オリエンテーリング
歴史と沿革
オリエンテーリングの起源は、“獲物を求め各地を訪れ、家族の待つ地へ帰る”という古代の人間の生活手段にあると言われますが、スポーツとしてのオリエンテーリングの原型は、20世紀初頭に北欧の軍隊で行われていた斥候訓練です。
オリエンテーリングはドイツ語で“Orientierungslauf”と書きます。これは「方向を知る」という意味の“Orientierung”と「走る」を意味する“Lauf”の合成語です。現在の形式の競技会が1919年にストックホルムで行われ、その後北欧諸国に広まりました。ただし、世界中に普及したのは第二次世界大戦以降のことです。
1961年に北欧・東欧諸国は国際オリエンテーリング連盟を結成し、それまで地域ごとに異なっていた地図の表記や競技方法を統一しました。最初の世界選手権はその5年後の1966年に開催されています。現在では40カ国が連盟に加盟しており、世界選手権、ジュニア,マスターズ各世界選手権と各国を転戦するワールドカップの他、スキー、マウンテンバイク、車椅子部門でも世界選手権が開かれています。
日本にオリエンテーリングが入ってきたのは1966年。最初の全日本大会は1975(昭和50)年に開催されました。現在、国内にはおよそ300万人の愛好者がいます。
ルールと競技方法
オリエンテーリングは、地図とコンパスを使い、山野の各所に設定されたいくつかの地点(コントロール)を通過してゴールに着くまでの「速さ」を競うスポーツです。一般にオリエンテーリングはハイキング感覚で歩きながら行う、といったイメージがあるかも知れませんが、タイムを競う競技オリエンテーリングは山野を猛スピードで駆けめぐる非常にハードなスポーツです。
また、各地に設置されているオリエンテーリングのコースは競技には使われません。競技オリエンテーリングのコースは競技の公正を守るため、大会主催者が直前に設置し、競技開始まで非公開とするからです。選手にはスタートと同時にコースの地図が渡され、この地図とコンパスを頼りにコントロール間のルートやスタミナ配分を決定します。選手間での駆け引きができないよう、各選手のスタートは1分以上の間隔があけられ、また競技中に出会った他の選手に誤った情報を与えることも禁止されています。
大会では、性、年齢、経験度のそれぞれに応じた距離や難易度の異なるコースが、体力と方向決定技術の双方が試されるよう設定されます。世界選手権大会などで行われる主要種目として、競技時間およそ90分(女子は75分)で行われる「クラシック競技」があり、地形の状況にもよりますが、男子で距離約18km、女子で約12km程度に設定されます。その他、クラシック競技の約1/3の距離と時間で行われる「ショート競技」、オリエンテーリングの駅伝とも言える1チーム4人(または3人)の「リレー競技」などがあります。
オリエンテーリングの面白さは、何よりも未知への挑戦、そして緑豊かな自然の中で自らの判断力、決断力で推理パズルを解くように冒険を味わうことができる、その一点に集約されるのではないでしょうか。
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