モンツァ・ラリーショーとは? わかりやすく解説

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モンツァ・ラリーショー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/04 23:03 UTC 版)

モンツァ・ラリーショー(Monza Rally Show)は、イタリアモンツァで開催されるラリーイベントである。

概要

2013年、フォード・フィエスタ RS WRCを駆るロッシ

1978年よりモンツァ・サーキットで開催されている。イタリアのモータースポーツシーズンが休暇に入る12月に行われる年末恒例のお祭り的イベントであり、世界ラリー選手権 (WRC) の現役ドライバーを含め、二輪・四輪問わず様々なカテゴリから選手が参加する。2017年は22台のWRCカーを含め全105台・210名が参戦し、55,000人の観客を動員した[1]

とりわけ、MotoGPのレジェンド、バレンティーノ・ロッシはこのイベントに熱を入れており、WRCドライバー並みにワールドラリーカーを運転し、個人最多優勝記録(7勝)を持っている[2]

F1イタリアGPの舞台となるロードコースを含め、モンツァ公園内にあるサーキットの広い敷地を利用し、ユニークなSSが設定されている。ピットレーンやホームストレート上に障害物を置いてジムカーナ風のタイムアタックをしたり、未舗装のサービスロードをダートトライアル風に走ったり、現在は閉鎖されている傾斜の付いたオーバルトラックの一部も走行する。

3日間の日程で8から10ステージを走行し、総合タイムで順位を争う。また、最終日には1対1勝ち抜きトーナメント方式の「マスターズ・ショー」も行われる。

ラリー・モンツァ

2020年新型コロナウイルス感染症の世界的流行によりヨーロッパ圏外のWRCイベントが相次いで中止となり、国際自動車連盟 (FIA) が選手権カレンダーを再編した結果、公式競技会ではない当イベントがACIラリー・モンツァ (ACI Rally Monza) [3]として追加され、WRC初開催に至った[4]。イタリア本土でのWRC開催は2003年サンレモ以来。ただし、感染予防のため無観客開催となった。

WRCイベントとしてはSS総距離200kmを超えることが条件とされたため、金曜日・日曜日はサーキットを舞台としながら、土曜日のみモンツァから東北に移動し、ベルガモ北側のコモ湖周辺の山岳道路を使用する公道ステージが加えられた。

イベント期間中は低温・大雨の過酷なコンディションとなり、急遽スノータイヤ(スタッドレス)の使用が認められた[5]。山岳コースでは降雪に見舞われ、ポイントリーダーのエルフィン・エヴァンスがコースオフしてリタイア[6]。初のWRC王者を目前にして、14ポイント差を付けていたチームメイトのセバスチャン・オジェに逆転を許すというドラマが生まれた[7]

2021年はリザーブ扱いとなっていたが、9月に最終戦ラリージャパンが開催中止を発表し、2年連続のWRC開催が決まった[8]。日程は金曜日・土曜日は午前中に山岳コース、午後はサーキット、日曜日はサーキットという形に変更された。

2022年からラリー1規定が導入されるため、この一戦は1997年以来続いてきたワールドラリーカーの最後のステージとなった。この年一杯でレギュラー参戦を終えるオジェが2年連続優勝し、通算8度目のチャンピオンを獲得した[9]

歴代勝者

[10]

