防災士の位置づけ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 22:18 UTC 版)
災害が発生した際の活動は、「自助:自らを守る行動」「共助:地域市民とともに助け合う行動」「公助:国や自治体による行動」の3種類がある。 このうち公助活動の実際は、消防、警察、自治体職員によって行われる他、高度の専門的活動については専門の資格保有者 や、それらを擁する関係団体が、国や自治体からの要請を受けて、活動が行われる。 一方、災害の発生直後から初期段階における活動(公助の動き出す前の活動)については、自らの力と、近隣住民同士の協働で切り開いていかねばならない。この自助・共助の活動を災害発生時に実践する人材として日本防災士機構は「防災士」の役割としている。また平常時についても、これら自助・共助による防災活動について、その重要性等を啓蒙する活動の担い手としても期待したいとしている。 「災害は忘れた頃にやってくる」と言われたのははるか昔の話で、平成の時代には、1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災を筆頭に、毎年数多くの地震・台風・ゲリラ豪雨・火山噴火が我が国を襲った。その都度、大きな犠牲を払ってきたが、同時に災害ボランティアなど昭和の時代にはなかった成果も獲得してきたのである。その成果の一つが「防災士」であると言える。 「防災士」とは03年からスタートした純然たる民間防災リーダーで、今日では全国19万人が認証されている。2日間以上の研修を受講、その後の試験に合格し、加えて救急・救命講習を修了することで資格を得られる仕組みである。NPOの民間資格ゆえ、特別の権利や義務を備えたものではない。たった2日間の講習で特別な技能など習得できるわけではないが、全ての防災士は人に助けてもらう側から人を助ける側へと、極めて大きな意識転換が為される。同時に防災士は、誰もがなれる民間防災リーダーゆえ、「防災士教本」による学習の必要はあるが講座では難しい言葉や理論が用いられることはない。そうした身近な防災リーダーである防災士が全国各地で活躍することは公助だけに頼らないという意味で災害列島日本の防災力の向上に極めて大きな意味を持っているとも言える。 かくして、令和2年4月迄に愛媛県で14,784名の防災士の養成を、また松山市でも6,083名の防災士の養成を実現するなど、31の府県と64の自治体ならびに8校の国立大学を含む32校の大学、高専が日本防災士機構の認証を受けて防災士養成に参加したことにより、防災士資格取得希望者にとって無償もしくは、低廉な費用で防災士資格を取得出来る道が年々拡大され、平成29年3月には17万人の防災士資格取得者のうちの40%程度は自治体等の機関によって養成され、しかも拡大の一途をたどっていることから、日本防災士機構では「我々の努力が報いられ、ようやく正常な評価を得られるようになった」としている。
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