しこめ
「しこめ」とは、容姿の醜い女を意味する表現である。
「しこめ」とは・「しこめ」の意味
「しこめ」を漢字にすると「醜女」になる。「醜女」と表記した場合、「しこめ」以外にも「ぶおんな」や「しゅうじょ」という読み方もできる。いずれも意味は同じで、見た目が劣る女性を表す言葉だ。「醜女」の「醜」の文字は訓読みすると「しこ」になり、「みにくい」「けがらわしい」などの意味を含んでいる。女性を表す漢字「女」も、「醜」と同じく「め」と訓読みしている。また「しこめ」は、黄泉の国にいるというみにくい女の鬼を意味する言葉でもある。黄泉の国の女の鬼が最初に登場したのは、「古事記」だ。「古事記」の中には、イザナギ(夫)とイザナミ(妻)という神様が登場する。イザナミは火の神を出産する際に女竅を火傷し亡くなったが、イザナギは黄泉の国まで妻を追いかけていった。イザナミは夫のもとへと戻れるように神様に頼みに行くことにするが、その際イザナギに自分を見ないで欲しいと忠告した。しかしイザナギは、我慢できずにイザナミの姿を見てしまう。
そこには体が腐って変わり果てたイザナミの姿があり、イザナギは驚いたと同時に妻に見たことを怒られて、その場から逃げ出してしまったのだ。イザナミが逃げたイザナギの追手として選んだのが女の鬼だ。ここで登場したのは、「予母都志許売(よもつしこめ)」という足が速くて食い意地の張った女の鬼である。他に、漫画「鬼滅の刃」にも「しこめ」という言葉が登場する。しかも「女の鬼」と「みにくい容姿」という、2つの意味で使われているのだ。
コミックスの2巻を確認してみると、「愈史郎」というキャラクターが鬼となってしまった「禰豆子(ねずこ)」に対して、「醜女(しこめ)だ」と言っているのがわかる。ここで愈史郎は、単に女の鬼という意味で「しこめ」と言ったのだが、禰豆子の兄であり主人公でもある「炭治郎」は「みにくい容姿」という意味で捉えたのだ。そのため炭治郎は怒るのだが、愈史郎は聞いておらず2人のやりとりが噛み合わない状態になっている。「しこめ」の2つの意味が確認できる面白い事例だ。
「しこめ」の語源・由来
「古事記」に登場する「予母都志許売」が「しこめ」の語源だと言われており、「日本書紀」では「泉津醜女」と表記されているのが確認できる。また、「日本書記」では、神や人の名前にしばしば「醜(しこ)」が使われており、「みにくい容姿」という意味合いを含んでいた。このことが、見た目が劣る女性に対して「しこめ」と使うようになった由来だと言われている。「しこめ」の熟語・言い回し
しこめちゃんとは
「しこめちゃん」とは、「ところはつえ」作の少女漫画のタイトルだ。同作者の「にゃんころりん」というコミックスに収録されている話で、主人公の「しこめちゃん」とその友人たちを中心としたコメディ漫画である。主人公のしこめちゃんは、黒くて毛に覆われた小さなキャラクターだ。みにくい容姿に関する内容を多く含んでいるが、しこめちゃんは落ち込んだりしない元気なキャラクターとして描かれているのが特徴である。
しこめの鬼とは
「しこめの鬼」とは、「しこめ」の意味を分かりやすくするために用いられる言い回しだ。単に「しこめ」と言った場合、「みにくい容姿の女性」と「黄泉の国にいたみにくい女の鬼」のどちらの意味なのか分かりにくい。そのため、「黄泉の国にいたみにくい女の鬼」という意味で「しこめ」と使う際に、「しこめの鬼」と表現する場合がある。
「しこめ」の使い方・例文
「しこめ」を「容姿の劣る女性」という意味で使用する場合の例文は、以下のようになる。・わたしはどうせしこめだ
・彼にしこめだと言われた
・しこめとは言われたくない
・あの人はしこめだ
・しこめと言われないようになりたい
・しこめは悪口だろう
「しこめ」を「みにくい女の鬼」という意味で使う場合の例文は、以下のようになる。
・黄泉の国にはしこめがいるらしい
・古事記を読んでいたらしこめが登場した
・しこめに追いかけられる夢を見た
・しこめの絵を描く
醜女
不細工
不細工(ぶさいく)とは、外見や人相が醜い様や劣る様を指す。元は細工(工芸品)の出来が悪いことをいった。転じて、物事一般に体裁が悪いこと、好ましくないことを指す。それに付け加え悪口にも含まれる。そしてその人物の内面を指して使うこともある。人物に対して呼称する場合は女性の場合は醜女(ぶおんな・しこめ)やブス、男性の場合は醜男(ぶおとこ・しこお)と言う。

概要
人に対して用いると侮蔑となるが、病気やケガにより容姿が変形したものは含めないことが多い(ユニークフェイス)。嘲笑表現の一種であるが、その一方で容姿の美醜は時代や文化圏(見る側の価値観)によっても違ってくるので、客観的評価とは言いがたく、その範疇は極めて曖昧である。
元々は、手工芸品などの「細工物」で技術的に劣るために細工が悪いさまを指していたとみられるが、人の容姿に至っては粘土細工のように指でこねて形を変えることもできないため、これにコンプレックス(劣等コンプレックス)を抱く人も多い。日本では1980年代以降にコンプレックス産業として社会に定着した美容整形手術により身体改造に走るケースも良く聞かれる。ただ生き物の肉体を変形させるこれら施術では、必ずしも当人の望むようには形が変わらなかったり、施術が失敗する事故もあるため、これに関するトラブルも見られる。
