宮内庁 庁舎

宮内庁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/12 01:58 UTC 版)

庁舎

宮内庁庁舎、坂下門

1935年(昭和10年)に建設された。「宮内庁」の表札等はない。1945年(昭和20年)に第二次世界大戦下のアメリカ軍による日本本土空襲のために明治宮殿が焼失してから今の宮殿(新宮殿)が建設されるまでの間、仮宮殿として使用された。現在の宮殿とは、渡り廊下(紅葉渡)で接している。

  • 所在地:東京都千代田区千代田1番1(皇居内、坂下門の北側)
    • なお、皇居全体が一地域「千代田」である。
  • 宮内庁内郵便局
    • 1924年大正13年)9月に開局する。日本郵便株式会社が設置する郵便局であり、宮内庁の組織ではない。利用者が限定されているわけではないが、当局が入居している宮内庁庁舎には宮内庁職員など関係者しか立ち入りが認められていないため、事実上関係者のみ利用可能となっている。
  • 食堂
    • 宮内庁職員、関係者、記者クラブ関係者が利用できる普通の職員食堂であるが、ここには御料牧場で生産された牛乳自動販売機が設置されており、食堂を利用できる者であれば誰でも購入可能である。瓶牛乳1本60円。
  • 警視庁職員信用組合宮内庁出張所

所掌事務

宮内庁法第2条は計20号に及ぶ事務を列記し、所掌させている。具体的には以下などに関することがある。

組織

宮内庁の内部組織は一般に、法律の宮内庁法[注 2]政令の宮内庁組織令および総理府令(現在の内閣府令)の宮内庁組織規則が階層的に規定している。

内部部局(長官官房、5職、2部)、2施設等機関、1地方支分部局を設置する。宮内庁長官、侍従長(侍従職の長)と上皇侍従長(上皇職の長)は認証官。他省庁と異なり、部課制ではない「職」という組織があるが、これは戦前宮内省時代からの慣習による。

侍従職と東宮職はそれぞれ天皇一家、皇太子一家の側近奉仕という特質上、皇位継承があった場合、東宮職の職員は即位した天皇皇后について侍従職に移り、逆にもとにいた侍従職の職員のほとんどが、崩御した前天皇皇后であった皇太后の側近奉仕をする皇太后宮職に移るか、新皇太子の側近奉仕をする東宮職に移る。

なお、2019年(平成31年/令和元年)の皇位継承時には、侍従職職員81名のうち、御璽国璽御物の管理担当の職員以外の65名が上皇職職員となり、東宮職職員が侍従職職員に異動、秋篠宮家を担当していた職員が皇嗣職職員となる形式がとられたため[18][注 3]、職員の割り当ては以下の通りとなる[19]

  1. 侍従職(定員75名)
  2. 上皇職(定員65名)
  3. 皇嗣職(定員51名)

2024年(令和6年)3月29日に改正された行政機関職員定員令に定める定員1,049名中63名が特別職、986名が一般職である。なお下記の国家公務員法に規定する特別職7人は、定員に含まれない。

特別職の内訳は以下の2種類からなる。

国家公務員法[注 4]で規定するもの
  • 宮内庁長官
  • 侍従長
  • 上皇侍従長
  • 皇嗣職大夫
  • 式部官長
  • 侍従次長
  • 上皇侍従次長
人事院規則で規定するもの
  • 宮内庁長官秘書官
  • 宮務主管
  • 皇室医務主管
  • 侍従
  • 女官長
  • 女官
  • 侍医長
  • 侍医
  • 上皇侍従
  • 上皇女官長
  • 上皇女官
  • 上皇侍医長
  • 上皇侍医
  • 皇嗣職宮務官長
  • 皇嗣職宮務官
  • 皇嗣職侍医長
  • 皇嗣職侍医
  • 宮務官
  • 侍女長

一般職は宮内庁次長を筆頭に、内閣府事務官、内閣府技官などとなっている[20]

皇室典範に基づき開かれる皇室会議皇室経済法に基づき開かれる皇室経済会議は宮内庁の機関ではない。

天皇皇族の護衛、皇居や御所の警備を行う皇宮警察本部は、警察庁の機関である。

また、天皇皇后の諮問に応じる宮内庁参与、宮内庁御用掛、生物学研究所や紅葉山御養蚕所の職員、宮中祭祀を担当する掌典職の職員は宮内庁その他の国の機関の職員(国家公務員)ではない。詳細は当該項目を参照。

幹部

内部部局

2019年令和元年)5月1日天皇徳仁の即位および皇后雅子の立后以降は、譲位後の上皇明仁および上皇后美智子の家政機関として「上皇職」を設置し、皇太子が不在となるため「東宮職」に代わり皇嗣となる秋篠宮文仁親王の一家(秋篠宮家)の家政機関として「皇嗣職」が設置された[21]

