宮内庁 財政

宮内庁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/12 01:58 UTC 版)

財政

2024年度(令和6年度)一般会計当初予算における宮内庁所所管の歳出予算は 119億5677万円[2]。他に皇室費として101億4153万5千円が計上されている。内訳は、内廷費が3億2400万円、宮廷費が95億5381万1千円、皇族費が2億6372万4千円となっている。内廷費及び皇族費として支出されたものは、御手元金となるものとし、宮内庁の経理に属する公金としないとされている[注 5]

長官

宮内庁の長は宮内庁長官で(宮内庁法第8条1項)、その任免は天皇が認証する(同条2項)。

1947年(昭和22年)5月3日の日本国憲法施行の日に宮内府及び宮内府長官が設置され、1949年(昭和24年)に宮内庁及び宮内庁長官と改称された後も一貫して長官の職は認証官である。

また宮内庁長官は特別職国家公務員であり(国家公務員法第2条3項10号)、その給与は副大臣級である[22]

宮内庁長官は宮内庁の事務を統括し、職員の服務について統督する権限があるほか(宮内庁法第8条3項)、宮内庁の所掌事務について、内閣総理大臣に対し内閣府令を発することを求める権限(同条4項)、告示を発する権限(同条5項)、所管の諸機関及び職員に対し訓令又は通達を発する権限(同条6項)、皇宮警察の事務につき警察庁長官に対して所要の措置を求める権限(同条7項)などがある。

宮内庁長官には、旧内務省系官庁の事務次官あるいはそれに準ずるポスト(警視総監)の経験者が、宮内庁次長を経て就任することが慣例となっている。

歴代長官
氏名 在任期間 出身官庁 備考
宮内府長官
1 松平慶民 1947年(昭和22年)5月3日 - 1948年(昭和23年)6月5日 宮内省 叙・一級
2 田島道治 1948年(昭和23年)6月5日 - 1949年(昭和24年)5月31日 民間 叙・一級
宮内庁長官
1 田島道治 1949年(昭和24年)6月1日 - 1953年(昭和28年)12月16日 民間 引き続き一級
2 宇佐美毅 1953年(昭和28年)12月16日 - 1978年(昭和53年)5月26日 内務省 叙・一級
3 富田朝彦 1978年(昭和53年)5月26日 - 1988年(昭和63年)6月14日 警察庁 叙・一級
4 藤森昭一 1988年(昭和63年)6月14日 - 1996年(平成8年)1月19日 厚生省環境庁 叙・一級
5 鎌倉節 1996年(平成8年)1月19日 - 2001年(平成13年)4月2日 警察庁 叙・一級
6 湯浅利夫 2001年(平成13年)4月2日 - 2005年(平成17年)4月1日 自治省
7 羽毛田信吾 2005年(平成17年)4月1日 - 2012年(平成24年)6月1日 厚生省
8 風岡典之 2012年(平成24年)6月1日 - 2016年(平成28年)9月26日 建設省
9 山本信一郎[23] 2016年(平成28年)9月26日 - 2019年(令和元年)12月17日 自治省
10 西村泰彦[24] 2019年(令和元年)12月17日 - 警察庁
  • 2001年(平成13年)1月6日の中央省庁再編施行とともに、叙級制度は廃止。

次長

宮内庁には、宮内庁次長(1人)を置くこととされ(宮内庁法9条1項)、宮内庁次長は、長官を助け、庁務を整理し、各部局の事務を監督することと定められる(同条2項)[注 6]

宮内庁次長は、特別職の宮内庁長官と異なり一般職の国家公務員であり、給与は指定職8号俸の事務次官級であり、特別職の上皇侍従長式部官長と同等である[25][26]

