ホメーロス 後世の芸術作品への影響

ホメーロス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/19 08:08 UTC 版)

後世の芸術作品への影響

ラフォン『ホメーロスのために歌うサッポー』(1824)
ルロワール『ホメーロス』(1841)
アントワーヌ=ドニ・ショーデ『ホメーロス』(1806)

ホメーロスが実在したか、あるいは1つの人格であるのかといった問題はさておき、ホメーロスが古代ギリシアにとって、最初の最も高名な詩人であり、古代ギリシアは文化と教養の多くを彼に負っていると言っても誇張ではない。また「西洋文学の父」として、古代ギリシアの古典期、ヘレニズム時代、ローマ時代、(西欧でギリシア語の知識が部分的に失われた中世は除く。この時代、ホメーロスの文学はギリシア人が支配階層となった東ローマ帝国(ビザンツ帝国・ビザンティン帝国)に受け継がれ、東ローマの官僚知識人の間ではホメーロスの詩を暗誦できるのが常識とされていた[37])、ルネサンスから現代に至るまで、ホメーロスは西洋文学において論じられている。

文学

  • ヴィクトル・ユーゴーは『ウィリアム・シェイクスピア』においてホメーロスのことをこう書いた――「世界が生まれ、ホメーロスが歌う。この夜明けの鳥である。」
  • オノレ・ド・バルザックはホメーロスを極めて高く位置付けてこう書いた――「その国に一人のホメーロスを与えるというのは、神の領域への侵犯ではないか?」[38]
  • ホメーロスは盲目の詩人であり、身体的な障害を詩的な天分が埋め合わせたのだと当初は考えられていた。このため、後世の数多くの高名な詩人や作家たちが盲目であるためにホメーロスに結び付けて考えられた。例を挙げれば、叙事詩『失楽園』の著者ジョン・ミルトン、セルビアのguzlar[訳語疑問点]Filip Višnjić[訳語疑問点]ドゴン族の狩人Ogotemmêli[訳語疑問点]、さらに最近ではアルゼンチンの作家・詩人ホルヘ・ルイス・ボルヘスなどである。
  • ルキアノスは多くの対話篇においてホメーロスを登場させている。
  • イスマイル・カダレの『Hに関する書類フランス語版』は、ホメーロス問題を解決する野望を持ちラプソドスたちの口承叙事詩を記録すべくアルバニアを訪れた2人のホメーロス学者の物語である。

絵画

彫刻


注釈

  1. ^ « τυφλὸς ἀνήρ, οἰκεῖ δὲ Χίῳ ἔνι παιπαλοέσσῃ », vers 172. 讃歌は、紀元前7世紀中葉から紀元前6世紀初頭の間に作られたものである。
  2. ^ ハルポクラチオン英語版』によれば、メレスとクレテイスの物語は紀元前5世紀には既にヘラニコスが疑問視していたという。フィロストラトスの『映像[訳語疑問点]』にもこの話が現れる。(『Images』のフランス語訳
  3. ^ ディガンマがなければヒアートゥスとなる。

出典

  1. ^ Chantraine, Pierre (1999) (フランス語). Dictionnaire étymologique de la langue grecque, vol.II. II. Paris: Klincksieck. pp. 797. ISBN 2-252-03277-4 
  2. ^ フランソワ・トレモリエール、カトリーヌ・リシ編、樺山紘一監修『図説 世界史人物百科』Ⅰ古代ー中世 原書房 2004年 29ページ
  3. ^ 『オデュッセイア』VIII, 63-64.
  4. ^ 戦史』 III, 104.
  5. ^ Dion Chrysostome, Discours, XXXVI, 10-11.
  6. ^ FHG II, 221.
  7. ^ Snell, TrGF I 20 Achaeus I, T 3a+b.
  8. ^ Platon, Phèdre, 243a.
  9. ^ Diels, II, 88-89.
  10. ^ M. P. Nilsson, Homer and Mycenæ, Londres, 1933 p.201.
  11. ^ Aristote, Éthique à Eudème, 1248b.
  12. ^ R. G. A. Buxton, « Blindness and Limits: Sophokles and the Logic of Myth », JHS 100 (1980), p.29 [22-37.
  13. ^ Simonide, frag. 19 W² = Stobée, Florilège, s.v. Σιμωνίδου.
  14. ^ イーリアス(VI, 146).
  15. ^ Lucien, Histoire vraie (II, 20).
  16. ^ パラチヌス詞華集』(XIV, 102).
  17. ^ Kirk, p.1.
  18. ^ M.L. West, « The Invention of Homer », CQ 49/2 (1999), p.366 [364-382].
  19. ^ Éphore, FGrHist 70 F 1.
  20. ^ West, p. 367
  21. ^ West, p.365-366.
  22. ^ 歴史』(V, 67)
  23. ^ a b Hérodote (IV, 32).
  24. ^ Simonide, frag. 564 PMG.
  25. ^ 『ピティア祝勝歌』 (IV, 277-278).
  26. ^ Sénèque, De la brièveté de la vie (XIII, 2).(仏訳原文
  27. ^ a b Parry, p. XII.
  28. ^ Parry, p. XIII.
  29. ^ Parry, p. XIV-XV.
  30. ^ 『イーリアス』 (V, 576-579).
  31. ^ Iliade (XIII, 658-659).
  32. ^ E Lasserre, L'Iliade, Introduction, éd. Garnier-Flammarion.
  33. ^ De oratore, III, 40.
  34. ^ Jacqueline de Romilly, Homère, 1999.
  35. ^ Iliade (XVI, 215–217), extrait de la traduction de Frédéric Mugler. Voir aussi Iliade (XII, 105 ; XIII, 130-134) et peut-être Iliade (IV, 446-450 = VIII, 62-65).
  36. ^ Odyssée (IX, 390–395).
  37. ^ 井上浩一『生き残った帝国ビザンティン』講談社学術文庫、2008年。 p152-153
  38. ^ fr:La Fille aux yeux d'or, édition Furne, 1845, vol.IX, p.2.(『金色の眼の娘フランス語版』)






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