パシナ型蒸気機関車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 09:36 UTC 版)
「あじあ (列車)」の記事における「パシナ型蒸気機関車」の解説
詳細は「南満州鉄道パシナ型蒸気機関車」を参照 主力牽引機は流線形蒸気機関車であるパシナ形で、その全長は25.675 m(連結面間距離、炭水車を含む)、車体幅3.362 m、高さは4.8 mに及び、動輪直径は2.0 m、運転整備重量203.31 t(軸重23.94 t)の大型機関車である。「パシナ」の名は満鉄の車両命名規則に由来しており、車軸配置2C1のアメリカ式呼称「パシフィック」の7(ナナ)番目の機関車を意味する。流線型のカバーは鋼材の骨組みを機関車本体を覆うように組み、骨組みに鋼板を張っている。当初、パシナ形の基本設計が実施された時点では流線形の採用は考慮されておらず、流線形覆いのない状態で軸重上限一杯を使い切る設計となっていた。このため、設計終盤での流線形採用決定にあたっては、各部の軽量化のための設計変更に様々な苦労があったと伝えられており、特にパシフィック形の軸配置で重量配分上、軸重上限ぎりぎりであった運転台直下の1軸従台車については、上限超過を避けるために2軸台車としてハドソン形(2C2)の軸配置も検討される状況であったが、これは従台車直上に置かれていた自動給炭機(メカニカル・ストーカー)用の動力装置一式を炭水車に移設することでかろうじて回避している。 炭水車(テンダー)は軸受にティムケン社のローラーベアリングを採用した2軸台車2個を履き、石炭12 t・水37 tを積載可能。空気抵抗低減のため、「あじあ」専用客車と同じ断面形状のカバーで覆われている。カバーは給水及び給炭を簡単に行うため、一部が軽合金製の開閉式とされた。また、機関車後部で発生する圧力抵抗を軽減するため、炭水車後尾部には空気の流れを整えるための小さな庇が設けられている。 線路上の性能試験では135 km/hで振動が激しくなりそこで断念、台上試験では145 km/hまで記録するもまたもや振動で断念、しかし後年誇張された伝説が流布される。以前は川崎重工の公式サイトにパシナ形の紹介ページがあり最高時速120km/h(時には170km/hを記録)と記述されていた。当時の鉄道省では最大速度150キロと認識されていたようである。1934年(昭和9年)に満鉄沙河口工場で3両、川崎車輛で8両が製作された。同年8月に試運転を完了、大連機関区に7両、新京機関区に4両が配置され、大連 - 新京間に投入された。なお、翌年増備された1両(981 - パシナ12)は、他の11両(970 - 980→パシナ1 - 11)とはかなり異なる外観であった。また、パシナ形は運用の間合いで急行「はと」等の牽引にも用いられていた。パシナ形のデザインは、流線形電気機関車「ペンシルバニア鉄道GG1形電気機関車」やたばこ「ピース」などのデザインを手掛けたことで知られるインダストリアルデザイナーのレイモンド・ローウィが絶賛している。
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