アウトレット・ストア
アウトレットストア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/28 01:04 UTC 版)

アウトレットストア(英: outlet store)、またはアウトレットショップ(英: outlet shop)は、製造業者が自社製品を消費者に対して直接販売する店舗(対面販売店舗もしくはオンラインストア)。
アウトレットストアには、消費者にとって商品を通常より安く手に入れられる利点があり、各製造・販売業者にとってはブランドイメージを損なわずに在庫を処分できる利点がある[1]。ショッピングモールの形態を取ることで、多数のブランドや業種を揃えた利便性を備えることができ、販売者は消費者に対して商品購入の選択幅を提供できる[1]。
概要
アウトレット(英語: outlet)は元々英語で「出口」「放出口」の意味があり、転じて流通業界では「販路」「売り先」を指す言葉となっている[1]。
別名のファクトリーアウトレット(英: factory outlet)、ファクトリーストア(英: factory store)が指すように、元々は工場に併設され、過剰在庫や閉店在庫、通信販売のクーリングオフ品、実用上は問題のない欠格品(いわゆる「わけあり商品」。「半端もの」「棚ずれ品」とも)などの不良在庫を処分するための店舗を開いたのが始まりである。かつての「L・L・ビーンストア」のように客が工場の製造過程を見ることができる店舗もある。
この他には、自社で商品を生産しない事業者(モール外で量販店を運営する企業など)が複数のメーカーから卸売を介さずに仕入れた、アウトレットストア用に新規に開発された品質を落として製造された商品(アウトレット専売商品、いわゆる廉価版)を扱う店舗もあり、リテール・アウトレットと称する。在庫処分目的だけでなく、新ブランド・新商品の反応を得るための市場調査目的のためにも設置される[2]。
アウトレットストアの販売形態は、アメリカの靴製造業「デクスター・シュー・カンパニー」を興したハロルド・アルフォードが始めたといわれている[3]
アウトレットモール
現代では各ブランドがショッピングモールの中にテナントとして入居する事例が多く、そのようなショッピングモールは「アウトレットモール」と称される。アメリカで人気を集めている業態で、従来型のショッピングセンターに類似するが、ブランドがより高級であることが特徴。中にはメイスリッチの展開する「ファッション・アウトレット・コンセプト」のように屋内型のモールも存在する[4]。サイモン・プロパティ・グループの展開する「プレミアム・アウトレット」は全米で67店舗を展開し、業界の首位を保っている[5]。
歴史

アウトレットストアの業態は、1930年代にアメリカ東部で、工場直売店が従業員向けに、破損品や余剰品を低価格で提供したのを起源とする。その後、工場直売店は従業員以外の一般向けにも販売するようになった[6]。 1936年、男性向けアパレルブランド「Anderson-Little」が工場とは別の独立したアウトレットストアをオープンしている。
1970年以降、特に1980年代から90年代にかけて、アメリカでアウトレットモールの業態が発展、後に世界中に広まっている。
通常の小売店舗との違い
アウトレットストアで扱われる製品は、わけあり商品や在庫処分を除けば、通常の店舗で販売される(高価格帯の)製品に比べて素材の質を落とし、製造工程も一部簡略化してアウトレット向けに特別に製造したものである[7][8]。商品の値札には「比較(可能)価格」と書かれている場合があるが、これは通常の店舗で同様の製品を販売する際に推定される定価を示してあるものの、商品の多くはその製品が同様の価格で販売されたことはない[9][10]。
通常の店舗より返品ポリシーが厳しいことが多く、一般にはアウトレットストアで購入した製品についての返品や交換はアウトレットストアでの取扱いに限定している[11]。
出典
- ^ a b c 『アウトレットストア』 - コトバンク
- ^ 『アウトレット・モール』 - コトバンク
- ^ Pérez-Peña, Richard (2007年11月17日). “Harold Alfond, Donor and Shoe Factory Owner, Dies at 93” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2021年9月12日閲覧。
- ^ “Marcerich Leasing” (英語). Macerich (2019年7月10日). 2025年6月22日閲覧。
- ^ “Simon Mall Locations” (英語). Simon. 2025年6月22日閲覧。
- ^ “A Survey of Outlet Mall Retailing: Past, Present and Future”. insead.edu. 2016年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年6月15日閲覧。
- ^ Chao, Mary. “Q&A: The differences between an outlet and mall store” (英語). Democrat and Chronicle. 2023年1月22日閲覧。
- ^ “Retail vs. outlet store: Can you tell which outfit costs more?” (英語). TODAY.com. 2023年1月22日閲覧。
- ^ “FAQ”. CoachOutlet.com. 2024年9月30日閲覧。 “The Comparable Value is an indication of value based on the quality of the material used, our commitment to craftsmanship and the high standards demanded by Coach and initial prices charged for similar products in the market. The Comparable Value is not intended to be a representation of a sale or of savings versus any particular product on a particular day.”
