なぜ119番が選ばれたのか
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 19:03 UTC 版)
「119番」の記事における「なぜ119番が選ばれたのか」の解説
1927年(昭和2年)10月1日、逓信省はフックスイッチの「ガチャ」・「ガチャ」行為(ダイヤル「11」相当)に続けて、9をダイヤルする人はいないと考え、加えて90番台を局番に使っていないこともあり、火災報知用の電話番号を「112」から「119」に改めた。 20番台方面(22:丸の内局、23:日本橋局、24:神田局、28:大手局) 30番台方面(33:九段局、34:牛込局、35:四谷局、36:青山局) 40番台方面(43:芝局、44:高輪局) 50番台方面(56:京橋局、57:銀座局) 60番台方面(66:茅場町局、67:浪花局) 70番台方面(73:本所局、74:墨田局) 80番台方面(83:下谷局、84:浅草局、85:小石川局、86:大塚局) 90番台(未使用) 下記にあるとおり火災報知用電話112番を119番へ変更する理由を「設備の関係から」だと、東京中央電話局が加入者へ説明した点は注目に値する。一方的に加入者の不慣れによる「間違い電話」とするのではなく、自分たちの自動交換システムにも課題があることを認めている。 『 火災報知用電話番号「一一九」に変更方御通知 』出火のとき、警鐘前に消防署にお知らせになるには、従来自動式加入者は「一一二」番と呼ぶのでしたが設備の関係から来る十月一日より「一一九」番(局番号なしの三数字)と改めましたから今後間違わぬ様御注意を願います。なお消防署「一一九」番では火事の問合わせに御使用にならぬ様に願います。昭和二年九月 東京中央電話局 このように自動交換機の導入当初においては回線接続上のトラブルもあったが、1928年(昭和3年)度の統計によると、東京市で起きた火災714件のうち、119番通報により発見されたものが439件(61.5%)、第二位の望楼によるもの121件(17.0%)を大きく引き離している。第三位は警察電話からの通報で43件(6.0%)、第四位は大きな街路や施設に設置されている火災報知機からの40件(5.6%)、第五位は市民の駆けつけ28件(3.9%)だった。 本来ならば手動交換時代の「ガチャ」・「ガチャ」という手癖など、時とともに抜けていくものだ。しかし東京中央電話局区域にある手動交換局の廃止は年月を掛けて小出しに進められたため、新たな自動化切替え地域の加入者によりこの手癖が繰返された。1938年(昭和13年)4月1日に東京中央電話局区域に編入 された大森局と荏原局の局番を決める際には、あえて90番台を避けて00番台(06:大森局、08:荏原局)を割り当てている。 近年になり、『緊急時でも心を落ち着かせるためにダイヤル時間の掛かる「9」が選ばれた』と、まことしやかに語られることがあるが、実際には局番(第一数字)に未使用の「9」へ変えることで、システム上の誤接続を回避しただけである。もし当時、局番に使われていない数字が「9」ではなく「7」だったならば、112番を117番に変えたであろうことから、『1から離れている9に』といった"遠隔位置説"や、『ダイヤル時間が長い9に』といった"回転時間説"、およびそれにより『心を落ち着かせる』といった"心理効果説"はもっともらしく後付けされたもので、いずれも誤りであると言えよう。
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