人間以外に対して適用する場合、ペットなどでは見た目がスマートまたは優美ではない、または顔付きが特徴的である、模様が笑いを誘うなどといった具合である。ペットはしばしば愛玩動物ないしは「家庭内の道化」として、人を和ませるために飼育されるため、不細工な動物を好む人も見られる。
不細工と価値観
人を指して不細工と言う場合、蔑称であったり劣等感を抱かせる範疇のものとされるが、その一方でその人の個性の範疇として認識される場合もある。例えば現代の日本では太っていることは美意識にそぐわないという価値観が見られる一方で、いわゆる「デブタレ(太ったタレント・→デブタレント)」というジャンルが存在し、それらの熱狂的支持層も存在する。
平均美人説(→美人)からすれば、不細工は美人(あるいは美男子)などと比べてかなり特徴が強い顔であると言え、とあるベテランセールスマンの弁によれば「一発で顔を客に覚えてもらえる」といわれたり、また女性にあっても「愛嬌がある」とこれを好む男性がいる(→ブスかわいい)などという場合もある。不細工ゆえに笑顔が引き立つ傾向も否定できないため、要は当人の気のありようとも考えられる。不細工にもさまざまなタイプがあるので一概にはいえないが、容姿の歪みやアクの強さを「異様」「醜い」と見るか「味」と見るかは多分に見る人の好みに依存している。
格言
「美人は3日で飽きるがブスは3日で慣れる」という格言があるが、これは一説によると日本で見合い結婚が主流だった頃に、容姿の醜い女性と結婚することになった男性をその親族がこのように説得したのがその発祥だとされる。
価値観の変容
不細工はある意味で、その特徴をもって好まれる傾向が在る。若者言葉にみられる「キモ可愛い」などは、一般的価値観からしたら違和感を覚えさせ、微妙におぞましげであったり、グロテスクであったりするものが、その狙ったような不自然さ、または不思議な個性ゆえに「好ましい」と認識される。
これは従来の少女趣味的な商業製品の氾濫に対するアンチテーゼともいえ、これらのマスコットキャラクターグッズでは、不細工であるほどに持てはやされる傾向も否定できない。狙って作られたブームでもあるため、人の面相における不細工とは意味が違う。これらでは日本において1990年代よりさまざまなキャラクターグッズも登場、市場を賑わせている。(→ゆるキャラ、たれぱんだ)
このように価値観の変容は時代によっても起こっている。ふくよかな体型を指して平安美人というような代替語も見られるが、この当時の言葉として「うりざね顔」という美人体系も現在に残っており、これはやや頬がふっくらしている長面である。
経年変化
人の面相は頭蓋骨の形状と、その表面にある皮膚、さらにはその間にある表情筋や脂肪層などの組織によって決定される。だがこれは生涯を通じてさまざまな条件によって変化し、歳を経るたびにあまり気にされなくなることがある。幼少期にはひどく不細工だったが、加齢と共にその人の個性と相まって引き立つ事例も見られる。
不細工とレッテル貼り
不細工な人間を語るとき、しばしばその性格もからめて語られることがある。しかし、容姿が醜いというだけでその性格にまでレッテルが貼られる傾向があるようである。
ディオンらは、大学生を被験者とした研究[1]で、他の学生の個人的特長を顔写真を元にして評価させる実験を行った。おのおのの写真は、あらかじめ他のグループの学生によって魅力的な容姿か否か判定されていた。実験の結果、男女問わず、見かけの良い人間のほうが不細工な人間よりも、面白味があり、社交的で、刺激的で、親切で、感受性があり、強く、慎み深いと評価された。 また、ディオンは小学2年生の子供が起こした騒動に対する評価についても実験した[2]。被検体である大人の女性らには、事件の記述の他、騒動を起こした子供の年齢、さらにその少年少女の写真が添付された報告書が見せられたが、これらの写真が魅力的な容姿であるか否かは、あらかじめ別のグループの大人が判定していた。そしてその報告書を読んでから、婦人達にはその事件と子供についてどう思うかコメントが求められた。すると、その悪事が「眠っている犬に岩を投げつける」といった極端な例の場合は特に、見かけの良い子供に対してよりも、見かけの良くない子供に対してかなり悪い性格特性が与えられやすいという結果が得られた。
言い換え語・婉曲表現
職場や学校などで自然発生的に作られるが、代表的なものに「性格美人」「平安美人」などがあり、これらは平成17年に株式会社リクルート発行の無料雑誌「R25」第73号で取り上げられ知られるようになった。
脚注
参考文献
- D.ウェグナー・R.ヴァレカー「暗黙の心理-何が人をそうさせるのか」倉智佐一監訳、創元社、1988年、193-194頁。
関連項目
醜女
「醜女」の例文・使い方・用例・文例
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