月が導く異世界道中 あらすじ

月が導く異世界道中

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/10 03:12 UTC 版)

あらすじ

一男二女というごく平凡な五人家族の高校生「深澄真」は、両親に関連した事情から突如として日本から異世界へヒューマン(異世界における一般的な人間とほぼ同意)を救う勇者として召喚される、はずがその異世界の唯一神である女神の「顔が醜いから[注釈 1]」というあまりにも個人的かつ身勝手の過ぎる我儘からヒューマンと交わること(交流及び結婚)を禁じられ[注釈 2]、勇者としてではなく、汚くて忌わしいゴミとしてこの異世界の果てに捨てられた[注釈 3]

その女神に立ち会う前に出会った真のいた世界の三貴神の一柱、「月読命」の説明によると、真の両親が異世界出身という出自、日本へ向かう際の女神との契約として両親の大切なものをささげるという取り決めがされていたことを知る。女神の横暴さを知っていた月読命よりあらかじめ加護として、女神に与えられるより上回る能力を与えられ、勇者の役割をはく奪されたことで転移先の世界で責務を負うことなく自由に生きる許可まで月読命に与えられた[注釈 4]

月読命の話では、真の元いた世界では神々の加護すら届かず肉体的にも魔力的にも負荷を受けて知らずに鍛錬するような生活を送っていたため[注釈 5]、その負荷から解放された異世界では超人とも言うべき能力を発揮できることを保証されているが、同時に無敵ではないという注意もされている。

降りた異世界はまさしく「世界の果て」と呼ばれる荒野であり、人どころか動物、魔獣にさえ会えなかったが、やっとのことで魔獣に襲われたオークの娘に会ったことがきっかけで異世界人との交流が始まる。真の解放された身体能力と、月読命から与えられた加護により、異世界での強大な亜人、魔族、上位竜、魔物に立ち向かい、真の力を認めた上位竜・巴(旧名:蜃)、災厄の黒蜘蛛・澪、リッチ・識と主従契約を結び、主従契約時の変化の法則に従い彼らは真と同じく人(ヒューマン)の姿となる。最初に主従を結んだ巴との契約によって出来た亜空(霧の結界)の中に、真を尊敬し、崇める亜人(オーク、ドワーフ、リザードマン、半人半蜘蛛)を招いて、元の異世界の荒野とは対照的な環境で村を作って発展、一癖も二癖もある主従を結んだ者たちに振り回されながら、異世界での生活を送っていく。

真は続いて、出身地である両親の軌跡を求めて荒野の中の何処かにあるヒューマンの街を探査、人恋しさも相まってヒューマンとの交流を図る。ところが、異世界の価値観ではヒューマンと思えないほどとされている醜い顔[注釈 6]と漏れ出す強大な魔力[注釈 7]、さらにヒューマンとの共通言語を知らず意思疎通ができないため、ヒューマンの多くは真を恐れており、真の印象隠ぺいを講じた上でヒューマン化した従者を伴った行商として挑むことに。戦争による異常な物価を感じながらその後、一部のヒューマンとは友好を結ぶが、それでも女神の持つヒューマン第一主義が蔓延っているため、ヒューマン以外の亜人は家畜か道具という考えが根強く、ヒューマンと亜人、特に魔族との友好などは難しい状況であった。

