F型・G型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 01:32 UTC 版)
「フォッケウルフ Fw190」の記事における「F型・G型」の解説
1943年夏以降に制式化された戦闘爆撃機型・長距離戦闘爆撃機型である。合計6,644機または6,640機が生産された。 F型では通常、胴体下部に500kg1発または50kg4発、両翼にそれぞれ250kg、合計で最大1000kgの爆弾を懸吊できた。なお前線のパイロットの証言によれば、実戦では航続距離は600 - 680km程度であったという。爆弾搭載能力ではBf 110やMe 410と互角程度であるが、Fw 190は地上攻撃後に空中戦を行える。 G型は両翼に300リットル増槽を装備可能とした長距離攻撃タイプで、おおよそF型の2倍の航続距離を得られ、航続距離は約1000km。長距離侵攻に対応し自動操縦装置も装備されたという。 ただし固定武装は内翼の20mm機関砲2門のみに減らされ、増槽は90km/h程度の速度低下をもたらしたという。増槽を装備することが多かったため、重量の制限からF型より爆弾懸吊量は少なく、典型的には胴体下に250kgまたは500kgの爆装を行なうが、後期型では合計500kg - 1000kgの爆弾が搭載でき、最大で1.8tを運用することができた。1.8tはこの時代の単発機の搭載容量としては限界とも言えるもので、離陸時には1200mもの滑走距離を要したと言う。ただしどの型から1.8t爆弾の懸吊が可能となったのかについては、文献により差違があり、必ずしも明らかではない。 1943年秋頃からは旧式化したJu 87の穴を埋めるためG型が多く生産され、その分F型の生産は抑えられた。よって地上攻撃型はもともと爆撃機・地上攻撃機を操縦していたパイロットが機種転換を行ないFw 190 F、Gに乗り換えた例が多い。やはり複座の機体からの単座への乗り換えは苦労が伴ったようである。機種転換の際にははじめの内は後方で6-8週間の転換訓練を受けたと言うが、後期にはそんな余裕もなく、前線で離着陸訓練を受けた後に、経験のあるパイロットの列機として15-20回も実戦を経験すれば転換完了とされた。 Fw 190 F-1 1942年9月に就役していたA-4/U3を改称した戦闘爆撃機型。対空砲火に備え胴体下面の外板を5 - 8mm厚とするなどし、装甲を強化した。外翼の20mmMG 151/20機関砲を撤去、胴体下に爆弾架を装備。総重量は360kg増加。実用テスト機扱いで30機のみまたは30数機が生産された。 Fw 190 F-2 A-5/U3を改称した戦闘爆撃機型で、改修部はF-1型とほぼ同様。ER-4ラックが追加(或いは使用可能?)されたとする文献もある。270余機が生産された。 Fw 190 F-3 A-5/U17を元にした本格生産型で、1,183機を生産した。旧式化したJu 87などに代わり東部戦線での地上攻撃の主力を務めた。R1仕様では両主翼下に小型爆弾架ETC50が各2個装備されるが、これは実際にはほとんどの機体に装備されている。また両翼に30mm MK103機関砲をゴンドラとして装備したR3仕様もあった。なお以降のF-4/F-5/F-6/F-7は計画のみの機体である。約270機が生産された。 Fw 190 F-8 A-8を基にした戦闘爆撃機型で、機首の機銃が13mm機関銃に変更され、両主翼下の4つの小型爆弾架も新型のETC50に変更、個別の投下が可能となった。また胴体下の爆弾ラックをETC502に変更、に1.4トン爆弾の懸吊が可能になっている。後期生産型はキャノピーを「ガーラント・ハウベ」に変更している。A-8型と同様非常に多数生産され、戦闘爆撃機型の6割はこのタイプである。この機体は各種の改修型が生産され、特に対戦車用として21cmロケット弾14発と28cmロケット弾発射装置6個、あるいは5.5cmR4Mロケット弾24発(パンツァーブリッツ2)を搭載した機体が大規模に運用されたほか、8.8cmパンツァーシュレック、様々な対地兵器が使用または実験された。385機あるいは380機余りが生産された。なお、F-4からF-7型は計画のみの機体である。 Fw 190 F-9 A-9を基にした戦闘爆撃機型。A-9と同様エンジンはBMW 801 TS、キャノピーは「ガーラント・ハウベ」へ変更されている。生産数は不明で、少数生産にとどまると見られる。なおこの機体以降もF-10型、F-15型、F-16型が計画またはテストされたが、F-11からF-14型は欠番である。 Fw 190 G-1 A-4/U8を基にした長距離戦闘爆撃機型。固定武装は主翼付け根の20mmMG 151/20機関砲×2のみ。胴体下に爆弾架、両主翼下に300リットル入り増槽が標準装備。『週刊エアクラフト』では、降着装置を強化し、このG-1型から既に最大1.8tの爆装を可能となっているとしている。爆弾架はユンカース製。50機生産。 Fw 190 G-2 A-5/U8を基にした長距離戦闘爆撃機型。Aシリーズの生産ラインがA-5に変わったため。601機生産。爆弾架はメッサーシュミット製。470機生産。 Fw 190 G-3 A-6・A-7を基にした長距離戦闘爆撃機型。PKS11自動操縦装置を装備。歴史群像編集部 (2010)によれば、主翼の強度を増し、1t爆弾および1.8t爆弾の懸吊が可能となった。爆弾架はフォッケ・ウルフ製。144機生産。なお以降のG-4/G-5/G-6/G-7は欠番であるが、飯山(2005)では、G-4以降は主翼前面に阻塞気球のケーブルを切断するカッターが装備されたとされている。 Fw 190 G-8 A-8を基にした長距離戦闘爆撃機型。Aシリーズの生産ラインがA-8に変わったため。両主翼下の増槽架は爆弾装備も可能なETC503に変更。G-8全体の生産数についてはまだ文献が見付かっていないが、G-8/R5が148機とのデータがある。
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