開発に至る背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/27 07:56 UTC 版)
「アリーナ (兵器)」の記事における「開発に至る背景」の解説
ソビエト連邦は、1977年-1982年にかけて「ドロースト」と呼ばれる最初のアクティブ防護システムを開発した。この対戦車兵器に対抗し防御するためのシステムは、受動的な装備や爆発反応装甲の代替として設計された。システム開発の大部分は新型の成型炸薬弾頭を念頭に置いて行われた。ドローストは、攻撃を受けた車輌の装甲へ弾頭が直撃する以前に、これを破壊するよう設計されている。この装置は3つの主要な部品から構成される。砲塔側面に1基ずつ配された発射器、砲塔後面には補助電源装置が据えられている。発射器は2mm波長のレーダー装置で制御される。本装置では重量19kg、長さ107mmの円錐状をした破片弾頭を用いる。ドローストは垂直面では仰角-6度から20度、また、水平面では40-60度の範囲で戦車を防御できる。また、アフガニスタンでの試験報告によれば生残率が80%に高められたと言う。レーダーは充分に脅威を探知するようには使えなかった。また、ドローストがロケットを撃ち出した時には、受け入れられない高いレベルの副次的な損害を引き起こした。約250基のドロースト・システムが生産され、全てがソ連海軍歩兵部隊に所属するT-55に搭載された。 1980年代後半、ソ連陸軍はシュトーラ-1電子光学ジャマーの開発を始めた。1989年、この装置は当初T-80Uに装備され、後にはT-72Bに展示搭載された。これはT-72BMと改称され、後にT-90へと変化した。シュトーラ-1は1キロワットの赤外線放射装置を使用し、飛来する対戦車ミサイルを妨害するよう設計されている。1995年、この装置はウクライナのT-84に搭載された。シュトーラ-1システムの構成部品は、赤外線放射装置接続機器、ジャマーの構成品、モジュレーターおよび操作パネル、煙幕を展開できる数個の前方発射式擲弾発射器、レーザー警戒システムおよび主要操作パネルである。シュトーラは仰角-5度から25度、水平面では360度全周防御が可能である。このシステムは、レーザー警戒装置が戦車長に警報を発し、彼が警告に応えて操作パネル上のボタンを押すと、砲塔が自動的に脅威のある方向へ旋回するよう作動する。擲弾発射器は、車輌にロックオンしたミサイルの性能を落とすために煙幕を張る。また、ジャマーは車輌へ向かうミサイルの赤外線シーカーを妨害するよう設計されている。製造側によれば、シュトーラはM47ドラゴンのような対戦車ミサイルに直撃される可能性を減らし、その率は4ないし5対1であるとしている。 第一次チェチェン紛争中、ロシアは多数の犠牲を出したことに触発され、新型のアクティブ防護システムの開発が検討された。 グロズヌイの戦いの間、例としてはチェチェン反乱部隊から受けたロシア陸軍の損失は、装甲戦闘車両が200-300両とされている。破壊された車輌にはT-72やT-80のような主力戦車、また、BMP-2のような軽装甲車両が含まれる。 チェチェンに投入された戦車の大半が「時間と資金の欠乏」という理由から爆発反応装甲を装備しなかった一方、少数の車輌は反応を起こすための炸薬を抜いたリアクティブ・アーマーを装備していた。ロシア連邦軍の装甲部隊にとって、いくつかの最高度に危険な脅威の一種として、グロズヌイのビルディング群から撃ち出されるRPGがあった。このような脆弱性の結果、コロムナ設計局では、この種の脅威に対してもっと信頼できる防護をロシア機甲部隊に与えることを目標とし、アリーナ・アクティブ防護システムを開発した。
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