Honda Racing Developmentとは? わかりやすく解説

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ホンダ・レーシング・ディベロップメント

(Honda Racing Development から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/27 09:33 UTC 版)

ホンダ・レーシング・ディベロップメント(Honda Racing Development、略称 HRD)は、かつて存在した本田技研工業傘下でホンダF1活動を行う子会社だった[1][2]

F1参戦第3期にイギリスブラックネルに設立された法人(1998年から2016年)と、第4期にイギリスミルトンキーンズに設立された法人(2019年から2022年)の二種類があるが、いずれもホンダのF1参戦の前線基地であった。

概要

第3期

HRD
ホンダ・レーシング・ディベロップメント[3]
現地語社名
Honda Racing Development Ltd.
元の種類
子会社 (現地法人)
設立 1998.05.08
解散 2016.07.05
本社 Bullbrook Building Brants Bridge Bracknell Berkshire RG12 9BQ,UK(2010年7月まで)[4]
主要人物
和田康裕
オットマー・サフナウアー
中本修平
親会社 本田技研工業株式会社
HONDA MOTOR CO.,LTD.

創設は1998年5月、本拠地はイギリス・バークシャー州ブラックネル[1]。初期の業務は前年末に人を介した買収に失敗したティレルのコンストラクター部門とレースチームの保存吸収で、ティレルの共同所有者のハーベイ・ポスルスウェイトを取り込んだ新たな参戦チーム体制を求めた。1999年晩春のテスト中のポスルスウェイトの死去を経て、ルパート・マンウォリングがレースチームの責任者になるが、チーム運営への不安要素からか、このビジョンは採用放棄、その後は、ティレル購入者そのものの側への関与が選択され、用意されていたエンジンは、2000年B・A・Rに向けて供給された。こうしたエンジン供給は、2002年にはジョーダン・グランプリチームへも実行されるが、同年初めのレイナードの引き揚げから、2003年からはブラックリーのB・A・R設計スタッフとホンダの栃木のコラボレーションが進行し、共同での車体開発が実現される運びとなった。2003年の日本グランプリの直前には、クレイグ・ポロックからの株式獲得もあり、佐藤琢磨のシートが用意され、2004年にはチームはB・A・R 006で11回表彰台に上り、未勝利ながらコンストラクターズランキング2位を獲得し、同年中にはエイドリアン・レイナードからのシェアも併せて、45%の株式を取得し、チームへのBATの貸付金を帳消しにするという条件を呑んで、2006年には、100%の株式を取得する運びとなった。

2006年から2008年にかけては、スーパーアグリF1チームに対するエンジン供給を行い、2007年から2008年には下請けのニック・フライプロドライブを介して、スーパーアグリF1チームに車体供給を行った。

ホンダの2008年シーズン限りでのF1撤退に伴い、HRF1の株式100%は、当時ホンダF1のチームマネージャーだったロス・ブラウンに売却されたが[5]HRDは2016年7月まで存続していた。

第4期

HRD UK
ホンダ・レーシング・ディベロップメント UK[6][7]
現地語社名
Honda Racing Development UK Ltd.
元の種類
子会社 (現地法人)
設立 2019.02.19
解散 2022.04.22
本社 Unit 10 Grampian Gate, Winterhill, Milton Keynes, Buckinghamshire, MK6 1BD, UK[8]
主要人物
山本雅史
田辺豊治
親会社 本田技研工業株式会社
HONDA MOTOR CO.,LTD.

