駅弁の方向転換
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/28 02:53 UTC 版)
比護の妻はあるとき、「自分たちが北海道で食べ慣れている食材の方が、お客様は喜ぶかもしれない」と、比護に発案した。比護はその言葉に、自分たちも新潟から札幌へ移り住んだとき、新潟には無い北海道の味覚を喜んだことを思い出して、「北海道外から訪れるお客様に対して、北海道を感じさせない駅弁は失敗であった」と考え直した。 翌日より早速、北海道にこだわった食材による、新たな駅弁作りに取り組んだ。サケの焼き魚、ヤマベ(ヤマメ)の甘露煮、大豆の煮豆、鰊漬けなど、どれも自分たちは食べ慣れているが、旅行者たちには珍しいであろう、北海道の味覚を期待する道外の客を喜ばせるであろう食材を、駅弁のおかずとして揃えた。 この方向転換は大成功し、比護屋の駅弁はあっという間に、旅行客たちの間で大人気を博した。北海道の味覚にこだわった駅弁は、札幌駅を訪れた旅行客に大変な好評であった。大人気のあまり、それまでは、駅弁の調理場と駅を1日1往復するだけで済んでいたが、それでは到底追い付かず、列車の出入りのたびに調理場へ行かなければならないほどだった。従業員も増え、比護屋は次第に活気づいた。
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