる。 顧客、従業員その他のファシリティ利用者にとって快適・魅力的な施設を実現。 省エネルギーを実現し、コスト低減とともに環境問題にとって効果的な解決手段となる。
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