スウェディッシュ・ラリーとは? わかりやすく解説

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スウェディッシュラリー

英語 Swedish Rally

モンテカルロルートのほとんどがドライターマックとなったいまでは、唯一のスノーラリーとしてWRC存在する。ただし、スウェーデン温暖化例外漏れず2月開催でも少なく路面は氷に覆われている程度。このラリーでは特殊なスタッドタイヤ使用許されスタッド突出量も最大6mmまで許されるなど、ほかのラリーではみられない特殊なタイヤ使用されるWRC唯一スカンジナビアンドライバー以外の優勝がないラリーとしても知られている。

※「大車林」の内容は、発行日である2004年時点の情報となっております。

ラリー・スウェーデン

(スウェディッシュ・ラリー から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/20 05:21 UTC 版)

ラリー・スウェーデン(Rally Sweden, : Svenska rallyt)は、スウェーデンで開催される世界ラリー選手権 (WRC) のイベント。スウェディッシュ・ラリー (Swedish Rally) とも呼ばれる。現在ではWRC唯一のフルスノーラリー。

歴史

1950年にインターナショナル・スウェーデン・ラリーとしてスタート。最初は真夏のミッドナイト・サン(白夜)ラリーとして行なわれたが、1965年より真冬のイベントとして行なわれてきた[1]。WRCでは開幕戦モンテカルロの後に続く冬季の連戦として定着している。2010年はラリー・ノルウェーが財政難で中止されたためノルウェーとの共催で開催された[2]

ラリー・フィンランド以上にスカンジナビアンが強いラリーとして知られ、地元スウェーデン勢とフィンランド勢の独壇場であった。この2ヶ国以外では、2005年にノルウェー人のペター・ソルベルグが優勝している。北欧勢以外で優勝したのはセバスチャン・ローブ(フランス)とセバスチャン・オジェ(フランス)、ティエリー・ヌービル(ベルギー)、オィット・タナック(エストニア)の、エルフィン・エバンス(イギリス)の5名。

1990年は雪不足のため開催が中止された。2016年も雪不足に見舞われ、選手側がスパイクタイヤでグラベルを走行する危険性を協議し、出走拒否(ボイコット)の可能性もあったが[3]、最終的にスケジュールを大幅に短縮して開催された。2020年も雪不足のため19SS(300.84km)を9SS(148.55km)に半減して開催された[4]

2021年は、新型コロナウイルス感染症の影響で、開催中止となった[5]

2022年は、北東部の都市ウメオへと本拠地が移された。北極圏までトルスビーよりも730kmほど近い所でのラリーとなる。

特徴

針葉樹の森の中を行くグラベルコースだが、コースの大半が雪や氷で覆われているため、スノーラリーと呼ばれている。氷点下20度の極寒のコンディションで行なわれ、低温によって油圧系統の機能が落ちたり、逆にインテークに雪が詰まるとエンジンがオーバーヒートする恐れもある[1]。近年は気温が上がり、積雪量が少ないこともある[6]。例年、ヴェーネルン湖の北岸カールスタードを拠点にしていたが、積雪量を確保するためルートを北へ移動し、一部でノルウェーとの国境をまたぐ形をとっている。

コースは比較的フラットで高速コーナーが連続し、雪上イベントでも平均速度はグラベルのラリー・フィンランドに次いで高い[7]。コーナーへの侵入では、コースサイドの雪壁(スノーバンク)にマシンの鼻先を当てて向きを変える特殊なテクニックが使われる[8]

このイベント用に幅20cm弱のナロートレッドに突き出し量6.5mmのスタッドを380本以上打ち込んだ特製スパイクタイヤが投入される[9]。通常よりもタイヤが細いのは、接地面の面圧を上げてスタッドをしっかり食い込ませるため。スタッドが固い氷を噛むことで、ターマックをしのぐ強いグリップ力が発生する[10]。SSのループ走行ではグラベルが露出してスタッドが脱落してしまうことがあるので、タイヤの温存にも配慮しなければならない[9]

コリンズ・クレスト

コリンズ・クレスト

ヴォルゴーセン (Vargasen) のSSにはかつてコリン・マクレーが豪快な大ジャンプを見せた「コリンズ・クレスト[11] (Colin's Crest) 」と呼ばれる高速ジャンピングスポットがあり、大勢の見物客がつめかける観戦ポイントでもある。マクレーがヘリコプター事故で亡くなった翌年(2008年)より毎年一番の飛距離を記録した選手へ「コリンズ・クレスト賞」が贈られる。過去の最長ジャンプは2016年にアイビン・ブリニルドセン(フォード・フィエスタR5)が記録した45m。

歴代コリンズ・クレスト賞受賞者

歴代優勝者(1973年以降)

