連合軍のバダホス攻囲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/06 01:30 UTC 版)
「アルブエラの戦い」の記事における「連合軍のバダホス攻囲」の解説
ベレスフォードはバダホスの包囲に向けた部隊編成に取り掛かったが、度重なるトラブルによりスペインへの進軍は遅れた。スペイン・ポルトガル国境にある大河、グアディアナ川がベレスフォードの進路を遮っていた。ウェリントンはベレスフォードに、架橋のためにスペイン軍のポンツーンを提供することを約束していたが、用意されていなかった。代わりに、完成に4月3日までかかるであろう橋を「元の場所に(in situ)」架けなければならなかった。さらにベレスフォードに約束していたエストレモスから運ばれてくる兵糧は、年初にスールトに敗北した後、そこに留まっていたエストレマドゥーラのメンディサバル軍の兵に消費されていた。このためベレスフォードの部隊は要塞都市エルヴァスからの兵糧に頼らざるを得なかった。しまいには、第4師団(英語版)の兵の靴は2週間続いた行軍で完全にすり減っており、リスボンからの替えが到着まで1週間かかる状況だった。これらの遅れはバダホスの守備兵に要塞を強化する時間を与え、3月25日時点では酷く損傷していたものが4月3日には堅固になっていた。ベレスフォードは4月4日に部隊を前進させ始めたが、突然の洪水がグアディアナ川の仮設橋を流してしまい、前衛部隊が東岸に取り残された。これはベレスフォードにとり破滅的に思われたが、モルティエがパリに召喚され、代わってバダホスの指揮を執ったラトゥール=モブールは連合軍と対峙するより要塞の修繕に注力していた。第13軽竜騎兵大隊を丸ごと捕虜としたことを伴う小成功の後、兵力で優るベレスフォードの軍を前にして、ラトゥール=モブールはバダホスに3,000、オリベンザに400の守備隊を残して後退した。 4月8日までに新しい橋がグアディアナ川に架けられ、翌日、ベレスフォード軍はオリベンサへ移動した。そして国境を越え、バダホスの南24キロメートル(15マイル)に達した。イギリス第4師団がそこにいたフランス軍の小守備隊を攻撃する一方で、軍主力はラトゥール=モブールを南に追い、バルベルデ(英語版)とアルブエラからバダホスの守備隊を監視するため擁護部隊を送った。ベレスフォードはエストレマドゥーラのスペイン軍の残兵(カスターニョス将軍(英語版)指揮下に入っていた)に行軍を合わせ、歩兵3,000と騎兵1,000を戦力に加えた。4月15日、第4師団がオリベンザを占領し、ベレスフォードは、形の上では、バダホス包囲というより重要な任務に取り掛かる態勢となった。しかしベレスフォードもウェリントンも遠征に攻城部隊を伴っておらず、間に合わせで対応しなければならなかった。バダホスの要塞から様々な性能、年代の大砲を持ってくることで解決することにしたが、これにより連合軍の作戦はさらに遅れることとなった。ベレスフォードは、この遅れにより生じた機会を利用してフランス軍をエストレマドゥーラ南部から掃討し、ラトゥール=モブールはグアダルカナル(英語版)へ押し戻された。ベレスフォードは、ラトゥール=モブールの行動を監視するとともに、エストレマドゥーラへ戻る気にさせないよう、イギリス軍騎兵とジョン・コルボーン(英語版)中佐率いる1個旅団、スペイン軍騎兵の分遣隊を残した。ウェリントンは作戦進捗の遅れを懸念してとんぼ返りで訪問することにした。ウェリントンとベレスフォードは4月22日にバダホスの偵察を行い、そしてウェリントンは北へ行く前に、ベレスフォードに差し迫った包囲と今後の戦役でどう行動すべきか詳細な指示を準備した。ベレスフォードは、ゆっくりとしかし着実に指示に従い、最終的に5月4日、バダホスの包囲(英語版)を開始した。 この間の連合軍にとっての明るい展開は、新たなスペイン軍の登場であった。カディスの摂政会議は、ホアキン・ブラケ(英語版)将軍をサヤス(英語版)とラルディサバル(英語版)の師団とともに、海路、グアディアナ川河口のアヤモンテ(英語版)へ送った。ブラケは4月18日に上陸後、スペイン領内のセレス(英語版)に向かい、フランシスコ・バレステロス(英語版)将軍と合流した。 ブラケは摂政会議の一員であったが、軍隊内の階級はカスターニョスより下であった(但しバレステロスよりは上)。それゆえカスターニョスが、同様に階級が下のベレスフォードが、イギリス・ポルトガル軍のほうが兵が多いことを理由に全ての戦闘で全軍を指揮することに同意したとき、ブラケは反対しなかった。
※この「連合軍のバダホス攻囲」の解説は、「アルブエラの戦い」の解説の一部です。
「連合軍のバダホス攻囲」を含む「アルブエラの戦い」の記事については、「アルブエラの戦い」の概要を参照ください。
- 連合軍のバダホス攻囲のページへのリンク