歴代次長
氏名 在任期間 前職 備考
宮内府次長
1 加藤進 1947年(昭和22年)5月3日 - 1948年(昭和23年)8月2日 宮内省総務局長 叙・一級
2 林敬三 1948年(昭和23年)8月2日 - 1949年(昭和24年)5月31日 内事局長官 叙・一級
宮内庁次長
1 林敬三 1949年(昭和24年)6月1日 - 1950年(昭和25年)10月9日 引き続き一級
2 宇佐美毅 1950年(昭和25年)10月9日 - 1953年(昭和28年)12月16日 東京都教育長
東京住宅協会専務理事
- 1953年(昭和28年)12月16日 - 1953年(昭和28年)12月18日 宮内庁長官による事務取扱
3 瓜生順良 1953年(昭和28年)12月18日 - 1974年(昭和49年)11月26日
4 富田朝彦 1974年(昭和49年)11月26日 - 1978年(昭和53年)5月26日 警視庁副総監
内閣調査室
5 山本悟 1978年(昭和53年)5月26日 - 1988年(昭和63年)4月13日 自治省財政局長
6 藤森昭一 1988年(昭和63年)4月13日 - 1988年(昭和63年)6月14日 内閣官房副長官
7 宮尾盤 1988年(昭和63年)6月14日 - 1994年(平成6年)3月31日[注 7] 宮内庁管理部長
8 鎌倉節 1994年(平成6年)4月1日 - 1996年(平成8年)1月19日 警視総監
9 森幸男 1996年(平成8年)1月19日 - 2000年(平成12年)3月31日[28] 環境事務次官
東宮大夫
10 湯浅利夫 2000年(平成12年)4月1日 - 2001年(平成13年)4月2日 自治事務次官
11 羽毛田信吾 2001年(平成13年)4月2日 - 2005年(平成17年)4月1日 厚生事務次官
12 風岡典之 2005年(平成17年)4月1日 - 2012年(平成24年)6月1日 国土交通事務次官
13 山本信一郎 2012年(平成24年)6月1日 - 2016年(平成28年)9月26日 内閣府事務次官
14 西村泰彦[23] 2016年(平成28年)9月26日 - 2019年(令和元年)12月17日 警視総監
内閣危機管理監
15 池田憲治 2019年(令和元年)12月17日 - 2023年(令和5年)12月19日 全国市町村国際文化研修所学長
16 黒田武一郎[29] 2023年(令和5年)12月19日 - 総務事務次官
  • 1950年(昭和25年)6月1日以降、叙級なし。

注釈

  1. ^ 宮内庁長官、侍従長、上皇侍従長、皇嗣職大夫、式部官長侍従次長及び上皇侍従次長を含まない。行政機関の職員の定員に関する法律第2条第2項第2号。宮内庁法附則第2条第8項及び附則第3条第6項。
  2. ^ 上皇職及び皇嗣職の設置は、天皇の退位等に関する皇室典範特例法附則(上皇職及び皇嗣職の設置を規定した宮内庁法の一部改正)により追加された宮内庁法附則第2条及び同法附則第3条による。
  3. ^ 東宮職は皇位継承によって皇太子が空席となったため、設置されていない。
  4. ^ 宮内庁法附則第2条第8項及び附則第3条第6項による場合を含む。
  5. ^ 皇室経済法第4条第2項、第6条第8項。
  6. ^ 宮内府次長についても、宮内府に1人置くこととされ(宮内府法2条1項)、宮内庁次長と同様の職掌を定めていた(同法5条)。
  7. ^ 定年退職のため4月1日付でない[27]