優勝者 車輌
ドライバー コ・ドライバー
1978年 フェデリコ・オルメッツァーノ レナート・ジェノバ ポルシェ・911カレラRS2.7 グループ3
1979年 ラファエレ・ピント ファビオ・ペナリオール フェラーリ・308GTB グループ4
1980年 フェデリコ・オルメッツァーノ レナート・ジェノバ ポルシェ・911SC グループ4
1981年 クラウディオ・ベロ ランチア・ストラトス グループ4
1982年
1983年 アダルティック・ヴォダフィエリ ティツィアナ・ボルギ ランチア・ラリー037 グループB
1984年 アッティリオ・ベッテガ マウリツィオ・ペリシノ
1985年 アダルティック・ヴォダフィエリ ティツィアナ・ボルギ
1986年 ジャンフランコ・クニコ ジャンルイジ・スカルヴィーニ
1987年 フルヴィオ・バチェッリ パオロ・スポロン
1988年 マルコ・ブランド マリア・レヒライトナー
1989年 ダリオ・セラート ジュゼッペ・チェッリ アルファロメオ・75 IMSA
1990年 ジャンフランコ・クニコ ステファノ・エヴァンジェリスティ BMW・M3 グループA
1991年 アンドレア・ザヌッシ パオロ・アマティ
1992年 ニコラ・ラリーニ アルナルド・ベルナキーニ アルファロメオ・155GTA S1
1993年 アンドレア・ザヌッシ パオロ・アマティ フォード・エスコートRSコスワース S1
1994年 ジョルジオ・フランシア モニカ・ブレゴリ アルファロメオ・155 V6 TI DTM
1995年 マルコ・スピネッリ シルヴィオ・ペルリーノ フォード・エスコートRSコスワース グループA
1996年 フォード・エスコートRSコスワース グループS
1997年 アルナルド・ベナキーニ トヨタ・セリカGT-FOUR (ST205型) グループA
1998年 アンドレア・ダラヴィラ ダニエレ・ヴェルヌッチョ スバル・インプレッサWRC
1999年 レナート・トラヴァリア フラヴィオ・ザネッラ プジョー・306 Maxi (フォーミュラ2)
2000年 リナルド・カペッロ ディノ・ザナッタ スバル・インプレッサWRC
2001年-2002年 開催されず
2003年 アレッサンドロ・バタグリン ジャンニ・マルキ トヨタ・カローラWRC
2004年 リナルド・カペッロ ルイジ・ピローロ シュコダ・ファビアWRC
2005年
2006年 バレンティーノ・ロッシ カルロ・カッシーナ フォード・フォーカスWRC
2007年
2008年 リナルド・カペッロ ルイジ・ピローロ
2009年 シトロエン・C4 WRC
2010年 ダニ・ソルド ディエゴ・バジェホ
2011年 リナルド・カペッロ ディノ・ザナッタ スバル・インプレッサ WRC
2012年 セバスチャン・ローブ セヴェリン・ローブ シトロエン・DS3 WRC
2013年 ダニ・ソルド マルク・マルティ シトロエン・DS3 WRC
2014年 ロバート・クビサ アレサンドラ・ベネデッティ フォード・フィエスタ RS WRC
2015年 バレンティーノ・ロッシ カルロ・カッシーナ
2016年
2017年
2018年 フォード・フィエスタWRC
2019年 アンドレア・クルニョーラ マルコ・ベルゴンツィ フォルクスワーゲン・ポロGTI R5
2020年 セバスチャン・オジェ ジュリアン・イングラシア トヨタ・ヤリスWRC
2021年

脚注

  1. ^ MotoGPライダーのロッシが4輪競技で3連覇!? モンツァ・ラリーショーって何だ?”. Motorz (2018年1月7日). 2022年9月19日閲覧。
  2. ^ モンツァ・ラリー ショー (Monza Rally Show) - ロッシ全力疾走で完全優勝” (2018年12月13日). 2022年9月19日閲覧。
  3. ^ Automobile Club d'Italia(イタリア自動車クラブ)。
  4. ^ “WRC最終戦にラリーモンツァを追加、2020年は全8戦に”. ラリープラス.net. (2020年10月9日). https://www.rallyplus.net/73465 2022年9月19日閲覧。 
  5. ^ “FIA、ラリー・モンツァのスノータイヤを承認”. ラリーXモバイル. (2020年12月2日). http://rallyx.net/news/FIA%E3%80%81%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%84%E3%82%A1%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%82%92%E6%89%BF%E8%AA%8D-19559/ 2022年9月19日閲覧。 
  6. ^ “WRCモンツァ3日目は雪山での戦い。最終日を前に選手権首位のエバンスがまさかのコースオフ”. autosport web. (2020年12月6日). https://www.as-web.jp/rally/652473 2022年9月19日閲覧。 
  7. ^ “WRC最終戦:トヨタのオジエが優勝で7度目の王座獲得! メーカー選手権はヒュンダイに軍配”. autosport web. (2020年12月6日). https://www.as-web.jp/rally/652809?all 2022年9月19日閲覧。 
  8. ^ “WRC、ラリージャパンの代替として2021年最終戦にモンツァ開催を発表”. ラリープラス.net. (2021年9月14日). https://www.rallyplus.net/81213 2022年9月19日閲覧。 
  9. ^ “WRCモンツァ:オジエ/イングラシアが優勝で8度目の王者、チームはマニュファクチャラーズタイトルを獲得”. ラリープラス.net. (2021年11月22日). https://www.rallyplus.net/83071 2022年9月19日閲覧。 
  10. ^ https://www.monzanet.it/?option=com_content&view=article&id=124&Itemid=53&lang=it

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