アメリカの宗教哲学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/22 20:56 UTC 版)
特に哲学の分野に於いて、それらの知識は、本来は広く公に、 人々が社会的目的の為に、又個人の幸福の創造の為に実用されることが望ましい筈であるが、哲学の目的が、本質から解離し、学問の為の学問に陥っているとして、本来の哲学の持つ意義は、より多くの人々によって理解され、各々の生活、人生に生かされるとき、その本質的価値をはじめて獲得するとし、一つの実践哲学を唱えたアメリカの作家・冒険家であるL・ロン・ハバードは、1950年、著書『ダイアネティックス:心の健康の為の現代科学』に於いて初めて人間の無意識の構造を解き明かし、人間の振る舞いや思考に関する新たな視点を説明した。また、根源的に全ての生命の活動は、「生存せよ」という唯一の衝動によって促されているとし、存在のダイナミック原則を展開した。それ以後、1954年にはサイエントロジー応用宗教哲学(Scientolgy Application Philosophy of Religion)を創設。サイエントロジー応用宗教哲学は、停滞する現代の哲学、ひいては自然科学に大きな遅れをとったとされる人文科学の分野に於いて、新たな可能性と哲学の在り方を提示した。公に誰もが理解し、適用可能な哲学、更には、自ら実態の本質に到達することを可能とする理論体系は、宗教の持つ本質的役割を内包しながら、学術的展開に終始するのとは異なり、知識の実践的適用を強調した。またサイエントロジーは、『神』を「神、または無限の性質」と定義する。これは、無神論、及びあらゆる信仰とも矛盾しない宗教哲学の特性を示しているが、その前提には、人間個人による自己決定に於ける「同意」が各々の現実世界の実態を創造しているという観点に起因している。更には、個人の観察と体験的な教育方法を通して、その本質的「理解」に到達すると説く。ここでの「理解」とは、現実的存在のみならず、精神的体験に対する個人の観察及び知覚を通じて、最終的に到達する自己決定による結論的理解を指しているが、サイエントロジーの用いる技術的応用はヘーゲルが述べるところの「純粋思惟」の限界、及び実存主義との矛盾を解消し、その他の解釈学の主張を実証する可能性を示すものとされている。こうした個人の主体を通しての実体験を伴った教育が、現代の哲学の新たな潮流として登場している。
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