- ^ Wisoff, Brandon (2019年1月). “The Price is Not Right: Class Action Risks of Comparative Price Advertising”. 2024年9月30日閲覧。
- ^ “Outlet shopping: The deal is in the details” (英語). Consumer Advice (2019年7月10日). 2023年1月22日閲覧。
関連項目
アウトレットモール
(アウトレット・ストア から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/27 21:37 UTC 版)

アウトレットモール(英: outlet mall、または、outlet centre)とは、流通業(小売業)の形態のひとつで、衣料品、アクセサリー、大型日用品などの商品を低価格で販売する複数の直接販売店舗(アウトレットストア、アウトレット店)が集積したショッピングモールのこと。
概要
テナントの中心が専門店や百貨店などで販売されている有名ブランド品を低価格で販売するアウトレットストアで構成されるショッピングセンター(ショッピングモール)である[1]。買い手にとっては一か所でさまざまなブランド品を安く購入できるというメリットがある[1]。
従来型のショッピングセンターに類似するが、ブランドがより高級であることが特徴。中にはメイスリッチの展開する「ファッション・アウトレット・コンセプト」のように屋内型のモールも存在する[2]。
アメリカ合衆国では、サイモン・プロパティ・グループの展開する「プレミアム・アウトレット」は全米で67店舗を展開し、業界の首位を保っている[3]。
歴史
1970年、アメリカのアパレルメーカー・VFコーポレーションが複数店舗形態によるアウトレットストア(アウトレットモール)をペンシルベニア州レディングに開店[4]。この業態により、メーカーは小売業に参入し消費者に商品を直接販売できるようになったことで、従来の流通に比べてより多くの利益を得られるようになった[4]。一方で、従来販売を手掛けてきた百貨店やチェーンストアとの関係を悪化させないように、大都市でのアウトレットモール整備は避けられ、百貨店からは離れた、幹線道路沿いリゾート施設付近などに建設された[4]。
1980年台から90年代にかけて、アウトレットモールは全米に急速に広まった。アメリカにおけるアウトレットモールは1-2ヘクタールの小売面積を有し、段階的に5ヘクタールほどにまで拡張出来るようになっている。平均的な施設面積は216,000平方フィートになる[5]。2003年には、アウトレットモールは全米で260の施設が150億ドルの売り上げを達成した。
アメリカにおけるアウトレットセンターの数は1988年には113ヶ所だったものが1991年には276箇所と倍増、さらに1997年には325箇所にまで増加した[5]。
アウトレットモールの業態はアメリカ合衆国内にとどまらず、カナダでは1980年代後半にオンタリオ州ミシサガにディキシー・アウトレットモールが建設され、続いて1999年にオンタリオ州ヴォーンにヴォーン・ミルズ、2013年にはオンタリオ州ハルトンヒルズにトロント・プレミアムアウトレットが開業した。ヨーロッパではイギリスの小売事業者マッカーサーグレン・グループが13箇所のアウトレットモールをオープンし、総テナント数1,200店舗以上、小売面積3百万平方フィート(約30ヘクタール)を有する。オックスフォードシャービスター近郊に位置するビスターヴィレッジは国外、特に中国からの観光客の立ち寄りスポットとして利用されており、バッキンガム宮殿に次ぐ中国人観光客を集めているという[6]。日本でも1990年代半ばからアウトレットモールの業態が展開されている[5]。
日本のアウトレットモールの歴史
日本ではつくば万博(1985年開催)跡地を再利用したショッピングモールが始まりとされる。1993年(平成5年)に埼玉県入間郡大井町(現:ふじみ野市)に日本初の大型アウトレットモールとしてアウトレットモール・リズムが開業[1][7](2011年に閉業)。これを機に地方を中心に建設が進んで、2000年代以降、全国に数十か所のアウトレットモールが開店するに至った。
