雇用に対する差別問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 08:44 UTC 版)
「アバクロンビー&フィッチ」の記事における「雇用に対する差別問題」の解説
2004年、アメリカ合衆国にてゴンザレス対アバクロンビー&フィッチの訴訟でアフリカ系アメリカ人、ラテン系アメリカ人、アジア系アメリカ人および女性から、白人系アメリカ人の従業員を優先して雇用し、Brand Representatives またはModels と呼ばれる販売員やストア・マネージャーのポジションが白人男性に優先権があり、それ以外の人種は雑用職のみに雇用したとして人種差別の疑いで集団告訴された。 アバクロンビー&フィッチは複雑訴訟形態の示談に応じ、(1) 400万ドルが採用試験に応募したアフリカ系アメリカ人、ラテン系アメリカ人、アジア系アメリカ人および女性で採用されなかった、あるいは適切なポジションに配置されなかった者に対して支払われ、(2) 雇用形態、業績測定基準、販売促進政策を見直し、(3) 内部苦情処理方法を見直し、(4) Vice President of Diversity との面会、(5) マイノリティの雇用志願者25名を雇用、(6) 白人系フラタニティとソロリティからの求人慣習の撤廃、(7) マーケティング部門へのマイノリティの配置、(8) neutral court への報告、年2回の進捗状況の監視、(9) 年1回の裁判所への報告を行なうこととなった。 2009年、イギリスロンドンのサヴィル・ロウにあるアバクロンビー&フィッチのフラッグシップストアで働いていた22歳の法学生Riam Dean が労働裁判所に身体的人権侵害を受けたとして告訴した。この法学生は先天的に左腕がなく、雇用当初は義手を隠すために長袖の服を着る特例が出された。しかしアバクロンビー&フィッチは会社の「外見規定」に違反しているとして法学生を客の目に届かない倉庫で働くように命じた。彼女は障害者差別で訴え、賠償として2万ポンドを請求。2009年8月、労働裁判所は、法学生が不当に異動させられ、違法な嫌がらせをしたとの判決を出した。精神的苦痛、不当解雇、給料の削減の保証として、法学生に8,013ポンドを支払うように命じた。 2009年9月、17歳のSamantha Elauf が2008年6月にオクラホマ州タルサにあるウッドランド・ヒルズ・モールのアバクロンビー・キッズの販売員に雇用志願したところ、宗教上の理由によりヒジャブを着用していることが「外見規定」に違反しているとしたため雇用機会均等委員会により地方裁判所に訴えられた。連邦地裁は同社による差別を認めた一方、第10巡回控訴裁判所(高裁)は「宗教上の便宜供与が必要なことを明確に通知」した従業員が1964年の公民権法の保護対象となると判断したため、米雇用機会均等委員会は連邦最高裁判所に提訴していた。そして、2015年6月1日、連邦最高裁は「事前に確認しているか否かにかかわらず、求職者の宗教上の慣習を雇用を決定する要素にしてはならない」という判断の元、同社による差別があったと認定した。 2010年、カリフォルニア州サンマテオのホリスター・カンパニーで働いていたムスリムの女性Hani Khan がヒジャブの着用をやめるよう要求されたことを断ったことにより解雇された。代理人によると、彼女が宗教上の理由により着用していたヘッドスカーフは「外見規定」に違反しているとのことであった。市民自由保護団体のCouncil on American–Islamic Relations はこの解雇は非差別法に違反しているとし、雇用機会均等委員会に苦情を訴えた。 2011年、ベルギーのCentre for Equal Opportunities and Opposition to Racism は、この企業が25歳以下しか雇わず、容姿に厳しく、上半身裸になった男性販売員には報奨金を与えるなどとして、雇用や報酬形態の調査に入った。
※この「雇用に対する差別問題」の解説は、「アバクロンビー&フィッチ」の解説の一部です。
「雇用に対する差別問題」を含む「アバクロンビー&フィッチ」の記事については、「アバクロンビー&フィッチ」の概要を参照ください。
- 雇用に対する差別問題のページへのリンク