ちょうしゅうきじしんどう‐かいきゅう【長周期地震動階級】
読み方:ちょうしゅうきじしんどうかいきゅう
長周期地震動による揺れの大きさの指標。高層ビル内での人の体感や行動の困難さ、室内の状況や被害の程度によって4段階に区分される。
[補説] 長周期地震動階級
階級 | 人の体感・行動 | 室内の状況 | 備考 |
1 | 室内にいたほとんどの人が揺れを感じる。驚く人もいる。 | ブラインドなど吊り下げものが大きく揺れる。 | − |
2 | 室内で大きな揺れを感じ、物につかまりたいと感じる。物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。 | キャスター付き什器がわずかに動く。棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。 | − |
3 | 立っていることが困難になる。 | キャスター付き什器が大きく動く。固定していない家具が移動することがあ;り、不安定なものは倒れることがある。 | 間仕切壁などにひび割れ・亀裂が入ることがある。 |
4 | 立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされる。 | キャスター付き什器が大きく動き、転倒するものがある。固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。 | 間仕切壁などにひび割れ・亀裂が多くなる。 |
気象庁ホームページ「長周期地震動に関する観測情報」より
長周期地震動階級
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 14:12 UTC 版)
東日本大震災で撮影された超高層ビルが揺れる衝撃的な映像はメディアにより多くの人に視聴され、また実際の高層ビル内で人の歩行や行動が困難であったり、それまで想定されていた建物内での家具や什器の移動や転倒とは全く違う挙動が起こすことも世間に広く認識された。しかし、通常発表される震度階級ではその被害程度が分かりにくいという指摘が出た。これは震度階級が地上で体感する揺れ(周期0.2 - 1秒程度)に合わせた指標であるためである。 気象庁は震災翌年の2012年に長周期地震動に関する検討会を開き、翌2013年、現在の震度階級とは別に4段階の「気象庁長周期地震動階級」を設定し、同年11月から試行的に「長周期地震動に関する観測情報」として運用を始め、2019年3月より本運用に移行した。同庁HPにて公開されている2013年3月から2019年2月の試行終了までの間に、最大階級が「階級4」は3回、「階級3」は4回、「階級2」は16回、「階級1」は55回観測されている。 最大の「階級4」は2016年4月15日に初めて観測され、これは同日未明に発生した熊本地震の前震活動に伴うもので、熊本県宇城市松橋町で観測され、その翌16日1時25分の「本震」で2回目の「階級4」が観測された。3回目は2018年9月6日の北海道胆振東部地震で観測されている。また、2021年2月13日の福島県沖地震において、本運用移行後初めて「階級4」が観測された。 なお、2013年3月以前の地震についても、2004年の新潟県中越地震や2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で「階級4」相当の長周期地震動が発生していたことがその後の解析で判明している。東日本大震災では「階級4」相当の揺れが宮城、山形、福島の東北3県のほか、関東地方や東海地方にも解析されている。 気象庁は、2022年度(令和4年度)後半より緊急地震速報の発表基準に長周期地震動を加えることを明らかにした。また同時に、これまで気象庁ホームページ上でのみ発表されていた長周期地震動階級などの観測情報について、震度などと同様にオンライン配信を行うことも発表した。 長周期地震動階級長周期地震動階級絶対速度応答スペクトル値人の体感・行動室内の状況備考 階級1 5 cm/s以上15 cm/s未満 室内にいたほとんどの人が揺れを感じる。驚く人もいる。 ブラインドなど、吊り下げものが大きく揺れる。 階級2 15 cm/s以上50 cm/s未満 室内で大きな揺れを感じ、物に掴まりたいと感じる。物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。 キャスター付き什器がわずかに動く。棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。 階級3 50 cm/s以上100 cm/s未満 立っていることが困難になる。 キャスター付き什器が大きく動く。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。 間仕切壁などにひび割れ・亀裂が入ることがある。 階級4 100 cm/s以上 立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされる。 キャスター付き什器が大きく動き、転倒するものがある。固定しない家具の大半が移動し、倒れるものもある。 間仕切壁などにひび割れ・亀裂が多くなる。
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