「フランス人」の定義とは? わかりやすく解説

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「フランス人」の定義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 15:41 UTC 版)

フランス人」の記事における「「フランス人」の定義」の解説

フランス人(les Français)とはフランス主権保持者であり、民族的出自宗教的信念問わずフランス市民社会構成する全ての人を指す。したがってフランス人にはフランス海外県及び植民地居住する人々含まれ、「フランス民族」というものはない。また、今後も、フランス国内で出生するか(出生地主義である)、帰化することによってフランス国籍を取得すればいかなる民族に属そうとも、「フランス人」となりうる。(なお、フランス人という名称は、語源学的に言えばローマ帝国末期ガリア地方侵略したゲルマン系フランク族由来する。) 米国国務省発行資料を含む多くの英語文献では、「フランス人」を「ケルト人ラテン人及びチュートン人の混血」が多数占めその他の少数民族としてスラヴ人北アフリカ人、サブサハラ人、インドシナ人、バスク人を含む、と定義するが、この定義には下記のような問題があり、現状反映していない。 フランス地域居住していた原住民を、架空の「ケルト人ラテン人及びチュートン人の混血」という集団ひとまとめにしてしまうことは、フランス国内の民族集団分断オクシタニアブルターニュなど多様な地域存在)を考慮入れていない。 彼らの多く20世紀初頭まで母語としてフランス語以外の言語用いていた。 そのため、現在フランス領となっている地域先祖代々居住し白人西ヨーロッパ人であるということだけによって一つ民族集団定義することは受け入れ難い。これは、彼らと、移民の子孫であるフランス市民との間に文化的差異殆どない現状をみれば、なおさらのことである。 上記少数民族リストは単純すぎ、また不完全である。フランス主要な少数民族にはポルトガル系、スペイン系、イタリア系アルメニア系ギリシア系、ユダヤ系などが含まれるが、彼らはこの定義には挙げられていない。また「北アフリカ系」という一つ民族集団想定することも単純過ぎる。ここにはモロッコ系、チュニジア系、アルジェリア系が含まれるし、恐らくそれ以上重要なことに、ベルベル人アラブ系アラビア語話者)を共に含み、またムスリムユダヤ教徒を共に含んでいる。 固有民族としてのフランス人」と、移民による少数民族対立させるこのような定義は、多くフランス市民にとって侮辱にあたり、またフランス共和国精神反する。また、この定義は一方で巧妙に多数派としての固有民族を「民族的フランス人」と呼ぶことを避けバスク人少数民族加えていることとあいまって、「固有」と「外来民族境界線あいまいにしてもいる。 近年社会的差別関連する議論がますます重要になり、時にそれは民族問題、特にいわゆる移民第2世代」(移民の子供としてフランスで生まれたフランス国所有者)の問題とも絡み合っている。フランスは、20世紀通じてヨーロッパアフリカアジアからの移民多く受け入れており、さまざまな民族的出自を持つ少数民族フランス人口大きな割合占める。しかし、移民移民子孫についての公的な統計値今までほとんどなく、その実際数を把握することは難しい。 2004年発表された研究では、1999年国勢調査値を基に、1400万人上の外国系の人々移民、あるいは、少なくとも親か祖父母一人移民)がおり、そのうち520万人ほどが南ヨーロッパ系(イタリアスペインポルトガル)、約300万人マグレブ系であるとしている。この値を基にすればフランス市民23%は、少なくとも親か祖父母一人移民がいることになる。しかし、20世紀初頭から大規模に展開した移民全体歴史的に把握する研究は、まだほとんど行われていない。 海外では、旧フランス植民地中心にさまざまな国でフランス語用いられている。しかし、フランス語話者であることとフランス人であるということはまったく別の概念である。特にフランス語圏出身者であるということを、フランス市民権保持者であるということ混同してならない例えば、スイス・ロマンド地方に住むフランス語話者は、フランス出身ではなく多く場合カトリックでもなく(むしろフランスにおいて迫害されユグノー教徒が多い)、自分達をフランス人とは見なしていない。あるいはセント・マーチン島の英語話者人々フランス国籍を有しているが、フランス語話せない(しかし近隣ハイチ出身フランス不法滞在者は、多少フランス語しゃべれようとも外国人である)。そして、今ではほとんどのフランス人母語としてフランス語を話すが、かつては他の言語第一言語とする大規模集団フランス国内に存在していた(ドイツ語系の方言用いていたロレーヌ地方モゼル県アルザス地方など)。そして現在ヨーロッパ圏外に住むフランス系人々多く他言語母語とする(北アメリカでは英語、南アメリカではスペイン語南アフリカではアフリカーンス語など)。 アメリカ国勢調査局カナダ統計局では、国内の「フランス系」を定義するために、多項目にわたる質問票用いてフランス系自認する人々自己定義を抽出しているが、これらの基準統一的ではなくここから一つ民族集団定義することは不可能なのである

※この「「フランス人」の定義」の解説は、「フランス人」の解説の一部です。
「「フランス人」の定義」を含む「フランス人」の記事については、「フランス人」の概要を参照ください。

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