そうめん流し
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 07:28 UTC 版)
『回転式そうめん流し器』という、円卓テーブル上を円環する樋に、水圧で水流を起こし素麺を流して、箸ですくい食べる装置を用い、めんつゆ等に付けて食べる。前述されている流し素麺に対し、こちらはそうめん流しの名で親しまれており、この装置によるそうめん流しは、昭和37年(1962年)に創業した鹿児島県指宿市唐船峡の『指宿市営 唐船峡そうめん流し』が発祥で、特に鹿児島県内各地では「そうめん流し」の名を冠した飲食店や観光施設が多数営業している。 回転式そうめん流し器を共同開発した『鶴丸機工商会』は、この装置を鹿児島県以外でも様々な店舗や施設に納品しており、宮崎県、熊本県、長崎県、大分県、佐賀県、福岡県の九州各県のみならず東北地方や北海道でも設置しているほか、中国や韓国など海外からも購入されている。兵庫県、和歌山県、奈良県、群馬県、栃木県、秋田県、青森県などにも回転式そうめん流し器を設置している店舗があり、長崎県島原市では市のウェブサイトでも観光情報として、そうめん流しを紹介するなど、夏の風物詩として各地の店舗で行われるようになっている。 業務用そうめん流し器には、『鶴丸機工商会』が共同開発したタイプのほかに、鹿児島のシンボルである桜島とその周囲の錦江湾をイメージした、山のように盛り上がった機械の中心部分にある穴から素麺が吹き出すタイプで、鹿児島市の『谷山観光協会直営 慈眼寺そうめん流し』にしかない噴流型そうめん流し器もあり、特許も取得されている。『鶴丸機工商会』から家庭用の卓上用そうめん流し器も製造販売されているほか、近年では家庭用に電動式で回転する流水を作る、卓上タイプの小型で安価な商品が「そうめん流し器」「流しそうめん器」など様々な商品名で各メーカーから製造販売されており、夏のキャンプなどで用いられることもある。 ちなみに、宮崎県で流し素麺が商業化される以前から、素麺を流す行為自体は幕末の頃から鹿児島で行われていたことが古い記録に残されており、天保時代に書かれた旅行記『鹿児島風流(ぶり)』には、慈眼寺において岩間に流れる水を利用し「夏は素麺流しとして、水上より素麺を流し、下にてすくい食う。石の上の酒宴、甚だ興あり。最も紅葉の名所なり」と記されている。江戸時代には、薩摩藩の支配下にあった琉球において、薩摩の出先機関である在番奉行所の役人への接待の中で、那覇湾の一角に崖上から落下する清冽な泉流の上源から素麺を流し、中途ですくって食べるのが、在番奉行衆の夏の遊興の一番の楽しみであったという。 発祥や回転式そうめん流し器の詳細については「唐船峡#回転式そうめん流し発祥の地」を参照
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