うめだ本店の建て替えと別館
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 14:50 UTC 版)
「阪急百貨店」の記事における「うめだ本店の建て替えと別館」の解説
2005年8月16日に解体工事が着工された後、うめだ本店は売り場を北側に移すために18日まで一時休業した。その後、19日から営業を再開し、同年9月14日未明から本格的な解体工事に着手した。 この建て替えに伴い、1929年から76年間供用された旧阪急梅田駅コンコースも解体されることになった。当コンコースは、伊東忠太が設計した鳳凰、竜、ペガサス、獅子などが描かれたモザイク壁画や、天井からシャンデリアが吊されるなど、希少価値が高いことにより保存運動も起きたが、ビルの基礎部分から建て替えるため取り壊さざるを得ないとして解体された。しかし、解体の際に壁画やシャンデリアは保存され、第2期工事完成後に、13階のレストランフロアに旧阪急梅田駅コンコースから撤去されたモザイク壁画が復元されることになった。 1階コンコースのエレベーター横など2カ所の大理石でできた壁のパネルに埋まっていた、夏休みの宿題や自由研究の題材などとして子供たちの人気を集めてきた、直径3 - 5センチの巻き貝の化石も取り壊されることになった。しかし、化石は壁そのものをくり抜き、裏側を加工した後、2005年9月12日・13日に、当建て替え工事に伴って不要となった備品類を販売する「もったいないチャリティー入札大会」で落札された。 入札で工事を請け負った大成建設は、採算が合わないとして建設工事の正式な請負契約を結ばずに受注を辞退した。2006年末までに大成建設は旧建物の南側地上部分の解体を終えた段階で業務を終了したため、2007年1月15日から大林組が新たな施工業者となって地下部分の解体工事に入った。工事の途中で施工業者が交代するのは極めて異例である。 地下に過去の建造物が残っているにもかかわらず、建設当時の図面が完全な形で保存されていないため正確な構造が把握出来ない上、周辺のビル・地下鉄・地下街も考慮しつつ百貨店の営業を継続しながら半分ずつ解体・建設するという難工事のため、工事の進捗は当初の予定よりも大幅に遅れた。 南側部分の第1期棟は2009年9月3日に売り場面積約27,000m2の百貨店部分が開業し、2010年4月1日にオフィスタワーを含む第1期棟全体が竣工し、同年5月6日に中高層部のオフィスタワーが開業した。建て替え後の梅田阪急ビルは地上41階、地下2階の建築物(高さ187メートル)となった。 第1期棟百貨店部分の営業開始を受けて北側部分の第2期棟部分の解体工事に入ったが、第2期の工事も難航したため2011年4月22日に3度目の全面開業時期の延期が報道される状況になった。 2012年4月17日に同年11月下旬に当初の予定から約1年半遅れて開業することを発表した。 2012年10月25日に開業済みの第1期分(南側部分)と合せて新店舗の8割に当たる第2期分(北側部分)を先行開業させた後、スポーツ用品などの売場を本館8階の「スポーツファッション イングス」へ移設するため同年11月18日にイングス館を閉鎖し、同年11月21日に新店舗を全館開業した。 2008年2月1日に、同じ阪急グループの商業施設であるHEPナビオ内に、約16,000m2に約300のブランドを集めた阪急メンズ館を開店し、開業初年度の目標だった250億円を上回る売上高約265億円を上げた。 その一方で、子供服とスポーツ用品を扱うイングス館は1990年代前半に売上高約120億円を上げていたものの、2010年3月期に売上高約80億円に落ち込んだ。面積的にも顧客が満足する品揃えが困難なので増築工事完成後の本館に集約するとして、2012年11月18日に閉鎖されるなど、うめだ本店周辺の別館で明暗が分かれている。
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