  • 長官官房
    • 秘書課・総務課・宮務課・主計課・用度課と宮内庁病院がある。
    • このほか、審議官、宮務主管、皇室経済主管、皇室医務主管などを置き、秘書課に調査企画室、総務課に広報室及び報道室が置かれている。
    • 秘書課
    • 総務課
    • 宮務課
    • 主計課
      • 経費及び収入の予算、決算及び会計、皇室経済会議並びに会計の監査に関することを担当している。
    • 用度課
      • 備品、消耗品、営繕用資材、器具等物品の管理及びその検査に関することを担当している。
    • 宮内庁病院
      • 天皇皇族の診療を行う病院であり、併せて宮内庁職員その他一般の患者の診療も行っている。
  • 侍従職
    • 侍従長の統括の下に、侍従次長・侍従・女官長・女官・侍医長・侍医などの職員が、天皇皇后愛子内親王の直接身近のことを担当し、御璽・国璽を保管している。
  • 上皇職
    • 上皇侍従長の統括の下に、上皇侍従次長・上皇侍従・上皇女官長・上皇女官・上皇侍医長・上皇侍医などの職員が、上皇上皇后の直接身近のことを担当している。
  • 皇嗣職
  • 式部職
    • 式部官長の統括の下に、儀式のことを総括する式部副長が置かれ、その下の式部官が儀式、雅楽洋楽鴨場接待に関することを担当している。雅楽・洋楽は楽部が扱っている。また、外事を総括する式部副長が置かれ、その下の式部官以下が外国交際に関することを担当している。
  • 書陵部
    • 書陵部長の統括の下に、図書課・編修課・陵墓課と多摩・桃山・月輪・畝傍・古市の5つの陵墓監区事務所がある。また、図書課に宮内公文書館と図書寮文庫が置かれている。
    • 図書課
      • 皇統譜の調製、登録及び保管、皇室伝来の古文書など図書及び記録の保管、修補、出納及び復刻、宮内庁関係の保存文書の編集及び保管、国立国会図書館支部宮内庁図書館及び正倉院に関することを担当している。
    • 編修課
      • 歴代天皇及び皇族の実録の編修、『皇室制度史料』その他の図書及び記録の編修に関することを担当している。
    • 陵墓課
      • 陵墓の管理、調査及び考証に関することを担当している。
    • 陵墓監区事務所
      • 各地方に散在する陵墓等を、多摩監区、桃山監区、月輪監区、畝傍監区及び古市監区の5監区に分け、各監区ごとに事務所を設けて管理している。
  • 管理部
    • 管理部長の統括の下に、管理課・工務課・庭園課・大膳課・車馬課・宮殿管理官と那須・須崎・葉山の3つの御用邸管理事務所・皇居東御苑管理事務所がある。
    • 管理課
      • 宮内庁所管の国有財産皇室用財産及び公用財産)の管理、皇居その他の参観、工事の監査、防疫、消毒その他の衛生、庁舎の清掃整備及び御料牧場に関することを担当している。
    • 工務課
      • 宮内庁所管の国有財産について、その新営、維持に必要な建築、土木、その他の工事及び水道、電気、ガスその他の設備に関することを担当している。
    • 庭園課
      • 庭園、園芸及び樹林に関することを担当している。
    • 大膳課
      • 宮中行事の際に饗宴、茶会などのほか、天皇上皇及び内廷にある皇族等の日常の食事についての供進及び調理に関することを担当している。
    • 車馬課
    • 宮殿管理官
      • 宮殿の管守、布設等宮殿の運営の管理に関する事務を担当している。
    • 御用邸管理事務所
      • 那須御用邸、須崎御用邸及び葉山御用邸の管理に関する事務を担当している。
    • 皇居東御苑管理事務所

施設等機関

正倉院宝物・聖語蔵経巻の保存管理などを行う正倉院事務所と牧畜などを行う御料牧場がある。

  • 正倉院事務所(奈良県奈良市
    • 正倉院宝物及び聖語蔵経巻を保存管理するとともに、それらの調査、研究、整理、修補及び復元模造を行うほか正倉、聖語蔵、東西両宝庫等の建物及び土地の管理などを担当している。
  • 御料牧場栃木県塩谷郡高根沢町芳賀郡芳賀町
    • 皇室の用に供する家畜の飼養、農畜産物の生産及びこれらに附帯する事業を担当している。

地方支分部局

宮内庁京都事務所が置かれ、京都御所・京都大宮御所・京都仙洞御所・桂離宮・修学院離宮と桃山・月輪・畝傍・古市各陵墓監区内の陵墓地などの国有財産の管理等の事務を担当している。


注釈

  1. ^ 宮内庁長官、侍従長、上皇侍従長、皇嗣職大夫、式部官長侍従次長及び上皇侍従次長を含まない。行政機関の職員の定員に関する法律第2条第2項第2号。宮内庁法附則第2条第8項及び附則第3条第6項。
  2. ^ 上皇職及び皇嗣職の設置は、天皇の退位等に関する皇室典範特例法附則(上皇職及び皇嗣職の設置を規定した宮内庁法の一部改正)により追加された宮内庁法附則第2条及び同法附則第3条による。
  3. ^ 東宮職は皇位継承によって皇太子が空席となったため、設置されていない。
  4. ^ 宮内庁法附則第2条第8項及び附則第3条第6項による場合を含む。
  5. ^ 皇室経済法第4条第2項、第6条第8項。
  6. ^ 宮内府次長についても、宮内府に1人置くこととされ(宮内府法2条1項)、宮内庁次長と同様の職掌を定めていた(同法5条)。
  7. ^ 定年退職のため4月1日付でない[27]

