【音の壁】(おとのかべ)
Soundbarrier(サウンドバリアー).
遷音速から音速にかけて発生する、衝撃波による振動と巨大な抗力のこと。
当初、プロペラ機が高速化する過程で、プロペラの先端が音速に近くなると性能が出なくなることにより認知された。
音速付近では、衝撃波が部分的に発生することにより抗力が急激に増加し、あたかも壁があるように思えるだけでなく、衝撃波により翼面の空気の流れが剥離するため、機体の制御が難しくなる。
よって、遷音速を巡航するには、衝撃波の発生を遅らせる必要がある。
そのため近年のジェット機では、十分な後退角を付けて翼気流の速度を遅くするか、遷音速用の翼型(ピーキー翼・リアローディング翼・超臨界翼等)を採用して、遷音速での巡航を可能にしている。
逆のアプローチとして、衝撃波の発生を早い段階で行わせてしまい、音の壁を推力によって強引に突破する方法もある。
超音速に達すれば抗力係数は下がり(抗力そのものは増加し続けるが)、機体の制御も遷音速時よりはし易くなる。(F-104やミサイル等)
以上のように、遷音速飛行と超音速飛行のどちらを重視するかによってアプローチが違う。
戦闘機では遷音速飛行に適したアプローチをする。
過去、音の壁には「悪魔が潜む」とまで言われ、未知の領域に挑んだ勇気ある者の多くが、壁を乗り越えることができず、空中分解する機体と運命を共にした。
そのため、人類にはこの壁を乗り越えることが不可能であるとさえ言われた。
関連:X-1 熱の壁
音の壁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/26 10:12 UTC 版)
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- 亜音速
- マッハ 1
- スーパーソニック
- 衝撃波
音の壁(おとのかべ、sound barrier)、あるいは、音速の壁(sonic barrier)は、航空機にとって音速(マッハ1)付近の速度で飛行が困難となる状況を表す。
公式記録として音の壁を突破した最初の人物は、チャック・イェーガーとされる。
概要
飛行速度が音速に近づくにつれて、空気の圧縮性の影響から生じる造波抗力の急増、翼表面に生じる衝撃波の後流における流れの剥離、その他空力変化や空力弾性的な問題が生じる。第二次世界大戦頃から1950年代の飛行機にとって、音速を超えることがひとつの課題であった。そのため音速を「音の壁」と称し、音速を超える事を「音の壁を突破する」と形容するようになった。
音の壁がことさら強調されたのは、航空機の分野である。砲弾、銃弾に関しては、既に19世紀にはその速度は音速を超えていた。
ジェットエンジンの登場と性能向上による推力の増加、後退翼やエリアルール等による抗力の低減技術により超音速飛行が実現した。
有人機が初めて音速を超えた公式記録は、1947年10月14日、チャック・イェーガーの操縦するX-1実験機によるものである。それまでは、「物体が音速を超える瞬間には、様々な現象が起きるのではないか」とする説が数多くあり、「大気中には『音速の壁』という見えない壁が存在するために、物体が音速を超えることは不可能である」という理論を唱える人々さえいた。
イェーガー以前に音速を突破したとの主張
イェーガー以前に音速を突破したとの主張が、複数存在する。いずれもその機体の最高速度としては音速を超える事は不可能であるが、これは水平飛行での話である。航空機は機体強度がそれに耐えられるなら、降下による重力加速によって最高速度以上に加速する事が可能である。この件についてアメリカ空軍は、イェーガーとX-1は"水平飛行"で音速を突破した最初の例だと述べている。
- ハンス・ミュッケが、「1945年4月に、Me 262で降下中に音速を超えた」と主張したが、否定されている。[要出典]
- 「1946年に、DFS 346を使用して音速を超えた」という主張をしたソ連関係者がいたが、否定されている。[要出典]
- 土井武夫は著書において、三式戦闘機が音速を突破したケースがあると耳にしたと著しているが、真偽は不明。同機において1945年2月17日、荒蒔義次少佐が1,000km/hを超えたと言われる記録があり、このことを指している可能性があるが、1000km/hは音速には届いていない。
- アメリカ人のジョージ・ウェルチ (George Welch) は、イェーガーが音の壁を突破する二週間前の10月1日に、XP-86で音速を破ったという説がある。
「音の壁」を破った音
1971年7月30日、日本(全日空機雫石衝突事故)。自衛隊機と空中衝突した旅客機が、墜落時に音の壁を破った。岩手県盛岡市内の病院屋上では、この時のものと思われる大きな音が聞かれている。
関連項目
- プラントル・グロワート・シンギュラリティ - 機体のまわりに生じる楕円形の雲(ベイパーコーン)について
- デ・ハビランド DH.108
- D-558-2 (航空機)
- DFS 346
- マイルズ M.52
- Bisnovat 5
- シュナイダー・トロフィー・レース
- 自動車の速度記録
- 超音速
- ソニックブーム
- ベイパーコーン
- 熱の壁
- 航空工学
- 飛行力学
- サウンド・バリアー - デヴィッド・リーン監督による1952年のイギリスの映画(原題: The Sound Barrier)。また音楽を担当した、マルコム・アーノルド自身の改作による、狂詩曲「サウンド・バリアー」(原題: Rhapsody the Sound Barrier)。
脚注
音の壁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/21 04:26 UTC 版)
「楽神王 〜vero musica〜」の記事における「音の壁」の解説
楽器を演奏している間、楽神使いをあらゆる攻撃から守る。楽神そのものにも発生する。
※この「音の壁」の解説は、「楽神王 〜vero musica〜」の解説の一部です。
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音の壁と同じ種類の言葉
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