雇用における年齢制限の禁止
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 08:54 UTC 版)
「フリーター」の記事における「雇用における年齢制限の禁止」の解説
雇用対策法や平成16年12月に施行された高年齢者雇用安定法などにより、企業には雇用の際の年齢制限をしないという努力義務があったが、年齢制限による門前払いを防ぐため、自民・公明党による与党協議会で、雇用対策法改正案で年齢制限の禁止を努力義務から禁止事項にすることで合意している。この改正によって平成19年10月1日から労働者の募集・採用時に年齢制限を設けることが禁止された。 しかし、日本において応募者の年齢制限を設けない求人が義務付けられても、実際にどの応募者を採用するかは従来通り企業側の裁量に委ねられており、あくまでも若い人物だけを優先的に採用しようとする企業側の姿勢は従来と全く変わっていないため、募集・採用時の年齢制限の禁止が高年齢求職者の採用増加に結び付いているとは考えられないとする批判が強い。実際にも、新聞の求人広告や求人雑誌では、改正雇用対策法施行以降は具体的な年齢制限を記載していなくても、たとえば「20-30代活躍中」などと記載したり、若い従業員だけが働いている写真を求人広告に掲載することで、求人の年齢制限を間接的にアピールしている企業は極めて多く、また電話による求人の問い合わせの際にも、ほとんどの企業は例外なく応募者の年齢を尋ねており、一定以上の年齢の応募者に対しては年齢を聞いた時点で応募を拒否したり、形式だけは面接を行っても実際には色々な理屈を付けて採用しない等の差別行為を公然と続けている。また、公共職業安定所(ハローワーク)に提出される求人についても、「長期勤続によるキャリア形成のため」などの名目で合法的に年齢制限を設けることが可能であるため、改正雇用対策法は何の意味もなしていないとする批判も強い。 これに対し、年齢よりも本人の能力やキャリアが重視されるアメリカの社会においては、見た目や年齢を基準とする求人の差別を防ぐため、履歴書に応募者の年齢・生年月日・性別などを記入する欄はなく、また応募者の写真を貼る欄も存在しない。また、正式に採用が決まるまでは、企業側が応募者の年齢や生年月日を尋ねたり、応募者の年齢や生年月日を書面に書かせたり、応募者の年齢や生年月日が分かる物(身分証明書など)を提出させたりすることも法律で禁止されている。このようにアメリカと同じく「履歴書における年齢や生年月日の欄を撤廃すること」および「採用決定前に企業側が応募者の年齢や生年月日を尋ねる行為を禁止すること」を法律で定めない限り、日本の社会から年齢を基準とする求人の差別が減ることは有り得ないとする意見も存在する。
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