駅弁の定義について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 22:45 UTC 版)
駅弁は、広義には「駅構内で販売される弁当」を意味する。近年[いつ?]、駅構内にコンビニエンスストアが出店して「コンビニ弁当」を販売したり、駅弁業者でない企業がいわゆる「駅ナカ」店舗で弁当を販売する例がある。それらが駅弁に該当するかどうかについては議論がある。旧来の駅弁業者が伝統的な駅弁の他にコンビニ弁当に類似した比較的安価な弁当を販売している場合もあるため、厳密な定義は困難である(先述のように、駅弁業者が出自であっても、その後大規模な食品会社に発展し、その地域のコンビニ弁当やお惣菜商品の調理を一手に引き受けている企業も少なからず存在する)。 狭義の意味では、「駅弁」とは社団法人日本鉄道構内営業中央会(以下「中央会」と略す)に加盟している業者が調製し駅構内で販売しておりなおかつ米飯が入っている弁当のみを指すこともある。 日本国有鉄道(国鉄)時代には白飯と焼き魚、肉料理、フライ、卵焼き、蒲鉾などの一般的な惣菜を使用した、いわゆる幕の内弁当の系列のものを普通弁当と称しそれ以外の弁当を特殊弁当と称して制度上の区分がなされていた。ごはんとおかずというセットになっていないもの、たとえば「押し寿司」などは「特殊弁当」に分類される。さらに国鉄が「米飯がはいっていないものは駅弁ではない」としたために、長万部駅の「そば弁当」や大船駅の「サンドウィッチ」などは国鉄末期まで駅弁として認められなかった。なお、国鉄前身の運輸通信省時代、太平洋戦争下には米飯が排除された時期もある。実際に1943年11月1日からは、節米を目的として主要駅の駅弁が一斉に「芋弁当」(米の代わりに芋を使用)に切り替えられた。 この「中央会加盟業者が調製している」「米を使っている」という条件に該当する弁当は包装紙に共通デザインの「駅弁マーク」と呼ばれる商標を入れ、交通新聞社発行の『JR時刻表』(大型版のみ)欄外に販売駅弁の記載があるのが特徴である。 この「駅弁マーク」を有する弁当のみが「駅弁」であるという定義づけは当の中央会や一部の人々の間で行われているが、この定義は下記のような事情から現実的とは言えない。 かつての国鉄では、駅改札内での弁当の販売は中央会加盟業者に対してしか認めていなかった。しかし国鉄が分割民営化されJRとなって以降、中央会非加盟の業者にも駅構内での販売を認めるようになったことから「駅構内で販売される弁当」と「中央会」とが必ずしも結びつかなくなった。新規業者の参入のほか既存の業者が中央会を脱退した上で引き続き駅構内での販売する例もあり、「中央会に所属」「駅弁マークがついていること」は条件とはできなくなった。これは駅弁は調製から購入・消費までにタイムラグがあるため、食中毒の防止などを目的として調製方法などに様々な厳しい要求があったこととも関係する。製造から4時間以内で売り切らねばならないという規制はO-bentoの登場とともに廃止された。また、元々は私鉄の駅構内で販売される弁当については中央会は(JR駅でも販売している業者を除いて)関係ない。そして、もっぱら私鉄の駅でのみ販売されている駅弁も存在する。 中央会に加盟している業者でも駅構内での販売を取りやめ駅前の自社店舗での販売のみとしながら引き続き駅弁マーク入りの駅弁を販売する例もある一方(その場合、時刻表にも引き続き「弁」マークの表示を記載)、駅前に店舗を構える中央会非加盟の弁当業者が独自の弁当を作り「駅弁」を名乗る例や、中央会加盟業者が他地域の駅構内売店事業者の委託を受けて弁当を製造する例もある。後者の例は観光客誘致の手段として、地方においてよく見られる(後述参照)。但し後者のケースで、中央会非加盟の弁当業者のみが販売している駅の場合は、時刻表での「弁」マークの記載はない。 中央会加盟業者がJRの駅構内で販売している場合でも、横浜駅や鳥栖駅で売られている焼売や大船駅で売られているサンドイッチ弁当のように米飯が入っておらず「駅弁マーク」を付けることができなかったが一般には駅弁と見なされている商品もある。大船軒の「サンドウィッチ」には駅弁マークこそついていないが、包装紙には「SINCE 1898/日本デ最初ノ駅弁サンドウィッチ」と明記されている。また、山陰本線の益田駅のように、時刻表には全く駅弁の表記が無いのに、キヨスクには「益田駅の駅弁」と大きく書かれ、ごく普通にキヨスクで販売されている例もある。 以上のような事情から、駅構内や駅前の弁当業者の店舗で販売される弁当を総合して「駅弁」と呼ぶ場合が多い。デパートで催される駅弁大会に出品されたり旅情報を扱ったテレビ番組で取り上げられたりする「駅弁」もこのような広義の条件に該当する弁当であり、中央会加盟業者が調製する弁当とは限らない。 車内販売のある列車では駅弁のほか、列車内限定で発売される弁当もある。イベント列車などにおいては、そのイベント列車限定で発売される弁当もある。これらも一般的には「駅弁」に含まれるものと解されている。
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