日本のアウトレットモールの多くは、高速道路や幹線道路沿いの郊外、または観光地に立地している。近年は、高速道路のインターチェンジと専用通路で直結されているものもある(あみプレミアム・アウトレット等)。都心部の正規品流通店舗との競合を避け、通常店舗の分布が少ない地域にアウトレット店を置くことで広域から一定の集客を得るためと、そもそもの土地代の安さによって安値販売を成立させるためである。基本的に自家用車での来客を想定した立地ではあるものの、公共交通機関での来客を想定しバスターミナルを併設する例もある(佐野プレミアム・アウトレット等)。
アウトレットモール・リズムを始め、日本の多くのアウトレットモールでは、モール建物内などにフードコートや飲食店街を併設しており[1][7]、地方ごとに特色のあるメニューを提供する店舗が入居している。
日本の主なアウトレットモール
日本では「三井アウトレットパーク」(三井不動産)と、「プレミアム・アウトレット」(三菱地所・サイモン)が共通の店名で全国展開を行っているほか、不動産各社などが運営を行っている。
北海道
- 三井アウトレットパーク 札幌北広島(北海道北広島市)〈三井不動産〉
東北地方
- 三井アウトレットパーク 仙台港(宮城県仙台市宮城野区)〈三井不動産〉
- 仙台泉プレミアム・アウトレット(宮城県仙台市泉区)〈三菱地所・サイモン〉
関東地方
- あみプレミアム・アウトレット(茨城県稲敷郡阿見町)〈三菱地所・サイモン〉
- 那須ガーデンアウトレット(栃木県那須塩原市)〈西武プロパティーズ〉
- 佐野プレミアム・アウトレット(栃木県佐野市)〈三菱地所・サイモン〉
- 三井アウトレットパーク 幕張(千葉県千葉市美浜区)〈三井不動産〉
- 三井アウトレットパーク 木更津(千葉県木更津市)〈三井不動産〉
- 酒々井プレミアム・アウトレット(千葉県印旛郡酒々井町)〈三菱地所・サイモン〉
- 三井アウトレットパーク 入間(埼玉県入間市)〈三井不動産〉
- レイクタウンアウトレット(埼玉県越谷市)〈イオンモール〉
- ふかや花園プレミアム・アウトレット(埼玉県深谷市)〈三菱地所・サイモン〉
- 三井アウトレットパーク 多摩南大沢(東京都八王子市)〈三井不動産〉
- グランベリーパーク(東京都町田市)〈東急モールズデベロップメント〉
- 三井アウトレットパーク 横浜ベイサイド(神奈川県横浜市金沢区)〈三井不動産〉
- THE OUTLETS SHONAN HIRATSUKA(神奈川県平塚市)〈イオンモール〉
中部地方
- 御殿場プレミアム・アウトレット(静岡県御殿場市)〈三菱地所・サイモン〉
- 軽井沢・プリンスショッピングプラザ(長野県北佐久郡軽井沢町)〈西武プロパティーズ〉
- 土岐プレミアム・アウトレット(岐阜県土岐市)〈三菱地所・サイモン〉
- 三井アウトレットパーク ジャズドリーム長島(三重県桑名市)〈三井不動産〉
- 三井アウトレットパーク北陸小矢部(富山県小矢部市)〈三井不動産〉
近畿地方
- 三井アウトレットパーク 滋賀竜王(滋賀県竜王町)〈三井不動産〉
- ららぽーと門真・三井アウトレットパーク 大阪門真(大阪府門真市)〈三井不動産〉
- りんくうプレミアム・アウトレット(大阪府泉佐野市)〈三菱地所・サイモン〉
- 神戸三田プレミアム・アウトレット(兵庫県神戸市北区)〈三菱地所・サイモン〉
- 三井アウトレットパーク マリンピア神戸(兵庫県神戸市垂水区)〈三井不動産〉
中国地方
- 三井アウトレットパーク 倉敷(岡山県倉敷市)〈三井不動産〉
- THE OUTLETS HIROSHIMA(広島県広島市佐伯区)〈イオンモール〉
九州地方
- THE OUTLETS KITAKYUSHU(福岡県北九州市八幡東区)〈イオンモール〉
- 鳥栖プレミアム・アウトレット(佐賀県鳥栖市)〈三菱地所・サイモン〉
沖縄
開業予定のアウトレットモール
閉店・閉鎖・業態変更した日本の主な元アウトレットモール
北海道地方
- 小樽アウトレットタウンWALL(北海道小樽市)〈マイカル → 小樽ベイシティ開発〉
- かつて2階の一部に「アウトレットタウンWALL」が存在したが、現在は複合商業施設形態となっている。
- 千歳アウトレットモール・レラ(北海道千歳市)〈LaSalle Investment Management → プロッド イクス〉
東北地方
- 仙台ヒルサイドアウトレット(宮城県仙台市青葉区)〈ヒルサイドモールマネージメント〉
関東地方
- ビッグホップガーデンモール印西(千葉県印西市)
- 2008年5月の運営会社経営破綻以降、アウトレットショップが相次いで撤退。住商アーバン開発→京阪流通システムズへの運営会社移行後は、アウトレット店も含めた複合商業施設形態となっている。
- アウトレットコンサート長柄(千葉県長生郡長柄町)〈長柄ショッピングリゾート〉
- 2009年3月31日閉鎖。跡地は「ロングウッドステーション」(撮影用スタジオやイベント会場などとして使用)。