ヒューマン偏重主義を端に発した戦争が続く荒廃した異世界で、荒野にたたずむ街と、自然豊かな亜空を行き来しながら、真一同は巻き込まれるように世直しの旅をしていく。


  1. ^ 日本基準では十人並。
  2. ^ しかもこの時既に、自分の好みの顔を持った者数名を独断で勇者として召喚した後であり、真に対しては「保険を掛けといてよかったわ」と嘲笑したうえ、禁じた時に「汚い種をまき散らすんじゃねぇぞ」と破った際には本気で殺すという脅しまでかけた。
  3. ^ 遥か天空から落ちていくよう叩き出し、配下のニンフたちに「徹底的に洗浄しときなさい! また湧いてきたらたまんないわ!」と忌々しく吐き捨てている。
  4. ^ 月読命も女神の我儘と増長まで読み切れなかったことを後悔し、真へのあまりの仕打ちに苦々しく感じていた。
  5. ^ 月読曰く、元の世界では「深海の底」か「灼熱の溶岩の中」という不毛な環境で暮らしていたようなもの。
  6. ^ 所謂普通の容姿以下では醜いというのが、作品世界での美的判断基準。
  7. ^ 魔力を感知できるヒューマンからは、魔王が列をなしてきた様な脅威に見られる。
  8. ^ 多数決で決定。
  9. ^ 適性は水・闇・火・土・雷の順で高い。
  10. ^ RPGでいえば、ほぼカンスト寸前のレベルで最弱モンスターと戦っても経験値が溜まらないということ。
  11. ^ 巴曰く、稀に「死の淵を臨んで生き返る」といった臨死体験をした者が魔力を増大させた例がある。
  12. ^ 真を慕う亜人たちからも「容姿自体は異世界におけるヒューマンの基準からは外れている(曰く、かろうじてヒューマン種)」と認識されてはいる。
  13. ^ 最終的に、魔力を使用した文字会話に落ち着く
  14. ^ この時はまだ巴の名はない。
  15. ^ アニメ版ではもっと沢山いる。
  16. ^ 加護を与えられた側は1ランクアップし、相手側は1ランクダウンと、数が互角だったとしても「3倍の戦力差」になる。
  17. ^ 獣人といえるレベルの種族はともかく、大抵の種族はヒューマンにはない意匠(耳の形や肌の色、角や尻尾など)を備えているというだけで真視点で見れば十分以上に整っている。
  18. ^ 本来、容姿と人間性は無関係ではあるが、なまじ整った容姿だけに下種な悪人は尚更憎たらしく見える。なお、この世界の人間は自分たちが美形だという認識はないが、前述の通り自分たちの基準以下は醜いと認識している。
  19. ^ しかも、召喚時はかなりの超高度から真を落としている(ろくな加護の無い真だと、身体能力は強化されてもかなり危険)上に、地面に激突して死んでくれるのならそれに越した事は無いと言わんばかりの言動まで見せており、事態を知った月読が助けなければ、かなり危うかった。
  20. ^ エルドワと巴に略して呼称される。
  21. ^ 当時巴の名は付けられていない。
  22. ^ 書籍化の際に行き違いで正確な読みが伝わっておらず、書籍3巻では「しんき」とルビが振られている。
  23. ^ 巴が彼を密偵に取り立てたのは、主人公が部下の密偵を放って悪を追い詰める時代劇(原文では『鬼〇犯科帳』表記)のパターンがやりたかったため。
  24. ^ 真たちクズノハ商会メンバーの実力(戦闘力)から、これまでの既得権益全てを叩き壊す代わりに心置きなく商取引が可能になることを夢見ている。
  25. ^ 妹のルリアと共に、共和政期の始祖として後世にまで語られる事が確定事項となっている。
  26. ^ 真に会うことはなかった。
  27. ^ これは父親からモデルを含めた業界は甘くないと釘を刺されていたのを真に受けて、周囲が「自分の才能に負けておもねってきた」のを仕事を都合した親に対するものと勘違いしていたため。
  28. ^ 友人の意中の相手に告白されるが断っており、元々勉強に対して熱意がなく、友人との交遊を優先して成績が低下しているのを「自分に合わせて手を抜いている」と思われていた。
  29. ^ 薬物や宗教による奴隷化している人物に近い。その後、魅了は掛かった相手から更に多くのヒューマンに伝播していく伝染病に近い代物に進化している。
  30. ^ テレビアニメのエンディングクレジットでは御剣で表記されている。
  31. ^ 北海道があるかどうかは不明。
  32. ^ 前述の通り、例え道理の通った側でも女神の加護を得られるわけではないことから、女神には何らかの「偏った基準」が存在し、それはヒューマンにとって利益になるとは限らないと気づいている。
  33. ^ 威力は減少するが消耗も軽減。





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