出典

  1. ^ 行政機関職員定員令(昭和44年5月16日政令第121号)(最終改正、令和6年3月29日政令第87号) - e-Gov法令検索
  2. ^ a b 令和6年度一般会計予算 (PDF) 財務省
  3. ^ 山本淳, 小幡純子 & 橋本博之 2003, p. 23-24.
  4. ^ 宮内庁. “宮内庁”. 宮内庁(公式サイト). 2023年4月10日閲覧。
  5. ^ 宮内庁. “組織・所掌事務”. 宮内庁(公式サイト). 2023年4月10日閲覧。
  6. ^ 宮内庁. “沿革”. 宮内庁(公式サイト). 2013年3月閲覧。
  7. ^ 印刷局, ed (1947) (preview). 各庁職員抄録. 印刷局. pp. 12-13. NDLJP:1078939. https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1078939/8 
  8. ^ 「宮内庁 SNS活用し皇室情報を発信へ 広報体制も整備」『NHK News Web』2022-8-30
  9. ^ テレ東BIZ. “宮内庁がSNS活用めぐり軌道修正”. 2022年9月8日閲覧。
  10. ^ 宮内庁組織規則の一部を改正する内閣府令(令和5年内閣府令第29号)2023年3月30日付官報特別号外第23号49頁
  11. ^ 宮内庁「広報室」民間も登用 室長に藤原氏、きょう発足」『産経新聞』、2023年4月1日。2023年4月1日閲覧。
  12. ^ 「宮内庁 新設の広報室 初代室長に警察庁の藤原麻衣子氏」『NHK News Web』2023-4-1
  13. ^ 高清水氏は「対処」が具体的にはどのようなものであるかについては明言は避けているが、該当者に対し今後、油断を怠らないようにアドバイスしている。高清水氏の発言のスクリプトは以下の通りである。「そういうこと(誹謗・中傷記事)を書き込んでいる皆さん、宮内庁の調査力ということは馬鹿にしないほうがいいです。あなたたちのことはちゃんと宮内庁ではつかんでいます。どういう人物がどういう発信をしているかという、この宮内庁の広報室はちゃんと掴んでいますし、その情報を集めた中で今後何らかの対処をしていくと思いますので、あの、油断しないでくださいね。」(※( )内は補筆。)「【Front Japan 桜】秋篠宮家バッシングは皇統破壊-誹謗中傷を論破する![桜R5/12/1」『新日本文化チャンネル』2023-12-1(00:34:17~00:34:40)
  14. ^ a b 宮内庁が4月からインスタグラムで皇室情報発信、初のSNS運用…まずは両陛下の画像・動画から”. 読売新聞 (2024年3月25日). 2024年3月26日閲覧。
  15. ^ 宮内庁「インスタ」公式アカ公開 フォロワー30万人超”. 共同通信 (2024年4月1日). 2024年4月12日閲覧。
  16. ^ フジテレビ (2024年4月11日). “【速報】宮内庁「インスタグラム」をオランダ王室のアカウントがフォロー 外国王室のフォローは初”. FNNプライムオンライン. 2024年4月12日閲覧。
  17. ^ TBSテレビ (2024年4月11日). “宮内庁インスタが初フォロー 第一号はオランダ王室公式アカウント 相互フォローに”. TBS NEWS DIG. 2024年4月12日閲覧。
  18. ^ 新設「上皇職」は65人程度、退位後の両陛下補佐 - 日本経済新聞、2017年12月25日配信。
  19. ^ 宮内庁も新体制=上皇職・皇嗣職が発足-皇位継承 - 時事通信2019年5月1日[リンク切れ]
  20. ^ 宮内庁職員 宮内庁
  21. ^ 宮内庁組織令の一部を改正する政令(平成31年政令第158号)2019年4月24日付官報本紙第7495号
  22. ^ 主な特別職の職員の給与 (PDF)
  23. ^ a b “宮内庁長官に山本氏 閣議決定”. 日本経済新聞. (2016年9月23日). https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22H3X_T20C16A9EAF000/ 2016年9月27日閲覧。 
  24. ^ 宮内庁長官に西村氏就任 令和の皇室支える
  25. ^ 天皇の退位等に関する皇室典範特例法 - e-Gov法令検索
  26. ^ 特別職の職員の給与に関する法律 別表1
  27. ^ 平成6年4月1日付『官報』本紙第1371号13ページ第1段より。
  28. ^ 平成12年4月4日付『官報』本紙第2842号11ページ第1段より。
  29. ^ “宮内庁次長に黒田武一郎氏”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2023年12月15日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE153XG0V11C23A2000000/ 2023年12月24日閲覧。 
  30. ^ 宮内庁幹部名簿(令和5年12月20日現在)”. 宮内庁. 2023年12月24日閲覧。






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