- アウトレットモール・リズム(埼玉県ふじみ野市)〈スター・プロパティーズ〉
- 大洗リゾートアウトレット(茨城県東茨城郡大洗町)〈八ヶ岳モールマネージメント〉
- ヴィーナスアウトレット(東京都江東区)〈ヴィーナスフォート → 森ビル〉
中部地方
近畿地方
- コスタモール(大阪府貝塚市)〈伊藤忠商事〉
- 2008年3月31日閉店。閉店後は温泉施設のみ営業。跡地にはスーパーセンタートライアル二色浜店が開業。
- 岸和田カンカンベイサイドモールWEST(大阪府岸和田市)〈住商アーバン開発→プライムプレイス〉
- 2017年3月に運営会社が変更し、2018年3月にアウトドアスポーツ・ライフスタイルショップ主体の商業施設としてリニューアルオープン。
- 三井アウトレットパーク 大阪鶴見(大阪府大阪市鶴見区)〈三井不動産〉
- 2023年3月12日閉店。
中国地方
九州地方
脚注
- ^ a b c d 『アウトレットモール』 - コトバンク
- ^ “Marcerich Leasing” (英語). Macerich (2019年7月10日). 2025年6月22日閲覧。
- ^ “Simon Mall Locations” (英語). Simon. 2025年6月22日閲覧。
- ^ a b c Hartshorn, Truman Asa (1992). Interpreting the City: An Urban Geography (2nd ed.). New York: John Wiley & Sons. p. 374. ISBN 978-0-471-88750-8 2023年7月25日閲覧。
- ^ a b c “A Survey of Outlet Mall Retailing: Past, Present and Future”. insead.edu. 2016年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年6月15日閲覧。
- ^ Morris, Hugh (2017年10月3日). “What Chinese tourists really like about Britain” (英語). The Telegraph. ISSN 0307-1235 2025年7月18日閲覧。
- ^ a b “アウトレットモール「リズム」初のオープンモール誕生”. 日食外食レストラン新聞 (1994年5月23日). 2025年7月28日閲覧。
- ^ 「(仮称)三井アウトレットパーク 岡崎」建築着工 愛知県初の本格的アウトレットモールが2025年秋開業予定 三井不動産
- ^ “ショッピングセンターの名称決定のお知らせ”. イオンモール (2012年2月22日). 2012年3月2日閲覧。
関連項目
- ディスカウントストア
- 免税店
- インターネットオークション、フリマアプリ - 店舗アカウントからの出品で、中古品・型落ち品などが販売される例がある
アウトレットストア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 04:22 UTC 版)
自社ブランドを特別価格で提供する「マルイアウトレットストア」も各地で展開している。 マルイアウトレットストア - 三井アウトレットパーク 多摩南大沢、三井アウトレットパーク 入間 閉店したアウトレットストア final index下北沢(旧・丸井新宿店下北沢館。ロゴの「a」と「d」はそれぞれ「OI」と「oI」で表され、「OIOI」ロゴと掛けている。2008年9月28日閉店) マルイアウトレットストア アクアシティお台場(2010年(平成22年)2月21日閉店)、三井アウトレットパーク 横浜ベイサイド、三井アウトレットパーク 倉敷、グランベリーモール VISARUNO・RU OIOI 仙台泉プレミアム・アウトレット(2010年(平成22年)9月20日閉店)、神戸三田プレミアム・アウトレット(閉店時期不明)、あみプレミアム・アウトレット、佐野プレミアム・アウトレット Red shoes tokyo OIOI 三井アウトレットパーク 仙台港(2010年(平成22年)9月26日閉店) マルイのシューズ アウトレット - 那須ガーデンアウトレット
※この「アウトレットストア」の解説は、「丸井」の解説の一部です。
「アウトレットストア」を含む「丸井」の記事については、「丸井」の概要を参照ください。
「アウトレットストア」の例文・使い方・用例・文例
- アウトレット・ストアのページへのリンク