2015年から、HRD Sakuraの名称を冠した開発施設が新たに設立された(詳細はホンダF1#拠点を参照)。ホンダR&DのSakura施設では、F1のみならず日本国内のレースカテゴリ(SUPER GTスーパーフォーミュラ)の技術開発や過去参戦していたF1車両のメンテナンス活動も行われている[9]

HRD UKの名称を冠した(HRD Milton Keynes)の設立は2019年のこととなる。主にレースの運用部門のエンジニアが常駐し、PUのメンテナンス、バッテリーパックの開発なども行っていた。

2020年10月、ホンダF1が2021年シーズンをもって再度の撤退を決定[10]。そして2022年、「HRD Sakura」を本田技術研究所から二輪レース組織のホンダ・レーシング(HRC)に移管統合し、HRC四輪レース開発部となり[11]、以降は同組織がホンダ・モータースポーツ全般の運営を担う[12]。それに伴い、名称が「HRC Sakura」に変更になった[13]

「HRD Milton Keynes UK」は同年2月末をもって業務を終了し、翌3月から引き継ぎ先のレッドブル・パワートレインズ(RBPT)に現地スタッフ共々移転した[14]。その後、かつてHRD UKだったミルトンキーンズのホンダの建屋は、レッドブル・パワートレインズに移管され使用されていたが[15][16]、ホンダが2026年にF1活動を再開するための現地拠点(HRC UK)として2025年に借り戻された[17]

なお、ホンダの北米における四輪レース部門であるホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント(HPD)は、ホンダ米国法人が設立した別組織であり従兄弟関係に相当する会社であるが、田辺豊治の職歴からも分かるように両社間のスタッフの差替えは存在する。

脚注

  1. ^ a b ホンダ、2006年Honda F1世界選手権参戦体制を発表 - オートックワン・2006年2月20日
  2. ^ Honda Racing Insights - Hondaの2つのファクトリー - ホンダF1・2017年10月12日
  3. ^ HONDA RACING DEVELOPMENT LIMITED”. find-and-update.company-information.service.gov.uk. 2022年10月28日閲覧。
  4. ^ HRD (2008年10月)”. google maps. 2022年10月28日閲覧。
  5. ^ Honda Racing F1 Teamの売却について2009年3月6日
  6. ^ 欧州 | 研究・開発 | Hondaグループ | 会社案内 | 企業情報”. 公式サイト. 2022年10月28日閲覧。
  7. ^ HONDA RACING DEVELOPMENT UK LTD”. find-and-update.company-information.service.gov.uk. 2022年10月28日閲覧。
  8. ^ Unit 10, Grampian Gate, Milton Keynes, イギリス 地図”. google maps. 2022年10月28日閲覧。
  9. ^ 株式会社本田技術研究所 HRD Sakura
  10. ^ ホンダF1参戦終了、理由は「カーボンニュートラル実現」に向けた経営資源の集中”. motorsport.com (2020年10月2日). 2022年2月5日閲覧。
  11. ^ 新生HRCの体制が発表。「2023年以降のF1支援内容については協議中」”. autosport web. 2022年4月23日閲覧。
  12. ^ 2022年Hondaモータースポーツ活動計画”. 本田技研工業 (2022年1月14日). 2022年2月5日閲覧。
  13. ^ F1パワーユニットを製造する「HRC Sakura」ホンダモータースポーツ活動の心臓部を取材 - くるくら・2022年8月4日
  14. ^ レッドブル&HRC密着:ホンダとの新たな第一歩を踏み出したバーレーンGP。初日はフェルスタッペンが首位発進”. auto sport-web (2022年3月19日). 2022年3月20日閲覧。
  15. ^ 【渡辺康治HRC社長インタビュー後編】2025年末までのサポートに関する契約は今後締結へ「ある程度活動を続けられる」”. auto sport. 2022年7月15日閲覧。
  16. ^ F1復帰を発表したホンダ。2021年に”カーボンニュートラル燃料”を先行投入したことはアドバンテージになるのか? HRC渡辺社長「燃料は鍵になる」”. motorsport.com (2023年5月24日). 2023年5月24日閲覧。
  17. ^ ホンダ・レーシング、イギリス拠点“HRC UK”はミルトンキーンズに。レッドブルから借り戻し稼働を開始”. motorsport.com (2025年3月4日). 2025年3月26日閲覧。

関連項目


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