鬼剣舞とは? わかりやすく解説

鬼剣舞

名称: 鬼剣舞
ふりがな おにけんばい
種別1: 民俗芸能
保護団体名: 鬼剣舞連合保存会 岩崎鬼剣舞保存会滑田鬼剣舞保存会朴ノ木沢念仏剣舞保存会川西念仏剣舞 保存会
指定年月日 1993.12.13(平成5.12.13)
都道府県(列記): 岩手県
市区町村(列記): 北上市胆沢郡胆沢町胆沢郡衣川村
代表都道府県 岩手県
備考
解説文:  岩手県から宮城県にかけて分布する剣舞けんばい】は東北地方代表的な民俗芸能一つであり、なかでも忿怒【ふんぬ】の形相仮面掛けて踊る剣舞は、鬼剣舞【おにけんばい】の名称でよく知られている。ほかに阿弥陀堂作り物載せた大きな笠をかぶった振り登場する大念仏などいくつかの形態のものがある。これは主として盆に新仏の家や墓、寺などで踊られてきたものであり、念仏とともに踊られる亡魂鎮送を目的とした念仏踊一種である。また踊り手が鬼と形容される異相の態をしたり、極楽浄土眼前見せるような作り物登場するなど独特の形に意匠凝らした風流【ふりゆう】の芸能である。今回取り上げるのは、岩手県中・南部分布する鬼剣舞である。
 鬼剣舞は念仏剣舞とも称されるように衆生済度【しゆじようさいど】の念仏思想の影響受けていることが解かるが、剣舞語義はそれに限られるものではない。悪霊踏み鎮める呪法の手として宗教史芸能史研究において注目されてきた反閇へんばい】がこれに関係しているのではないかとの説があり、また、芸能の徒が招宴座敷で盃のやりとりをする時の献盃からきたものとする説もある。この鬼剣舞の由来について菅江真澄の『ひなの一ふし』、『かすむ駒形』に記されていること、また近年発見され岩崎剣舞の「念仏剣舞伝」の年号などから確かな文献資料としては江戸時代十八世紀行われていたことを示すものしか見出されていないが、各所に伝わる巻物伝書類の記録などにはそれ以上時代を遡【さかのぼ】るものもある。
 踊り内容は、羽や馬の尻尾作ったシャグマ状の毛を頭にいただき忿怒面を掛けたイカモノ八名程度、カッカタ、あるいはサルコなどと称される者等の踊り手が、太鼓、笛、鉦【かね】の囃子方などとともに列をなして踊り場入場し楽器演奏念仏歌を背に、扇、アヤ竹(金剛杖などと称する所もあり)、刀の採り物様々に駆使しながら踊る。演目は「一番庭」、「大念仏」などと称す一同全員が踊るもの、「一人イカモノ」、「三人イカモノ」などの少人数で踊るもの、「膳【へき】の舞【まい】」、「宙返り」、「ガニムグリ」などのアクロバティック演技見せ余興的なものなど多様である。また伝承地によって曲目、名称、演じ方などにそれぞれ特徴があり、今回代表的なものとして取り上げた地区場合次のような違いがある。川西念仏剣舞場合亡魂済度色合いの濃い演出とっている。この剣舞毎年八月二十四日中尊寺本堂前の施餓鬼行われており、「大念仏」の演目終末部でサルコ亡魂を表すイカモノたちを一人一人念仏功力によって成仏させる演技見せる。木沢剣舞にも「大念仏」の演目があるが、こちらでは讃め歌が歌われるのみである。一方和賀地方の鬼剣舞にはこの色合い薄くなっており、こちらの方では余興曲芸的な演目が盛んである。岩崎剣舞当地方鬼剣舞の元祖存在であり、滑田剣舞はこの岩崎剣舞指導受けたのであるが、岩崎にはない神楽系の演目をもっている。
 鬼剣舞の踊り振り極めて勇壮で力強い。踊り手はたえず気魄【きはく】をこめて頭部律動続け、また手足様々に動作し続けるが、これは柔軟な腰の動作によって支えられているのであるこの手込んだ巧み踊り振りは他の同種の風流念仏踊追随許さぬものであり、そのダイナミックな動作群舞代表的な民俗芸能一つとして評価得ている。
 鬼剣舞は芸能変遷過程地域的特色を示す特に重要な民俗芸能である。




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