ソレム - 模索の時期あるいは転換期とは? わかりやすく解説

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ソレム - 模索の時期あるいは転換期

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 05:08 UTC 版)

ピエール・ルヴェルディ」の記事における「ソレム - 模索の時期あるいは転換期」の解説

1926年37歳のときに、ルヴェルディは芸術・文学によっては表現し尽くせないより深い精神性瞑想求めてカトリック帰依した。さらに友人の前で原稿焼却し、妻アンリエットとともにパリ去って北西部ソレムペイ・ド・ラ・ロワール地域圏サルト県)のサン・ピエール・ド・ソレム修道院近く移り住み以後1960年没するまで、窮乏孤独のうちに隠者のような生活を送ることになったとはいえ1930年までは『毛皮の手袋』、『はね返るボール』、『風の泉』、『白い石』などの代表作発表し続け30年代にも文芸誌に寄稿しているが、次の詩集屑鉄』が発表されるまで7年間のブランクがある。この間書かれ散文作品や「詩日記」と呼ばれる作品は後に作品集として発表されることになるが、詩による表現においては模索の時期あるいは転換期であった。このことは、詩集屑鉄』に収められ作品が、これ以前の詩とは性質方向性異にすることからも明らかである。一つには、上述のようにロマン主義的なリリスムとは一線を画しながらも、「私」表現、「詩情としての感情」の表現向かっている。この点で、精神性探求一環としてカトリック帰依した詩人が、『屑鉄』では、「信仰のしげみに」変わってしまい、もはや彼を「覆い隠す」ものではなく、「世界のなかに自己を失う」と語る。残るのは「優しさの灰あるいは愛の塩」や「いっそう乾いたパン固くなりすぎた心」だけである(「引き裂かれた心」)。これは詩人として創造においてはイマージュ論で「精神純粋な創造物」とされた静的イマージュ越えて、「未知へと向かう希求」、「情動いっぱいになったひとの内面が、不可避起こす外へ向けられ爆発」と定義されるリリスムの探求であり、同時にまたこの探求困難さ繰り返し直面する挫折絶望であり、さらには、にもかかわらず、この「最も低い鉱山坑道)そして不幸の腐植土厚く覆われ大地から再び出発」しようとする詩人苦闘である。 このように純粋に詩的芸術的な表現、そして静的イマージュから動的なリリスムの探求目指すルヴェルディは、第二次大戦中ソレム小村孤独な生活を続けルネ・シャールアルベール・カミュのように対独レジスタンス運動直接参加することも、また、ルイ・アラゴンポール・エリュアールのように地下出版によるレジスタンス参加することもなかった。これについてルヴェルディは「詩の状況」と題する記事発表し、「バリケード張ること」は必要であっても、「バリケード張りながら、同時にまたバリケードを歌うこと」、すなわち抵抗の詩を書くことできない語っている。 戦後大戦中に書かれ43編の詩とピカソによる125点のリトグラフ掲載した画集死者たちの歌』が発表された。1930年から1936年にかけて書かれた詩日記が『私の航海日誌』として1948年に『メルキュール・ド・フランス』誌社から刊行され、このほかにもブラックミロとの共同制作による詩画集発表された。 ルネ・シャールからの依頼により、ピュトー派キュビスム画家ジャック・ヴィヨン挿絵による詩画集制作開始したが、実現見ないまま、1960年6月17日ソレムにて70歳死去。この詩画集のために書かれた詩は、ピカソ挿絵アクアチント10点入り1966年に『流砂』として刊行された。

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「ソレム - 模索の時期あるいは転換期」を含む「ピエール・ルヴェルディ」の記事については、「ピエール・ルヴェルディ」の概要を参照ください。

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