BL小説
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小説では、木原音瀬の『箱の外』が、BLレーベルで出版された後に2007年に講談社文庫からも出版され、BLレーベル出身の井村仁美、榎田尤利、菅野彰、椹野道流らが他ジャンルでも活躍している。2008年時点で、ノベルズをジャンル別に見ると、4割弱を「仕事を持つ大人の女性が、社会的地位のある魅力的な男性を好きになり、すれ違いを経て両想いになる」というストーリーが多いハーレクイン社の大人の女性向け翻訳ラブロマンス小説が占めており、次いでボーイズラブ小説が約2割となっている。(ハーレクインの物語構造は、主人公が女性か男性かを除けばBLと非常に近く、読者は一部重複しており、BL作家にもハーレクインの読者がいるという指摘がある。人気BL小説家の松岡なつきは、自分が書きたいものは「男と男のハーレクイン」であると述べている。西村マリは、BL小説の人気のジャンルの一つ「アラブもの」は、ハーレクインから同人界を経由して導入されたと指摘している。) 一般向け小説では、BL好きを公言する三浦しをんや有川浩などが男のロマン的なテイスト、BLテイストの入った作品を書いている。金田淳子は、ハイカルチャーとしての小説の有名な賞などを取るようなタイプの純文学は、ジェンダーやセクシュアリティ関連のものが圧倒的に多く、設定やストーリーだけを見るとBLと区別がつかない作品もあり、文藝賞を受賞した比留間久夫の『yes・yes・yes』はBLとしても読まれていたと述べている。永久保陽子は、漫画はそれ自体がサブカルチャーだが、小説は、一般小説がメインカルチャーでBL小説がサブカルチャーという関係がはっきりあり、純文学を頂点とするヒエラルキーがまだ根強いため、カテゴリーの境を超えることが漫画よりも難しいと述べている。 永久保は、BLマンガよりBL小説の方が作品に許される幅が狭いのではないかと指摘している。BL小説が年代を経て洗練された反面、<受け>と<攻め>の設定、ハッピーエンドなどパターン化が顕著になっており、その型からかなり外れた作品を描いている木原音瀬は別格である評価している。西村マリは、BL小説は「アラブもの」のように決まった型を絞り込む傾向にあり、一方BLマンガは設定や型の逆転逸脱が起きやすいと指摘している。三浦しをんは、BL小説の読者はBLマンガの読者より比較的年齢層が高いことと文章による表現であることから、BL小説でもマンガ同様にポップ化が進行中であるとはいえ、「耽美」な雰囲気の作品や大人が主役の作品、任侠ものもBLマンガより残っていると述べている。 山藍紫姫子もBLレーベルとそれ以外のレーベルで活躍し、独自の作品世界を確立しているが、BL作家というより耽美作家と呼ばれる。
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