GPSにまつわる誤解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 19:44 UTC 版)
「グローバル・ポジショニング・システム」の記事における「GPSにまつわる誤解」の解説
以下の言説は、すべて誤解である。 GPS衛星はGPS受信機(カーナビ等)に直接その受信機がいる座標値 (x, y, z) を教えている。 GPS衛星がカーナビのルートを作成している。 GPS衛星はGPS受信機の位置を逆探知できる。 GPS衛星とGPS受信機が相互に通信をしている。 GPS信号によって方位も決定している。(ただし、GPSコンパスを実装している製品を除く) 運送荷物の追跡システムは、荷物のどこかにGPS発信機が内蔵されている。販売者が追跡できる。 「GPS信号」とはGPS衛星が発している電波のことであり、受信機が発する信号は「GPS情報」である。GPS衛星は、地球に向けて時報と発信元衛星の天体暦(軌道)情報を発しているのみの衛星である。GPS受信機はGPS衛星からの電波を受信して、GPS衛星それぞれとの距離を算出しているに過ぎない。 また、方位についてはGPSコンパス[要検証 – ノート][出典無効]と呼ばれるような機能によって、ある程度離した二つ以上のアンテナによって受信したGPSの位相信号と、そのアンテナたちの相対的な位置関係から方位を算出することができる。しかし、その機能を実装していない多くの製品においては、ジャイロ機構や方位コンパスを使用していない場合、静止している受信機器の向いている方位を知ることはできない。なお、進行方向については移動しながら累積した複数の位置座標から、ある程度求める事が出来る。 GPS受信機は、基本的に送信機を保有していないため、位置情報をGPS衛星に通知するのは原理上そもそも不可能である。つまり、GPS受信機は受信するだけ、GPS衛星は送信するだけなのである。映画等で見られる「超小型GPS」と扱われるものは、その受信したGPS信号を何かしらの形で送信する機能まで有している必要があり、正確な位置を測位するには、上方から見やすい箇所に設置しなければならない。車両下部や梱包荷物内に取り付けたりすることは理想的ではなく、また建物内では窓等からのGPS信号を受信し、障害物の乱反射によって位置精度は大きく落ちてしまう。また、地下での測位はGPSだけでは不可能である。電波強度と衛星数の問題なので、受信機が小型高性能化しても解決できない。 日本の航空運送事業者の旅客機の機内では、GPS受信機の使用制限はない が、多くのGPS受信機は通信機器を併用しているため注意が必要である。 この誤解の元となった技術に、運輸業などの車両位置監視システムや、児童・徘徊老人のセキュリティシステムなどがあるが、これらではGPS受信機の位置情報を外部に通知するために、携帯電話回線等による別回線での通信を行っている。運輸される荷物にGPS受信器が装着されていることはなく、該当する荷物を搭載しているトラックの位置情報が提供されている。 2008年2月5日に岡山市で現金自動預け払い機(ATM)が盗まれた事件では、事件発生後約45分でGPSによって盗難ATMを発見するという成果を挙げている。この事例でも、機器に組み込まれた携帯電話モジュールで、警備会社への位置情報を通報をしていた。
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