ナローバンド定額制や、無線系アクセスによる代替
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 16:56 UTC 版)
「情報格差」の記事における「ナローバンド定額制や、無線系アクセスによる代替」の解説
以上の解決策を適用してもなお回避できない諸事情のためにブロードバンド回線が利用できないケースが都市、地方や僻地等を問わずピンポイント的に存在し、そのような状況はしばしば「ブロードバンド難民」として形容された。 やむを得ずISDNベースのフレッツ・ISDNや、本来モバイル向け無線アクセスであるPHSのAIR-EDGEの定額制接続や、定額制の低速回線を使用し、電話代を定額で固定させるだけで解決を図るケースも見られた。 第三世代携帯電話においては384kbpsや、2Mbps以上の通信スループットを謳うサービスもあるが、日本国内ではほぼ全ての料金プランで、携帯端末単独での使用とPCなどに接続して使用する場合で課金制度が異なるため、単純に利用すると数万円 - 数百万円単位の高額な課金を請求される恐れがある(パケ死の項目も参照)。 PHSのAIR-EDGEにおいては最高408kbpsを謳うW-OAM通信がサービス開始されたが、第三世代携帯電話のMbpsクラスの高速サービスと同様に、東京・大阪などの都市部を優先してサービス展開がされるため、地方では常に後手に回り高速無線アクセスの提供が遅れた。なおPHSは2018年3月で全事業者が新規契約受付終了した。 2000年代末頃からモバイルブロードバンドの参入が相次いだ。2007年3月31日より、第三世代携帯電話では初となる携帯端末だけでなくPCを介した最大3,6Mbpsデータ通信も完全定額5980円で利用できるイー・モバイルが新規参入。2009年7月1日には、同じくPC利用での定額制を標榜するUQコミュニケーションズがモバイルWiMAXで参入した。サービス開始当初は東京23区・横浜市・川崎市・名古屋市・京都市・大阪市といった人口の多い都市部のみでの展開であり、人口カバー率も90%前後(すなわち概ね人口集中地区でしか利用できない)であり、これも情報格差の一端である。 また無線系アクセスの宿命として、通信パケット量が多くまたは通信時間が長くなるほど、課金が上昇する従量制(準定額制を含む)であったり、定額制・準定額制であっても高速な通信になるほどまたは通信時間が長くなるほど、基本料金が高額であったりと、固定通信系ブロードバンド回線に比較してスループット対コストのパフォーマンスが低い問題もある。また一部の利用者による帯域の占有が問題になっており、事業者が帯域制限を実施していることがパフォーマンスの低下に拍車をかけている。ただ、移動体通信事業には巨額の費用が必要であること、また有限資源である無線帯域を共用して伝送路として利用する以上、現状避けがたい問題ではある。 フレッツ・ISDNやダイヤルアップのISDNも、国内の全域で提供されているように思われがちだが、フレッツ・ISDNについては一部の地方で未提供の局がまだ残っており、完全な全域での提供に達していない。また収容局から加入者宅までの線路長が8〜10kmを超えるような遠距離の場合、ISDNのサービス自体がほぼ不可能である。よってダイヤルアップ接続、無線系アクセス等での定額制接続手段がない限りにおいて、いずれの常時定額接続手段も存在しない地域が一部の町・村・離島に残ることになっていた。この点については後述の総務省による「ブロードバンド・ゼロ地域解消事業」により解消が図られている。 なお、フレッツ・ISDNは2018年に新規契約受付を終了し、ISDNおよびメタル回線によるアナログ電話を前提とするサービスはPSTNマイグレーションに伴い2025年までに全廃することが決定している。
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