Variations on a Theme of Chopin Op.22とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 趣味 > ピティナ・ピアノ曲名 > Variations on a Theme of Chopin Op.22の意味・解説 

ラフマニノフ:ショパンの主題による変奏曲

英語表記/番号出版情報
ラフマニノフショパンの主題による変奏曲Variations on a Theme of Chopin Op.22作曲年: 1902-03年  出版年1904年  初版出版地/出版社: Gutheil 

作品解説

2007年10月 執筆者: 齊藤 紀子

 20世紀初頭1902年から翌年にかけて作曲された。完成した1903年出版されこの年2月ラフマニノフ自身初演している。

 ショパンの《前奏曲集 作品28》の<第20番 ハ短調>を主題としており、そこに22変奏が続く。尚、初版楽譜には、第7、1012変奏演奏者任意により省略してよいと書かれている。更に、曲を締めくくるプレスト」の部分省略しその代わりにこの作品主調であるハ短調主和音弾いて曲を終えて良いとされている。この作品には、これらのコメント反映させた、言わば《ソナタ 第2番》で行われた改訂版出版されていない

 主題は、ハ短調の4分の4拍子ラルゴである。この主題は、ショパン原曲そのまま用いているわけではなく長さ短縮してある。
 第1変奏は、モデラートとなり、原曲メロディー早くも装飾的な音に満ちた1つライン中に埋め込まれる。ここで、ラフマニノフ最初の4小節間をこのようなラインのみで構築し残りの5小節においても、低音域のハ音主音)を長く響かせることにより、薄いテクスチュア示している。
 第2変奏は、アレグロとなる。第1変奏右手弾いたライン左手へと移る。ここでは、その上に乗って演奏される右手メロディーの内、各小節最初の音が演奏されない。そのようにして、主題フレーズ巧妙に扱われている。
 第3変奏では、左右の手アレグロのまま、2本の糸が織りなすのような音楽奏でる
 続く第4変奏で、4分の3拍子となる。また、24小節規模がやや大きくなる主題ff開始するが、その後第1変奏から第3変奏までの間、ディナーミクはpやpp中心としていた。一方、この第4変奏では、ディナーミク頂点計画的に築かれる
 そして、第5変奏で、4分の4拍子戻り、メーノ・モッソとなる。
 第6変奏は、更にメーノ・モッソとなる。4分の6拍子となるここでは、右手の6連音符左手の9連音符ポリ・リズムを示す。更に、後半からは、拍頭に分散和音演奏される
 第7変奏は、前述通り省略することができる。ここでアレグロとなり、左右の手協力し合って付加的な音に満ちた細かい音価ライン演奏する
 第8変奏には、第7変奏と同じテンポ指示されている。従って、第7変奏省略した場合には、ここからアレグロとなる。この変奏も、左右の手ポリ・リズム演奏するが、ここではレッジェーロ指示されている。
 第9変奏引き続き同じテンポ指示されている。ここでは、2つ音域交互に演奏し、その各々掛け合いによって音楽展開されていくラフマニノフ特徴的な手法見られる
 第10変奏は、前述通り省略することができる。ここでピウ・ヴィーヴォとなり、カノンに近い手法主題扱われる最後には、ハ短調主和音ff響き、そこにフェルマータ付されている。
 続く、第11変奏では、一転して8分の12拍子レントとなる。従って、第10変奏省略するか否かにより、この作品全体の流れ大きく変わってくる。ここでは、非常に半音階的主題扱われる。リタルダントとア・テンポによるテンポ変化目立っている。
 モデラートの4分の4拍子書かれ第12変奏も、省略することができる。この部分途中には、1小節の4分の2拍子挿入されている。このようなほんの僅かな範囲拍子変化も、ラフマニノフ特徴的な手法1つである。そして、この変奏内部において、音楽ドラマティック展開していくため第10変奏同様に、この第12変奏省略するか否かにより、この作品全体の流れ大きく変わってくる。
 次の第13変奏で、ラルゴの4分の3拍子となる。ここで再び、第9変奏のように、2つ音域交互に演奏し、その各々掛け合いによって音楽展開されていくラフマニノフ特徴的な手法見られる
 第14変奏は、モデラートの4分の4拍子書かれている。ここでは、主題ダイナミックな音階として扱われるメロディーをはっきりと強調する指示付されている。また、この変奏最後の1小節は4分の2拍子書かれており、8分の12拍子となる次の変奏へと続く。
 第15変奏では、主調から見た下属調にあたるヘ短調へと転調し、アレグロ・スケルツァンドとなる。この変奏は多声的に書かれているまた、規模比較大きく終結近くピウ・ヴィーヴォとなる。
 続く第16変奏ヘ短調書かれており、レントとなる。ここでは、メロディー歌われ方がラフマニノフの手中におさめられ採譜したルバートのようなリズム扱われている。
 次の第17変奏変ロ短調となる。つまり、ヘ短調から見た下属調である。また、ここで4分の3拍子グラーヴェとなる。リズムはほぼ8分音符主体としており、と中で2小節挿入される3連音符効果的である。
 第18変奏は、引き続き変ロ短調書かれている。但し、4分の4拍子ピウ・モッソとなる。ここで再び、ポリ・リズムによる音楽展開される
 そして、第19変奏突如半音低いイ長調転調するアレグロ・ヴィヴァーチェの4分の4拍子書かれたこの部分は、非常に厚い和音テクスチュア特徴的である。
 更に、第20変奏で、調の変化ドラマティック音楽進展寄与するプレスト書かれたこの変奏調号は、♯4つである。概して嬰ハ短調ホ長調嬰ハ短調となっており、先立つ19変奏イ長調主和音開始するホ長調部分では、ラフマニノフ他の作品にも見られるような高音域の細かい音価によるパッセージ特徴的で、ほんの一瞬差し込む光のようである。
 続く第21変奏は、異名同音上の同主長調変ニ長調開始する。この変奏も、非常にドラマティック音楽進展していく。冒頭アンダンテ部分には、ピウ・ヴィーヴォ部分が続く。この部分には調号がないが、ト音強調しているため、ハ長調属音保続していると考えられる
 そして、この作品全体締めくくる22変奏は、ハ長調書かれている。従って、ここに先立つピウ・ヴィーヴォはやはりハ長調属音保続し、この部分への橋渡しをしていたことになる。また、この作品の同主長調行き着くまでに、作品後半で非常にドラマッティックな調を辿ってきたことがわかる。この変奏は、4分の3拍子マエストーソ書かれており、厚いテクスチュア和音ポリ・リズム2つ音域交互に演奏する掛け合いによる音楽の展開といった、これまで見られ多様な手法比較規模大きく紡ぎ出されるまた、前述通り、メーノ・モッソの後のプレスト部分省略しその代わりにこの作品主調であるハ短調主和音弾いて曲を終えて良いとされている。




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

Variations on a Theme of Chopin Op.22のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Variations on a Theme of Chopin Op.22のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
社団法人全日本ピアノ指導者協会社団法人全日本ピアノ指導者協会
Copyright 1996-2024 PianoTeachers' National Association of Japan

©2024 GRAS Group, Inc.RSS