優勝者 車輌
ドライバー コ・ドライバー
1973年 スティグ・ブロンクビスト アーネ・ヘルツ サーブ・96V4
1975年 ビョルン・ワルデガルド ハンス・ソルセリウス ランチア・ストラトス
1976年 パー・エクルンド ビョルン・セダーベルグ サーブ・96V4
1977年 スティグ・ブロンクビスト ハンス・シルヴァン サーブ・99EMS
1978年 ビョルン・ワルデガルド ハンス・ソルセリウス フォード・エスコートRS1800
1979年 スティグ・ブロンクビスト ビョルン・セダーベルグ サーブ・99ターボ
1980年 アンデルス・クラング ブルーノ・ベルグルンド オペル・アスコナ400
1981年 ハンヌ・ミッコラ アーネ・ヘルツ アウディ・クワトロ
1982年 スティグ・ブロンクビスト ビョルン・セダーベルグ アウディ・クワトロ
1983年 ハンヌ・ミッコラ アーネ・ヘルツ アウディ・クワトロA1
1984年 スティグ・ブロンクビスト ビョルン・セダーベルグ アウディ・クワトロA2
1985年 アリ・バタネン テリー・ハリーマン プジョー・205T16
1986年 ユハ・カンクネン ユハ・ピロネン プジョー・205T16E2
1987年 ティモ・サロネン セッポ・ハルヤンヌ マツダ・323 4WD
1988年 マルク・アレン イルッカ・キビマキ ランチア・デルタHF 4WD
1989年 イングバー・カールソン パー・カールソン マツダ・323 4WD
1991年 ケネス・エリクソン スタファン・パルマンダー 三菱・ギャランVR-4
1992年 マッツ・ジョンソン ラース・バックマン トヨタ・セリカGT-Four
1993年 トヨタ・セリカターボ4WD
1994年 トマス・ラドストローム
1995年†† ケネス・エリクソン スタファン・パルマンダー 三菱・ランサーエボリューションII
1996年 トミ・マキネン セッポ・ハルヤンヌ 三菱・ランサーエボリューションIII
1997年 ケネス・エリクソン スタファン・パルマンダー スバル・インプレッサWRC
1998年 トミ・マキネン リスト・マニセンマキ 三菱・ランサーエボリューションIV
1999年 三菱・ランサーエボリューションVI
2000年 マーカス・グロンホルム ティモ・ラウティアイネン プジョー・206WRC
2001年 ハリ・ロバンペラ リスト・ピエティライネン
2002年 マーカス・グロンホルム ティモ・ラウティアイネン
2003年
2004年 セバスチャン・ローブ ダニエル・エレナ シトロエン・クサラWRC
2005年 ペター・ソルベルグ フィル・ミルズ スバル・インプレッサWRC
2006年 マーカス・グロンホルム ティモ・ラウティアイネン フォード・フォーカスWRC
2007年
2008年 ヤリ=マティ・ラトバラ ミイカ・アンティラ
2010年 ミッコ・ヒルボネン ヤルモ・レーティネン
2011年 フォード・フィエスタWRC
2012年 ヤリ=マティ・ラトバラ ミイカ・アンティラ
2013年 セバスチャン・オジェ ジュリアン・イングラシア フォルクスワーゲン・ポロ R WRC
2014年 ヤリ=マティ・ラトバラ ミイカ・アンティラ
2015年 セバスチャン・オジェ ジュリアン・イングラシア
2016年
2017年 ヤリ=マティ・ラトバラ ミイカ・アンティラ トヨタ・ヤリスWRC
2018年 ティエリー・ヌービル ニコラ・ジルソウル ヒュンダイ i20クーペWRC
2019年 オィット・タナック マルティン・ヤルヴェオヤ トヨタ・ヤリスWRC
2020年 エルフィン・エバンス スコット・マーティン
2021年 中止
2022年 カッレ・ロバンペラ ヨンネ・ハルトゥネン トヨタ・GRヤリス ラリー1
2023年 オィット・タナック マルティン・ヤルヴェオヤ フォード・プーマ ラリー1
2024年 エサペッカ・ラッピ ヤンネ・フェルム ヒョンデ・i20 N ラリー1
  • † 1994年は2リッターワールドカップ (W2L) として開催。
  • †† 1995年はWRCとW2Lの併催。

脚注

  1. ^ a b 福井敏雄 "2014年WRC第2戦スウェーデン". J SPORTS.(2014年1月27日)2014年2月10日閲覧。
  2. ^ SVT Sport 27 april 2010 - VM-rally i Sverige även 2011 Archived 2012年5月25日, at Archive.is
  3. ^ "WRC参戦ドライバー、安全面に懸念があれば競技のボイコットも辞さないと強調". AUTOSPORTweb.(2016年2月18日)2017年2月15日閲覧。
  4. ^ 最終日のSS17 リケナスがキャンセル”. RALLY X mobile (2020年2月15日). 2020年2月18日閲覧。
  5. ^ 第2戦スウェーデンが中止に。2021年2月に開催予定も、新型コロナの影響被る as-web.jp(2020年12月16日)2020年1月2日閲覧。
  6. ^ "PWRC RD.02 スウェディッシュ・ラリー". ENDRESS OFFICIAL WEBPAGE.(2008年)2013年12月2日閲覧。
  7. ^ "プレビュー". SUBARUモータースポーツ.(2004年)2013年12月2日閲覧。
  8. ^ "EVENT GUIDE RD.2". SUBARU MOTORSPORT MAGZINE.(2008年)2013年12月2日閲覧。
  9. ^ a b "384本のスタッドが鋭く雪面を捉える! シーズン唯一のフルスノーラリーにスタッドタイヤ「ミシュラン・Xアイス・ノース2」を投入". 日本ミシュランタイヤ.(2014年2月3日)2014年2月10日閲覧。
  10. ^ "WRCスウェーデンの舞台裏、鍵を握るスタッド". Rally+.net.(2017年2月15日)2017年2月15日閲覧。
  11. ^ ラリー用語の「クレスト」とは、「先の見通せない起伏」を意味する。
  12. ^ 1回目の走行での記録が賞の対象になるため、2回目の走行で41mを記録したオジェではなく、1回目に36mを飛んだユホ・ハンニネンが2014年の受賞者となった。

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