性分化疾患
英語:Disorders of sex development、DSDs
先天的に、外性器や卵巣・精巣などの性腺、あるいは染色体が、男性・女性の区別がつきづらい曖昧な状態であること。下垂体、甲状腺、副腎、性腺などの内分泌器官における疾患を総称するもので、単一の疾患を指すものではない。「性分化疾患」の名称は、日本小児内分泌学会が統一的呼称として定めたもの。それまでは「両性具有」などと呼ばれてきた。
性分化疾患の具体的な原因には、「クラインフェルター症候群」、「ターナー症候群」、「ヌーナン症候群」、「先天性副腎皮質過形成」など、数十に及ぶ内分泌疾患が影響し得る。患者の持つ身体的特徴もさまざまで、卵巣と精巣を併せ持つ「半陰陽」、卵巣と精巣が未分化のままでいる「性腺形成不全」、男性の尿道下裂、陰茎が極端に小さいか全く欠損している状態、女性で膣が欠損している状態、などの症状が見られる。性分化疾患を伴って生まれる確率は、およそ0.1%と言われている。
性分化疾患を伴って生まれた場合に性別を正しく判定することは難しく、思春期を迎える頃になって自己の性認識と社会的環境との乖離に悩む患者は多いとされる。担当科は小児外科(小児泌尿器科)となるが、国内では主治医として思春期にいたるまで長期にわたるケアが可能な医療体制も不足しているという。
関連サイト:
性分化疾患ホームページ
性分化疾患 疾患概要 研究奨励分野 平成22年度 - 難病情報センター
せいぶんか‐しっかん〔セイブンクワシツクワン〕【性分化疾患】
読み方:せいぶんかしっかん
染色体・性腺・性器などが男性型・女性型のどちらか一方に統一されていないか、またはあいまいな状態である先天的疾患の総称。クラインフェルター症候群・ターナー症候群・先天性副腎皮質過形成症などさまざまな疾患がある。性染色体やホルモン分泌の異常によって、性分化の過程で発生する。男性か女性か区別しづらいことから、半陰陽・両性具有・インターセックスなどとも呼ばれているが、こうした表現は適切でないとする見解もあり、近年では「性分化疾患」などの呼称が用いられている。身体の性別と自認する性が異なる性同一性障害とは異なる。DSD(disorders of sex development; disorders of sex differentiation)。性分化異常症。性分化・発達障害。
性分化疾患
性分化疾患 (DSDs)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:46 UTC 版)
「性分化疾患」の記事における「性分化疾患 (DSDs)」の解説
性分化疾患 (disorders of sex development, DSDs) とは「染色体、性腺、または解剖学的性の発達が非典型的である先天的状態」を指す医学用語である。 「『インターセックス:間性 (intersex)』や『仮性半陰陽 (pseudohermaphroditism)』、『半陰陽:雌雄同体 (hermaphroditism)』、『性転換 (sex reversal)』といった用語や、性別を基盤とした診断学的ラベリングが特に議論を呼んでおり、患者には蔑視的な意味が潜むものと感じられ、専門家や親などにとっては紛らわしいものである」ため、臨床上の系統的な専門用語として提案されたものである。この用語は、ローソン・ウィルキンス小児内分泌科学会 (LWPES) や、アメリカ小児医学会 (AAP)、ヨーロッパ小児内分泌学協会 (ESPA)、当事者団体である北米インターセックス協会 (ISNA)、日本小児内分泌学会性分化委員会などのメンバー・専門家ら約40人以上が集まった2006年の国際会議において合意・採択された(シカゴコンセンサス)。 名称の変更案として半陰陽 (intersex) を「disorders of sex development (DSD)」、真性半陰陽 (true hermaphrodite) を「ovotesticular DSD」とする提唱がなされた。論文『我々はその人たちを半陰陽 (hermaphroditism) と呼んできた』において、筆者のヴィランは「DSDs」はインターセクシュアリティの同義語ではなく、「半陰陽:雌雄同体 (hermaphroditism)」を基にした医学用語を置き換えるものであると明確にしている。 2009年10月、日本小児内分泌学会では、こうした状態の総称に「異常 (abnormality) や障害 (disorder) という言葉を使うべきではない」として「性分化疾患」を用いることを決定した。
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性分化疾患
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/03 04:28 UTC 版)
18歳の時に性分化疾患(半陰陽)と診断されるが、自らの性は男であると考えていた。女性化する身体に耐え切れず、30代半ばから女性として生きる事を決意し戸籍を女性に変更する。性分化疾患(DSD、インターセックス)である事を公表し、DSDの子供達が何も知らずに手術を受けさせられている現実を批判し続ける。その努力もあり、2015年には「本人の同意無しに行われる性器手術は人権侵害である。」と国連が発表するに至たる。身体の構造の違いを理由に「男女の分類」を問うのはDSDの方々にとっての人権侵害である、私達は普通の人間である、と主張し米国全土で講演会を開いている。
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