M-Vロケットの廃止とイプシロンロケットとは? わかりやすく解説

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M-Vロケットの廃止とイプシロンロケット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 09:39 UTC 版)

M-Vロケット」の記事における「M-Vロケットの廃止とイプシロンロケット」の解説

イプシロンロケット#開発経緯」も参照 JAXAは、ISASから引き継いだM-Vロケットと、NASDAから引き継いだH-IIA/H-IIBの2系統ロケット維持開発してきたが、M-V廃止して新型固体燃料ロケット開発するという報道2006年3月なされた2006年7月26日にはM-Vロケット廃止決定された。 この背景には、M-Vロケット半分弱の能力を持つM-3SIIロケット廃止したため、科学衛星M-Vロケット能力合わせて開発してしまったことへの反省がある。M-VICBMにも転用可能な性能持っており、それに合わせた衛星科学衛星としては大型かつ高価過ぎ、M-V自体価格あいまって予算上の理由から衛星開発間隔延びざるを得ないISASとしても、M-Vより小型低価格ロケット開発して小型衛星多数打ち上げたいという意向持っていたため、M-Vロケットの1段目を省略して第2段からキックモータまでの3段式とし、ノーズフェアリング集中させた電子装備回収, 再使用する案 (M-V Lite)や、第1段へのCFRP一体型モーターケースの採用機体構成製造プロセス運用システム見直し搭載電子機器統合簡素化を行う案 (M-VA)を模索していたところであったまた、8号機打ち上げ後記者会見では森田プロジェクトマネージャーよりSRB-A流用H-IIAとのコンポーネント共通化によるコスト削減案を検討している旨が述べられている。 約75億円でペイロードが2t弱という M-V打上げ費用が、当時開発中だった規模同程度GXロケットより高いという問題もあった。しかし後に、そのGXロケットも1機の費用M-VはおろかH-IIAより高くなる見通しになったため、開発中止されている。 一方H-IIAロケット比較した場合M-Vの方がペイロード重量あたり単価が高いため、衛星によってはH-IIA相乗りして打ち上げた方が安いこともあり得るこのような事情から2007年H-IIASRB-A改造して1段目に使用し2・3段目にはM-Vロケット3段目と4段目を改良して使用することで低軌道に1.2tのペイロード投入する案が採用され、「次期固体ロケット」の仮称開発開始した当初次期固体ロケットはまず2段式を開発しオプションとして3段目を追加できるとしていた。この案ではペイロードが500kgと、M-V比べてあまりに貧弱であり、また比推力液体ロケットより低い固体ロケット2段式で使用するためきわめて非効率ロケットになってしまうことから、次期固体ロケットへの批判M-V存続もしくはM-V Lite開発)の声が巻き起こったまた、かつて同じようSRBMシリーズの上段を組み合わせたJ-Iロケット事実上失敗したことも、次期固体ロケット批判する材料になった。しかし次期固体ロケット開発が進むにつれ、関係者次期固体ロケット意義説明したこと、2段式案が消えて最初から3段式としたことなどから、批判の声沈静化した。批判者一人である松浦晋也は、M-V廃止は旧科学技術庁官僚が、傍系の「東大ロケット」の末裔であるM-V嫌った結果であり、その結果文科省への不信生んだとする見方示している。2010年4月JAXA次期固体ロケットの名称を「イプシロン (Ε)」とすることを発表した。 なお、M-Vロケット廃止伴って内之浦宇宙空間観測所閉所種子島宇宙センターへの集約検討されたが、イプシロンロケット打ち上げ内之浦で行う方向検討進められ2012年内之浦での打ち上げ正式決定された。イプシロンロケット1号機2013年9月14日内之浦宇宙空間観測所から人工衛星衛星軌道投入後に「ひさき」と命名)の打ち上げ成功した。 以下に、M-Vロケットと他のロケットとの費用比較掲げる。 低軌道打ち上げ能力コスト低軌道1t当たりの価格射場作業日数M-Vロケット1.85t 75億円*1 約41億円*1 47イプシロンロケット1.2t 25 - 30億円(予定)*1 21 - 25億円(予定)*1 7日予定H-IIAロケット202機体10t 85億円 8.5億円 約20日 *1 ロケット製造輸送打ち上げ費用を含む つまりイプシロンM-V比べ搭載能力で6割、費用半分以下、所要日数では遥かに短縮出来る。 イプシロンロケット開発費用200億円を予定しているが、年間1機の打ち上げ想定した場合イプシロンロケットM-Vより年45 - 50円安くなることになる。これと小型低価格科学衛星組み合わせることで、科学衛星1基あたりの経費半減し開発間隔短縮することを狙っている。

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