クール - サンモリッツ(アルブラ線)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 10:12 UTC 版)
「レーティッシュ鉄道」の記事における「クール - サンモリッツ(アルブラ線)」の解説
路線長:89.0km 開通年クール - テュシス(27.3km):1896年7月1日 テュシス - ツェレリーナ(59.1km):1903年7月1日 ツェレリーナ - サンモリッツ(2.6km):1904年7月9日 電気方式:交流11kV 16.7Hz 最急勾配:35パーミル 標高:569.2-1820m 隧道:41箇所 橋梁:50箇所 複線区間クール - ライヒェナウ・タミンス間(9.7km) トゥシス - シルス(ドムレシュク)間(1.8km) ランドヴァッサートンネル南口 - フィリズール間(1.0km) プレダ駅付近(2.1km) レーティッシュ鉄道のメインラインであり、クールを出た後ライン川に沿って進み、ライヒェナウ・タミンス駅でオーバーランド線と分岐してからは同じくフォルダー・ライン川と分かれたヒンター・ライン川を、その後トュシスからはその支流であるユリア川のシュン渓谷を、ティーフェンカステルからはさらに分かれたアルブラ川に沿ってアルブラ渓谷を登り、アルブラ川とドナウ川の主要な支流の一つであるイン川の支流との分水嶺であるアルブラ峠をアルブラトンネルで越えてエンガディン地方へ入り、ベーベルからはサンモリッツに向けてイン川を上る路線で、氷河急行、ベルニナ急行の運行区間の一つである。 クールからライヒェナウ・タミンスまでの間9.7kmは複線で、そのうちクールからドマート/エムスまでの間はうち1線がスイス国鉄から乗り入れる貨物列車用の1435mm軌間と1000mm軌間の三線軌条となっており、1435mm軌間の軌道を使用する際には単線並列的に使用される。また、この区間の架線電圧はレーティッシュ鉄道の列車用の交流11kV 16.7Hzであるが、架線電圧交流15kV 16.7Hz対応のスイス国鉄の電気機関車が牽引する貨物列車もそのまま入線する。途中のフェルスベルク駅からはカランダ・ビールのビール工場への三線軌条の引込線が、ドマート/エムス駅からは化学製品メーカーのエムスケミーの工場への1435mmの引込線がそれぞれ設置されている。 トゥシス-ティーフェンカステル間でユリア川を越えるソリス橋はレーティッシュ鉄道で一番高い橋であり、全長164m、高さ89mの石造橋である。 ダヴォス方面の路線と分岐するフィリズールの手前でアルブラ川は同じくダヴォス湖から流れるランドヴァッサー川と分かれるが、アルブラ線がこの分かれたランドヴァッサー川を渡る橋がレーティッシュ鉄道随一の名所であるラントヴァッサー橋である。この橋は全長141.7m、最大高さ65m、勾配20パーミルの6連アーチの石造橋であり、橋のティーフェンカステル側は急な斜面となっているが、フィリズール側はほぼ垂直の崖となっており、橋がランドヴァッサートンネルへ直接つながっており、橋が半径400mのカーブとなっていることと合わせて絶好の景観を生み出している。 フィリズールから先はアルブラ川に沿ってさらに上るが、この区間はループ線等を多用して高度を稼いでいる。フィリズール駅近くでループ線1箇所、ベルギュン-ブレダ間ではオメガループ線2箇所とループ線とダブルループ線1箇所ずつが連続し、この区間は直線距離では約5kmであるが、線路長12.6kmで高度416mを登っている。なお、冬季にはこのループ線区間で列車をリフト代わりに利用するそり遊び客用にベルギューン-プレダ間にシャトルトレインが多数運行される。 ブレダ駅を過ぎるとすぐにアルブラ峠をくぐり北海と黒海の分水嶺であるアルブラトンネルに入る。このトンネルは開通時、狭軌世界最長のトンネルであり、現在でもアルプスを越える最も標高の高いトンネルであり、全長5866mでブレダ側約3000mが上り10パーミル、その先が下り2パーミルとなっている。2010年まではアルブラトンネルを通過するテュシス-サメダン間で自動車積載貨車が運転されており、両駅に自動車積載用の設備が設けられているが、この線の車両限界が通常の大きさであるため、高さ2.5m、幅2.2mまでの自動車までしか積載することができなかった。なお、アルブラトンネルは老朽化が進行しているため、並行して新トンネルを建設し、現アルブラトンネルを非常用の避難路とする計画が進行している。 アルブラトンネルを越えてエンガディン地方に入ると、ロマンシュ語圏となって家屋の様式なども変わるが、アルブラ線はベーベル駅でエンガディン線と分岐してイン川を上り、サメダンでポントレジーナ方面へ分岐したあと終点でありベルニナ線との接続駅で両線が並ぶ行き止まり式の駅であるサンモリッツへ至る。サンモリッツはイン川の途中にあるサンモリッツ湖の畔にある高級リゾート地で、1928年と1948年の2回の冬季オリンピックが開催されるなど世界的にも有名であり、シャンパン気候と呼ばれる爽やかな気候が特徴である。 レッツゥーンス駅とその周辺 トゥシス駅 トゥシス駅とその周辺 高さ89mのソリス橋 ティーフェンカステル駅 ティーフェンカステル-スラバ間の貨物列車 フィリズール駅とその周辺、手前がサンモリッツ側 ベルギューン駅とその周辺 ベルギューン付近のループ線を上る列車 ループ線を上る列車、前の写真の続き ベルギューン-プレダ間のループ線 ベルギューン-プレダ間のループ線 プレダ付近、機関車の側面にこの区間の線形図が描かれている プレダ駅とアルブラトンネル入口 ランドヴァッサー橋 ランドヴァッサー橋を渡る氷河急行 サメダン駅とその周辺、右がサンモリッツ、右上がポントレジーナ方面 冬のツェレリーナ駅とその周辺 サンモリッツ湖とサンモリッツ駅 冬のサンモリッツ駅とその周辺
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