スラグの問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/10 01:34 UTC 版)
国土交通省は、銅スラグやフェロニッケルスラグ等の非鉄スラグについて、適用法令は産業廃棄物(鉱さい)としている。また、万が一管理不十分のため異物や材料基準に合致しないものの混入が認められた場合は廃棄物と見なされる。 スラグは重金属が含まれている場合があるため、再利用の用途によっては重金属含有量の把握が必要である。例えば、建材試験センター規格の土工用製鋼スラグ砕石(JSTM H 8001)では、鉛・六価クロム・セレン・フッ素・ホウ素の溶出量基準と含有量基準が設けられている。スラグから重金属を取り除く技術も開発されてきている。 1974年(昭和49年)度において有害物質を含む可能性のある鉱さいを排出した事業所は、全国に532事業所あり、その排出量は300万トンで、これらの鉱さいの処分状況について見ると、排出量の62%が埋立処分されていた。 1975年(昭和50年)夏、重クロム酸ソーダ等6価クロム化合物の製造に伴って生じる6価クロム鉱さい埋立地周辺の環境汚染が社会問題となった。 1978年(昭和53年)1月の伊豆大島近海の地震に伴い伊豆半島所在の鉱山のたい積場が崩壊し、鉱さいが流出し、河川を汚染する等の事故が発生した。 鉄鋼スラグ 近代製鉄で発生する鉄鋼スラグは、カルシウムを大量に含有するために強い塩基性(アルカリ性)を示す。そのためにスラグを砕石として散布するなどのむき出しのままで使用する用途には適さない。強い皮膚刺激のために取り扱いには手袋が必須である。住宅地などで鉄鋼スラグがそのままの状態で使用され過去に問題となったことがある。 吸水して膨張する性質があり、盛り土に使った群馬県の民家のケースでは、地盤が盛り上がって床が歪むなどの被害も出ている。 2016年(平成28年)群馬県榛東村の大規模太陽光発電所(事業主:ソフトバンクグループのSBエナジー)の敷地に土壌環境基準を超える大同特殊鋼渋川工場から排出された鉄鋼スラグが使われ、村が撤去を検討していることが分かった。 2016年(平成28年)4月26日 大同特殊鋼渋川工場(群馬県)の鉄鋼スラグの件に関し、大同特殊鋼および連結子会社である大同エコメット(株)が、群馬県警により廃棄物処理法違反の容疑で前橋地方検察庁に書類送検された。 製鉄、製鋼及び圧延業の高炉、平炉、転炉及び電気炉から排出される鉱さいであつて、相当期間エイジングする等の措置を講ずることにより、公共用水域及び地下水の汚染を生じさせないようにしたものであっても管理型最終処分場に処分する産業廃棄物に該当する。 フェロニッケルスラグ フェロニッケルスラグのうち5-0.3mmの粒度範囲より微粉末のものは、使い道が少ない。 グリーンサンドは、コンクリート用スラグ骨材(JIS A5011-2)としてのJIS製品の他、有姿品・粉砕品があり、人工砂製品であるものの、化学組成は自然界の岩石などに含有されている成分に限られる。 その他スラグ 新居浜市の小学校の床下からスラグからカドミウムが含まれる結晶が隆起した。 東邦亜鉛は、同社安中製錬所から生じたスラグを、複数の建設会社に販売していたが、この中には、土壌汚染対策法で定められた環境基準の最大で約100倍の鉛や、数倍程度のヒ素が含まれていた。同社の内部調査によって、これらのスラグの一部が別の建設会社に転売され、群馬県内の住宅の庭や公園の駐車場など数十ヵ所で砂利として用いられていたことが明らかになった。同社は約70億円掛けて回収や撤去を実施するとしている。
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