シラキとは? わかりやすく解説

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シラキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/22 13:50 UTC 版)

シラキ
紅葉したシラキ、鈴鹿山脈三重県いなべ市にて
2019年10月撮影
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : 真正バラ類I eurosids I
: キントラノオ目 Malpighiales
: トウダイグサ科 Euphorbiaceae
亜科 : トウダイグサ亜科 Euphorbioideae
: ヒッポマネ連 Hippomaneae
亜連 : ヒッポマネ亜連 Hippomaninae
: シラキ属 Neoshirakia
: シラキ N. japonica
学名
Neoshirakia japonica (Siebold et Zucc.) Esser (1998)[1]
シノニム
和名
シラキ

シラキ(白木[6]学名Neoshirakia japonica)は、トウダイグサ科シラキ属に分類される落葉小高木の1[7][8]。山地の谷沿いなどに生える。和名が白いことに由来する[7][9]。別名がシロキ[8]、アツバシラキ、オオバシラキ[1]

1954年に Shirakia属に入れられたが、不正な命名であることが判明してShirakia属の種は、シラキ属、Shirakiopsis 属、ナンキンハゼ属Triadica)に分けられた。シラキ属はシラキ一種のみの単型である。

特徴

高は5 - 9 メートル (m)[7]直径10 - 30 センチメートル (cm)[7]。全株無毛[9]樹皮は灰褐色または灰白色でなめらかで縦すじが入り[10]、老木では縦に細く浅い裂け目がある[8]。若木の樹皮は粉を吹いたように見え、触ると白い粉がつくことがある[11]。一年枝は無毛でジグザグ状になる[11]を切ると白い乳液が出る[7][9]

カキノキに似た形で[10]単葉で互生し、葉身楕円形、先端は鋭く尖り、長さ7 - 13 cm、幅6 - 11 cm[8]、全縁で縁は波打つことがあるが、鋸歯はない[6]。葉の形状に変異が著しい[12]。葉の表面には多少光沢があり[12]。葉の裏面は薄緑白色で無毛で[8]葉脈が隆起し、葉縁近くの葉脈上に腺が散在する[12]葉身の基部は切形、葉柄は長さ1 - 2.5 cm、葉身の基部または葉柄が葉身につく部分に腺点がある[8]托葉は狭長楕円形で長さ1 - 2 cmで、落ちやすい[13]。若い葉柄は紫色を帯び、葉は秋に美しく黄色から橙色、赤色に紅葉する[7]。知名度は低いが紅葉の美しさはトップクラス[6]

花期は5 - 7月[8]は単性で雌雄同株[14]。若枝に長さ5 - 10 cmの総状花序を出し、花序の上部に多数の黄色の雄花を付け、基部に1 - 3個の雌花を付けるが[7]、雌花を欠くこともある[8]。雄花の花柄の長さは2.5 - 3 ミリメートル (mm)[8]、雄花に花弁はなく、片は2 - 3個で[15]皿状で、2-3個の雄蕊があり、花糸は短くて基部で合着する[7]。雌花に花弁はなく、柄の長さは約7 mm、萼は2 - 3個で3裂して長さ1 mmほど、子房は2 - 3室[15]花柱は3個で基部が合着する[8]

果実は直径1.8 cmの三角状球形の蒴果で先端に花柱が残り[8]、3稜がある[10]。果実は10 - 11月に黒褐色に熟し3つに裂け、白い糸で3個の種子をぶら下げる[7]。種子は直径8 mmの扁球形で、薄黄色に黒い斑紋が入り、細かなしわがあり、約50パーセント分を含む[7]

冬芽は長三角形で尖り、鱗芽で褐色をしている[10][11]。枝先につく仮頂芽と、枝に互生する側芽はほぼ同大である[11]。仮頂芽は長さ3 - 5 mmの長三角形、芽鱗は2個、無毛[15]。葉痕は半円形で大きく、維管束痕は3個[15]。葉痕の角に托葉痕がある[15]

分布と生育環境

山地の落葉樹林帯に生育するシラキ

中国朝鮮半島日本に分布する[7][9]

日本では、本州四国九州沖縄に分布する[7][9]。北限が岩手県[9]

山地丘陵地の落葉単葉樹林帯に生育し、特に渓流沿いに多い[8]

用途

庭木公園樹として植栽されている[8]。木材は器具材、細工物、薪炭などに利用されている[7]。かつては種子の油をしぼって、食用油灯油塗料整髪料などに利用されていた[7][13]

種の保全状況評価

日本では国レベルの環境省によるレッドリストの指定はないが[16]、以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている。

脚注

  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Neoshirakia japonica (Siebold et Zucc.) Esser シラキ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月19日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Sapium japonicum (Siebold et Zucc.) Pax et K.Hoffm. シラキ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月19日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Triadica japonica (Siebold et Zucc.) Baillon f. macrophylla Hurus. シラキ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月19日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Triadica japonica (Siebold et Zucc.) Baillon シラキ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月19日閲覧。
  5. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Sapium japonicum (Siebold et Zucc.) Pax et K.Hoffm. var. ryukyuense Masam. シラキ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月19日閲覧。
  6. ^ a b c 林将之 (2008), p. 39
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n 林弥栄 (2011), p. 384
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m 菱山 (2011), p. 159
  9. ^ a b c d e f 牧野・本田 (1982), p. 283
  10. ^ a b c d 林将之 (2017), p. 95
  11. ^ a b c d 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 209
  12. ^ a b c 田中 (2008), p. 222
  13. ^ a b 太田ほか (2000), p. 195
  14. ^ 馬場 (2009), p. 253
  15. ^ a b c d e 太田ほか (2000), p. 194
  16. ^ 環境省レッドリスト2019の公表について”. 環境省. 2020年4月24日閲覧。
  17. ^ 「秋田県の絶滅のおそれのある野生生物 秋田県版レッドデータブック2014-維管束植物-」の発刊について”. 秋田県. 2020年4月24日閲覧。
  18. ^ 掲載種リスト” (PDF). 沖縄県. pp. 81. 2020年4月24日閲覧。
  19. ^ 植物準絶滅危惧(784種)(平成27年度改訂)”. 鹿児島県 . 2020年4月24日閲覧。

参考文献

外部リンク



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