BL的なものの拡散と一般化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 15:01 UTC 版)
「ボーイズラブ」の記事における「BL的なものの拡散と一般化」の解説
2000年代には、BL作品が電子書籍で出版されるようになり、携帯電話で読めるようになったことで、店頭で購入するのが恥ずかしい人も気軽に買え、どこでも読めるようになったころで、一気に広がっていった。携帯電話の進化に伴い、BLゲームのアプリも作られるようになり、さらに間口が広がった。2007年ごろから、携帯ゲームなどではBLゲームが人気になり、2010年ごろまで一種のブームになる。攻略キャラクターからメールが届くなど、携帯電話の性能を生かした遊び方を備えたゲームも登場した。ブームに伴い「BL」の意味もさらに拡散し、男性同性愛作品全般を指す言葉として広く使われるようになった。 よしながふみは、ボーイズラブ市場が成長して頭打ちになり、限りあうパイを食い合うようになったことで、より最大公約数的な作品が求められるようになり、フォーマットができつつあると述べている(2006年時点)。悲劇でも許され好きに描くことのできた初期に比べ、制約が強くなり、保守化しているという。BLの元編集者は、2011年頃から「勝てない勝負はしない(=利益が見込めるものだけ刊行する)」傾向の版元が増えて市場が膠着しており、BLマンガは電子媒体があるためデビューのチャンスは多いが、小説は1冊分を書き下ろすのが主流であることもあり、長い目で作家を養成する余裕がなくなってきていると述べている。保守化によって面白い作品が減り、読者が離れることが懸念されるという。また、最近ではセックスシーンが絶対必要という雰囲気も薄くなり、セックスシーンのないBLも増えている。西村マリは2014年時点の状況として、最近は王道を逆転・逸脱した進化形BLが増え、主流になってきていると述べており、進化形BL漫画の流れを作った立役者のひとりとして、かつて同人活動で人気を集め、近年は女性誌や青年誌でも大ヒットを飛ばしている漫画家のヤマシタトモコを挙げている。 金田淳子は、BL的な要素のある他ジャンルの作品として、最近では『TIGER&BUNNY』や『相棒』、『黒子のバスケ』などの作品があるが、「あの程度のイチャイチャ」は1980年代には始まっており、1990年代には少年誌「ジャンプ」はすでに自覚的であったと述べている。永久保陽子は、出版社や制作サイドは、ボーイズラブ的なものが商売になると理解し、戦略的に使うようになっており、その認識が浸透して最近(2012年)には普通のことになったと述べている。 近年では、作家の三浦しをん、アナウンサーの有働由美子、女優の二階堂ふみなど、BL愛読者であることを公言する女性も増えた。また金田は、女性は様々なジャンルにBL的な要素があることをわかっており、作品自体が最近変わったわけではないが、女性が少年漫画などにBL的な要素を見出すことに否定的だった男性たちの中にも、そういったものを評価し受け入れる人がかなり増えてきたと述べている。雑誌「ダ・ヴィンチ」や本の年間ランキングを扱う雑誌でBLが取り上げられることも増え、それほどサブカルチャーに興味がなくても、ボーイズラブをいつの間にか知っていたという人も増えた。
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