出典

  1. ^ 行政機関職員定員令(昭和44年5月16日政令第121号)(最終改正、令和6年3月29日政令第87号) - e-Gov法令検索
  2. ^ a b 令和6年度一般会計予算 (PDF) 財務省
  3. ^ 山本淳, 小幡純子 & 橋本博之 2003, p. 23-24.
  4. ^ 宮内庁. “宮内庁”. 宮内庁(公式サイト). 2023年4月10日閲覧。
  5. ^ 宮内庁. “組織・所掌事務”. 宮内庁(公式サイト). 2023年4月10日閲覧。
  6. ^ 宮内庁. “沿革”. 宮内庁(公式サイト). 2013年3月閲覧。
  7. ^ 印刷局, ed (1947) (preview). 各庁職員抄録. 印刷局. pp. 12-13. NDLJP:1078939. https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1078939/8 
  8. ^ 「宮内庁 SNS活用し皇室情報を発信へ 広報体制も整備」『NHK News Web』2022-8-30
  9. ^ テレ東BIZ. “宮内庁がSNS活用めぐり軌道修正”. 2022年9月8日閲覧。
  10. ^ 宮内庁組織規則の一部を改正する内閣府令(令和5年内閣府令第29号)2023年3月30日付官報特別号外第23号49頁
  11. ^ 宮内庁「広報室」民間も登用 室長に藤原氏、きょう発足」『産経新聞』、2023年4月1日。2023年4月1日閲覧。
  12. ^ 「宮内庁 新設の広報室 初代室長に警察庁の藤原麻衣子氏」『NHK News Web』2023-4-1
  13. ^ 高清水氏は「対処」が具体的にはどのようなものであるかについては明言は避けているが、該当者に対し今後、油断を怠らないようにアドバイスしている。高清水氏の発言のスクリプトは以下の通りである。「そういうこと(誹謗・中傷記事)を書き込んでいる皆さん、宮内庁の調査力ということは馬鹿にしないほうがいいです。あなたたちのことはちゃんと宮内庁ではつかんでいます。どういう人物がどういう発信をしているかという、この宮内庁の広報室はちゃんと掴んでいますし、その情報を集めた中で今後何らかの対処をしていくと思いますので、あの、油断しないでくださいね。」(※( )内は補筆。)「【Front Japan 桜】秋篠宮家バッシングは皇統破壊-誹謗中傷を論破する![桜R5/12/1」『新日本文化チャンネル』2023-12-1(00:34:17~00:34:40)
  14. ^ a b 宮内庁が4月からインスタグラムで皇室情報発信、初のSNS運用…まずは両陛下の画像・動画から”. 読売新聞 (2024年3月25日). 2024年3月26日閲覧。
  15. ^ 宮内庁「インスタ」公式アカ公開 フォロワー30万人超”. 共同通信 (2024年4月1日). 2024年4月12日閲覧。
  16. ^ フジテレビ (2024年4月11日). “【速報】宮内庁「インスタグラム」をオランダ王室のアカウントがフォロー 外国王室のフォローは初”. FNNプライムオンライン. 2024年4月12日閲覧。
  17. ^ TBSテレビ (2024年4月11日). “宮内庁インスタが初フォロー 第一号はオランダ王室公式アカウント 相互フォローに”. TBS NEWS DIG. 2024年4月12日閲覧。
  18. ^ 新設「上皇職」は65人程度、退位後の両陛下補佐 - 日本経済新聞、2017年12月25日配信。
  19. ^ 宮内庁も新体制=上皇職・皇嗣職が発足-皇位継承 - 時事通信2019年5月1日[リンク切れ]
  20. ^ 宮内庁職員 宮内庁
  21. ^ 宮内庁組織令の一部を改正する政令(平成31年政令第158号)2019年4月24日付官報本紙第7495号
  22. ^ 主な特別職の職員の給与 (PDF)
  23. ^ a b “宮内庁長官に山本氏 閣議決定”. 日本経済新聞. (2016年9月23日). https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22H3X_T20C16A9EAF000/ 2016年9月27日閲覧。 
  24. ^ 宮内庁長官に西村氏就任 令和の皇室支える
  25. ^ 天皇の退位等に関する皇室典範特例法 - e-Gov法令検索
  26. ^ 特別職の職員の給与に関する法律 別表1
  27. ^ 平成6年4月1日付『官報』本紙第1371号13ページ第1段より。
  28. ^ 平成12年4月4日付『官報』本紙第2842号11ページ第1段より。
  29. ^ “宮内庁次長に黒田武一郎氏”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2023年12月15日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE153XG0V11C23A2000000/ 2023年12月24日閲覧。 
  30. ^ 宮内庁幹部名簿(令和5年12月20日現在)”. 宮内庁. 2023年12月24日閲覧。






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