郵政解散 解散権濫用議論

郵政解散

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/21 00:31 UTC 版)

解散権濫用議論

参議院での法案否決を原因として衆議院を解散すること、解散に反対する閣僚を罷免してまで衆議院解散を閣議決定したことは憲政史上初の事態であるため、解散権の濫用ではないかとの議論にもなった。しかし、内閣による助言による天皇国事行為としての衆議院解散は日本国憲法第7条で、首相による閣僚罷免は日本国憲法第68条においてそれぞれ明記されている権限であり、問題ないとされる。

解散違憲訴訟

総選挙後の2005年9月15日、郵政法案が参議院で否決されただけで衆議院を解散したのは憲法に違反するとして、宇都宮市議が衆議院解散の無効確認を求める訴訟を東京高裁に起こした。原告は「憲法第59条に基づき、両院協議会や衆議院で3分の2以上の賛成を得るための法案再議決をしなければ解散ができない」と主張した。しかし、法案の採決が両院で異なる場合の両院協議会開催や衆議院の法案再議決の実施は法律上は強制ではなく任意[6]であるとして12月15日、東京高裁は訴えを棄却し、その後最高裁第三小法廷も2006年3月28日東京高裁判決を支持して上告を棄却、類似の訴訟でも同じく上告棄却となっている。

解散日と総選挙投票日

郵政民営化法案の参議院否決を受けて、小泉首相は衆議院を解散する意向をすでに持っていたが、投票日をいつにするかが焦点になった。

法案を否決された日に解散を行う場合、投票日を日曜とする慣例に従えば「8月23日公示、9月4日投票案」と「8月30日公示、9月11日投票案」があった。また投票日を延期する場合、会期ぎりぎりの8月13日に解散をして「9月5日公示、9月18日投票案」も存在した。最終的に「8月8日解散、8月30日公示、9月11日投票案」が採用された。

飯島勲首相秘書官は8月8日時点で「8月23日公示、9月4日投票案」なら自民党単独で衆議院3分の2以上を獲得できるが、「8月30日公示、9月11日投票案」では与党の大勝に留まると予想していた[7]

解散の予想

小泉首相は郵政法案が否決されたら解散総選挙を行うことを明言していた。この解散予告は与党分裂の状況で解散総選挙をすれば民主党が漁夫の利を得て自民党が下野することが懸念されていたため、自民党が下野しないための脅しと思われた。また衆議院での法案可決後は、参議院否決に対して衆議院解散総選挙をしても参議院の構成は変わらず、郵政法案は成立できないことから反対論があがった[8]。一方で、小泉は解散総選挙で衆議院が郵政民営化賛成の与党が過半数を獲得できれば、参議院の反対派も賛成に回ってくれると信じ、衆議院を解散した。

郵政民営化法案に反対票を投じた自民党議員は解散を脅しとしてしか考えておらず、本当に解散をすると考えていなかった。

亀井静香は「解散できるわけがない」と公言し、反対派を結集させていた。熊代昭彦は郵政法案が否決された場合、解散も総辞職もせずに次期国会で法案を修正して出し直すと予想していた。

中川秀直は2004年9月の段階で「小泉首相の性格なら民営化法案が否決されたら確実に解散する」と断言していた[1]


  1. ^ 朝日新聞 2005年07月26日 朝刊 1総合 「「郵政解散」賛成53% 小泉首相・自民反対派、共感二分 朝日新聞社世論調査」
  2. ^ 読売新聞 2007.01.18 西部朝刊 西2社 「[攻防・07北九州市長選](下)「郵政解散」激戦の影(連載)」
  3. ^ 読売新聞 2009.08.21 東京朝刊 山梨2 「[衆院選・データで見る]郵政解散 天候不順でも投票率好調=山梨」
  4. ^ 郵政解散?自爆解散? 読売新聞 2005年8月9日記事
  5. ^ 世耕弘成「プロフェッショナル広報戦略」(ゴマブックス)
  6. ^ 法律案の採決が衆参で一致しない場合の両院協議会開催については国会法第84条では「法律案について、(中略)参議院において衆議院の送付案を否決し(中略)たときは、衆議院は、両院協議会を求めることができる」とあり、任意になっている。過去にも1951年に食糧の政府買入数量の指示に関する法律案の採決が衆参で異なった時、両院協議会を開かず、衆議院の法案再議決をしなかった例がある。
  7. ^ 飯島勲「小泉官邸秘録」(日本経済新聞社)
  8. ^ 当時は衆議院で与党単独可決に必要な3分の2以上の議席を獲得することは非現実的と思われていた。
  9. ^ 両院を解散できる国としてはイタリアが存在する。ただし、解散権は首相の専権事項ではなく大統領が留保している。


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